物件探しは足で

2007年2月28日

春・・・と言えば引越しのシーズン。
昨日、ちょっとした用事があって不動産屋のTさんを尋ねたところ、
最近では、ちょっと前とは打って変わって、
いわゆる街の不動産屋さんが賑わっているらしい。
これまではインターネットで物件探しをしていた若者が、
街の不動産屋さんに戻ってきつつあるというのだ。
Tさんによると、インターネットで大々的に謳われている物件は、
往々にしていわゆる“おとり商品”のようなもので、
実際に気に入った物件を見に行こうと現地に足を運んでみると、
すでに借り主が付いていることも少なくないとか。
これまで物件探しはネットと決め込んでいた若者達もそのことに気づき、
「住まいは足で探さないと」と購買行動を変化させているというのだ。
Tさんによると、良い物件の多くはその街の不動産屋さんが握っており、
インターネットには公開されていないことも多いらしい。
これを下手に公開すると、他の不動産屋さんに中抜きされたり、
家主が見込み客から問い合わせを受けて直契約してしまうこともあるため、
これを恐れてネットには出さないところが多いと言うのだ。
Tさんは、「うちも何度抜かれたことか~」と過去の苦い経験を振り返りつつ、
だから物件は足で探さなくちゃダメですよと教えてくれた。
Tさんの話を聞いて、そうか、ネットからリアルに回帰しているのか、
ネット上の情報も信頼性というという観点では玉石混交だからなぁ~、
と、一瞬、感慨(?)にふけった私であったが、
若い頃、街の不動産屋さん回りをした時のことを思い返してみると、
事態はそんなにシンプルではないということに気が付いた。
当時は不動産屋さんの店先に張り出されている物件案内をチェックし、
気に入った物件を見つけると、店内に入って詳細を尋ね、
興味があれば、現地に物件を見に行き、良ければその場で手付けを打つ、
というのが一般的な契約プロセスだったが、
店先に張り出された格安物件は往々にして“おとり商品”で、
店内に入って問い合わせてみると、契約済みということが多かったっけ。
つまりは、一種の来店促進オファーとも言える“おとり商品”は、
ネット上にも、不動産屋さんの店先にも存在する。
これはネットの仕業ではなくヒトの仕業なのだから当然と言えば当然だ。
それを踏まえて、ネット上の情報はあくまでも参考にする程度で、
実際に物件をあたるときには、現地に出向いて足で探せば、
ネット上に流通していない隠し玉に出会える可能性があるばかりか、
無駄足の距離も縮まるということなのだろう。
やれやれ、マルチチャネルは、生活者の視点から言っても、
どこかややこしいことになっているな~。