最近のマーケティング・コミュニケーションのトレンド

2010年8月10日

月~水と休んで、土日を含めて5日間の夏休みを取った。
私はこのようなまとまった休みに、普段、読みきれなかった
新聞や本などをまとめ読みするのだが、
その中でマーケティング・コミュニケーションのトレンドについて
いくつか思ったことがある。
①一昨年末当たりからケータイのマーケティング活用が活発化しているが、
中でも昨今ではGPS機能を搭載したケータイなどの普及を受けて、
GPS機能を活用した取り組みが目立っている。
②ケータイやPCのゲームが急速に一般化する中で、
ゲーム内通貨を活用するなど、さまざまなかたちで
これをマーケティングに活用する企業が増加している。
③iPadが日本で発売されてまだ半年も経たないというのに、
私の周りの人たちが次々に購入したかと思ったら、
もうそのビジネス活用が始まっている。
④ちょっと前までは“近未来の話”として語られていたAR(仮想現実)が、
“仮想”ではなく、“現実”のマーケティング・シーンに
活用されるようになってきた。
月刊『アイ・エム・プレス』7月号で特集した
企業間コラボレーションによる販促活動は今もなお活発。
これを支援するサード・パーティも登場してきた。
月刊『アイ・エム・プレス』6月号で特集した
デジタルサイネージの活用はますます盛んに、
いまやデジタルフォトフレームが小売業のPOPの定番になっている。
⑦ソーシャルメディアのマーケティング活用では、
Twitterが快進撃を続ける一方、ユーストリームの企業活用が話題に。
今ではテレビ番組にユーストリーム中継が活用されるシーンも目にする。
⑧昨年あたりから、雑誌に掲載されたファッション商品を通販で購入できる、
といったアプローチが目に付いていたが、
近頃では雑誌のみならずテレビ番組でも同様の取り組みが見られるように。
⑨自社商品を関連する出版物とセット販売するなど、
出版物の世界観や文脈の中に自社の商品をポジショニングすることで、
出版物をマーケティングの道具として活用する動きが加速している。
⑩数年前から話題になっていた店舗小売業のネット通販への進出、
カタログ通販会社の店舗販売への進出など、
マルチチャネル化への動きは今もなお継続している。
これらのトレンドを通して思うことは、
ひとつはiPadやユーストリームなど、
新たな技術を駆使した商品・サービスが登場してから
ビジネス活用が開始されるまでの速度の速さ。
まるで新たな技術の活用を制する企業がビジネスを制すとでも言わんばかりに、
少しでも競合に先んじようと競争が繰り広げられているが、
大切なのは誰に、何を、どのように伝えるかであり、
技術はそのための道具に過ぎない。
もうひとつは、景気低迷化にあって、
マーケティング・コミュニケーションの予算が削減されると同時に、
限られた予算の投資対効果に関心が高まっていること。
出版社との提携を含む企業間コラボレーションへの動きはもちろん、
ケータイやソーシャルメディアを活用したマーケティングの活発化は、
こうした観点からも捉えることができるだろう。
いずれにしても日本の企業は厳しい経営環境の中で、
知恵を絞り始めたと言えるだろう。
3つ目として挙げられるのは、
マーケティング活動のリアルタイム化への動きだ。
これまで“リアルタイム化”というと、
企業が製造・販売する物を起点に語られることが多かったが、
ここで言いたいのは、顧客の生活を起点にしたリアルタイム化である。
生活を起点にしたリアルタイム化は、顧客それぞれに異なるのはもちろん、
同じ1人の顧客の中でもその時々で異なる。
そうした意味でのリアルタイム化への取り組みとしては、
GPSの活用や、Twitterのマーケティング活用などが挙げられよう。
こうした休みの日の情報収集・整理の成果は、
時間経過の中で徐々にブラッシュアップされ、
その一部は、月刊『アイ・エム・プレス』
特集や連載テーマへと生かされていくことになる。