先日、ある会合で、消費財メーカーのマーケティング担当のMさんが、
One to Oneマーケティングを支援するサービスであっても、
開発に当たっては、マスの定量調査が参考にされていると発言された。
これを聞いて、私は市場調査会社の出身だけに、
かつては定量調査ではなく定性調査の時代だとあんなに騒いでいたのに、
久しくそのことを忘れていたことに気が付いた。
■マスマーケティングの時代=定量調査の時代
■One to Oneマーケティングの時代=定性調査の時代
もちろん、定量調査というのはある意味、
世の中の平均値を探り、自社のポジショニングを知るという意味で、
安心材料になるし、新規プロジェクトの立ち上げに当たって、
これだけの市場がありますと、上司を説得する材料にもなるだろう。
しかし、Mさんの話を聞いて、生活者調査ならいざ知らず、
弊誌が得意とする企業調査の領域においては、
なおさら、定量調査で把握できる要素が限定されるな~と、
つくづく感じ入ってしまったのである。
たとえば、CRMやコールセンターに関する企業調査にしても、
業種や業態という大枠のセグメントを越えて、
商品やターゲットはもちろん、
販売方法やサービスのコンセプトなど細目を抜きにしては、
マーケティングの成否は語れないのは言うまでもない。
加えて、調査対象企業が提供する商品やサービスが、
彼らの顧客の何がしかの課題に対するソリューションだと考えると、
業種だけではものは言えないし、
世はマルチチャネル時代だと考えると、
これに業態を加えたところで不十分には違いない。
つまり、時代は異業種・異業態間の競合を促進しているのだ。
月刊「アイ・エム・プレス」の読者アンケート調査によると、
あくまでも事実に立脚した記事に人気があるが、
中でも企業のケーススタディが企業の定量調査を大きく凌ぐ人気ぶり。
つまり、生活者が変化しているということは、
変化する生活者に対峙する企業も変化しているということであり、
競合の概念が変化しているということでもあるなと、
今さらながらに痛感した次第である。
定量調査
2005年5月22日