商人2.0 スタートトゥデイ

2007年6月30日

今週も、忙しい1週間だった。
以前にもこのブログで紹介した新刊「ネットビジネス」の印刷入稿、
校正の出し戻し、そして月刊「アイ・エム・プレス」
お客様との関係づくりを語り合う会「I.M.press Live!」とビッグイベントが続く中、
月刊「アイ・エム・プレス」8月号の締め切りが刻一刻と迫り、
毎年恒例の「コールセンター年鑑」の編集作業も佳境に入ってきた。
木曜日に開催された「Live!」は、いつもの会場が工事中のため、
雑誌の座談会などのときにお借りしている東京八重洲ホールで開催。
30数人のお客様をお迎えし、会場は満員御礼状態。
ゲストスピーカーは、インターネットショッピングタウン「ZOZOTOWN」
インターネットショッピングタワー「ZOZOTOWER」
住居型SNS「ZOZORESIDENCE」でおなじみの、
㈱スタートトゥデイ取締役 マーケティング本部 本部長の前原正宏さん。
テーマは、「リピート購入率5割以上を誇るECサイト『ZOZOTOWN』の魅力に迫る」。
まず最初に、前原さんに約1時間をかけて同社の歩みをご紹介いただいた後、
残りの30分間で、質疑応答に入った。
前原さんによると、同社の成功要因は、自分たちが好きなものを扱っていること。
だから、お客様のことも手に取るようによくわかるのだという。
実際問題、同社のスタッフ全員が同社が取り扱う商品のファンであり、
平均年齢は何と25歳という若さ。片やお客様も20~30代前半とのことで、
言ってみれば同社は、お客様の代表により支えられているのだ。
商品選定の指標はあくまでもこのスタッフの好き/嫌いにあり、
しかもそれを何らかの仕組みで収集するのではなく、
その言葉にならない感覚を全スタッフが共有することで、
品揃えはもちろん、サイト開発から顧客サービスまでを手作りで推進、
わずか6年間で売上高110億円(流通高ベース)を達成している。
会場からは、立ち上げの資金をどのように確保したのか、
お客様の代表とも言えるスタッフの声をどのように収集しているのか、
現在は平均年齢25歳の自分たちが年を取ったらどうするつもりか、
リアル店舗の検索サービス「ZOZONAVI」の収益モデルは、
「ZOZORESIDENCE」を巡る今後の戦略は、等々さまざまな質問が出たが、
これらに回答する前原さんのスタンスは、一貫して「自分たちが好きだから」。
そして自分たちが好きなこと=お客様が好きなことを実現するために、
これまでも多くの課題をひとつひとつ手作りで解決してきたのだという。
同社スタッフの平均年齢を10歳以上は上回るであろう30数人の参加者は、
前原さんの「好き・好き・好き」の連発に唸るばかり。
ビジネスを巡るものさしが、どうにもフィットしないのだ。
それだけに、終了後は前原さんの前に長蛇の列ができ、
前原さんは終了後の乾杯もそこそこに、ひたすら質問攻めにあっていたようだ。
この「好き・好き・好き」の連発に加え、数字が非公開ということもあり、
参加者の中には欲求不満に陥った方もいらっしゃるようだ。
しかし、改めてスタートトゥデイのサイト上の「代表メッセージ」を見ると、
そこには、ナチュラルな生活の中で直感的に得た情報やモノをきっかけに、
独創性の高いフィルターを武器に、創造的破壊を繰り返していくとある。
スタートトゥデイは言ってみれば「商人2.0」であり、その本質は自分たちの直感、
すなわち「好き・好き・好き」にあるとしか言いようがないのであった。
会場からの質問にもあったように、スタッフが徐々に高年齢化する中で、
同社は、そして現在のサイトは、どのように変化していくのか?
また、この「好き・好き・好き」のビジネスモデル(?)が
いったいどの程度の規模まで通用するのか?
インターネットと共に誕生した「商人2.0」の行方から、目が離せそうにない。