企業の責任について考える

2007年10月28日

昨晩、フジテレビで放送された「たけしの日本教育白書」
今回のテーマは「責任」とのことで、私も5時間にも及ぶ番組の一部を見たのだが、
その中で学校やマスコミなどと並んで、企業の責任についても取り上げられていた。
今年は食品メーカーの不祥事が相次いだ1年だったが、
番組では、昨今、マスコミを騒がせた企業の不祥事に触れながらも、
昭和30年代にまで遡って、森永砒素ミルク事件の概要を紹介。
当初は自らの責任を認めなかった当時の社長が、
1広報マンの熱心な働きかけにより態度を一変して自らの責任を認め、
今もなお粛々と被害者救済活動が継続している様子が報じられたのは、
非常に印象的だった。
この番組では、スタジオの模様とあわせ、電話やFAX、ネットにより収集した
視聴者の意見やアンケート結果を紹介するスタイルを採っていたのだが、
不祥事を起こした時に企業のトップが辞めるべきか否かを聞いた質問では、
「留任すべき」が「辞めて当然」を大きく上回った模様
(最終結果を聞き漏らしてしまったため途中経過です。スミマセン)。
日本の視聴者の意見に「留任すべき」が多かったことは、
「(企業のトップは)辞めて当然」と言わんばかりの
昨今の食品メーカーの不祥事への論調とギャップが感じられるが、
スタジオに集まったゲストからは、
不祥事発生からの時間経過と共に人々の意見が変化するのではないか、
不祥事への対応もままならないうちに辞めるべきではない、
そのトップの能力による、等々の意見が出されていた。
ちなみに、フジテレビがあらかじめ収集した国別の調査結果では、
アメリカ、イギリス、ドイツ、ブラジルなどでは「留任すべき」が大半で、
「辞めて当然」との回答が多かったのは、対象国のうち中国のみ。
番組では、英国におけるキャドバリーのチョコレートの不祥事を紹介していたが、
英国ではトップの退任云々よりも、迅速な対応が重視されるとのこと。
キャドバリーにおいても、迅速な商品回収を行ったことが評価され、
当時の社長は今も続投しているそうだ。
スタジオでは、責任を取って退任するとか、責任を取って自決するとか、
そうした日本的なアプローチが果たして本当に責任を取ったことになるのか?
といった議論がなされていたが、私自身はやはり、
その場から消えただけでは責任を取ったことにはならないと思う。
そうした意味では、失敗を繰り返さないことはもちろん、
失敗から学んでマッチベターを実現することこそ、
企業の社会的責任のあるべき姿ではないかと思う。
企業は基本的に存続するものだし、そこには不祥事により
直接の被害を蒙った人々のみならず、さまざまな利害集団がいるのだから。
さて、私がこの長時間番組を一部とは言え見てしまったのには理由がある。
というのは、月刊「アイ・エム・プレス」の11月25日号で、
企業の社会的責任について特集するのだ。現在のところの仮題は、
「ピンチから学ぶお客様対応」
このテーマは、もうかれこれ1年以上前から狙っていたのだが、
お察しの通り、取材依頼をしてもなかなかお受けいただける企業がなかったのだ。
でも今回は、すでに4社からアポイントを獲得済み! 
取材項目は①各社が直面した不祥事の概要、②不祥事発生後の各社の対応、
③不祥事から学んだ顧客対応、④課題と展望の4項目。
昨晩の「たけしの日本教育白書」を見て、本特集の絶好のタイミングと、
弊誌らしい取材項目を思わず自画自賛!![[pict:wink]]
でも、50年前の森永砒素ミルク事件のその後を取材するということは、
正直、まったく思いつきませんでした。フジテレビさん、さすがです。