インターネットの登場で生活が変わったなとつくづく思うのは、
友人とレストランや居酒屋で食事をしようという時である。
今やネットで検索して店を決めるのは日常茶飯事。
ネットがない頃は、特にこれといってお目当ての店がない時には、
ターミナル駅の構内や駅前などで待ち合わせて、
辺りをブラブラして“ここ”という店を選んだものだが、
そんな体験は、もはや記憶のかなたに埋もれてしまっている。
しかし、ネットでの検索には、“当たり”もあれば“外れ”もある。
ネットで見たときには美味しそうでおしゃれな店だったのに、
実際に行ってみるといまいち、なんてことも珍しくはない。
(私は以前、某クレジットカード会社の加盟店案内を
制作したことがあるが、プロのカメラマンの手にかかると、
どんなにさえない店もおしゃれな店に変貌してしまう)
特に、飲食店自体のWebサイトならともかく、レストラン検索サイトとなると、
今やネコも杓子もが登録されているだけになんだか“マス”な気がして、
大人数でのワイワイガヤガヤの飲み会ならともかく、
親しい友人とのとっておきの日には頼りたくない気がする。
一方、レストラン検索サイトが便利だと思うのは、
見知らぬエリアの店を探す時や特定の条件にかなう店を探すとき。
特に、私はエスニック料理好きなので、
世界各国のレストランが一発で検索できるのは嬉しい。
今、行きたいと思っているのは、ジャマイカ料理とイスラエル料理。
電話帳にはジャマイカ料理とかイスラエル料理どころか、
エスニック料理という項目さえないわけだから、
ネットがなければ決して出会うことのない店が発見できると言えるだろう。
ニッチなエリア(自分にとってニッチなだけだが)、ニッチな料理ということは、
すなわちこれもロングテールである。
暮れに親しい友人達2人と久しぶりに飲みに行った時のこと。
参加者にとっての地の利を考えて、神田で会うことに決めたのだが、
誰もが神田に“これ”という店を知らなかったことに加え、
ただでさえサクサクと仕事をこなさないと年を越せないというその時期に、
たかが(されど?)友人と飲みに行く店を探すがために
サクサクとネットで検索なんてしたくない気分だったこともあり、
久しぶりに店を予約せずにブラブラ歩いて探すことになった。
飲食店が立ち並ぶ路地で、自分達の鼻をクンクン利かせて店を物色すること数分。
そして選んだ“ここ”という小さな居酒屋はなかなかのもので、
手作りの〆鯖や熱々の牡蠣フライに大満足して家路に着いた。
帰り際に、「またいつか来よう!」と名刺をもらうと、
そこには住所と電話番号、地図はあっても、URLなんかない。
ホームページもなければ、レストラン検索サイトにも載っていない
そんな店を見つけるととても嬉しくて、あちこちで自慢したくなるものだ。
ネットでサクサクと自分の足でブラブラ+鼻でクンクン。
時と場合によってレストランの探索方法はさまざまだが、
時にはこうしたブラブラ+クンクンのゆる~い探し方も良いものだ。
そして何よりも、ネットにばかり頼っているうちに
ブラブラ+クンクンの能力が退化してしまう、なんてことにならないよう、
たまには自分の足と鼻を訓練することも大切だと思う。
特にヲタクの皆さんに言いたい。ネットを捨てよ、街に出よう!
レストラン検索サイト
2008年1月14日