2023年5月9日
去る4月25日~29日の三泊五日で、ベトナムはホーチミンに行って来ました。行きの飛行機はベトナム航空の午後便だったのですが、当日の朝、同行予定の友人のお母さまが危篤になられ、彼女は急遽、病院に向かうことに。勢い、想像だにしていなかったのですが、私はたった1人でベトナムに向かうことになったのです。
私はベトナムに行くのは初めてだったのですが、同行予定だった友人は3回目で、ホテルも彼女が以前に泊まって良かったというところ。出発前にベトナム・フリークの友人や日本にいるベトナム人からお薦めスポットの情報を収集し、Google マップに保存こそしてありましたが、ホテルはもちろん、これらのスポットにどのように行くのかは友人に任せきりで、私自身はまったく考えていませんでした。
出発当日はとにかく気持を落ち着かせて準備を整え、道中で友人の分の成田エクスプレスをキャンセルしつつ成田空港に到着。買っただけでほとんど読んでいなかった『地球の歩き方』をバイブルのように携えて、空席の目立つ飛行機に搭乗。機内で細かい文字と格闘しながら、ホテルへのアクセスはタクシーと路線バスが便利で、タクシーには通常のメーター・タクシーに加えて定額タクシー、配車サービスのGrabがあることを把握しました。
『地球の歩き方』によると、「空港からのメーター・タクシーによるぼったくり被害が多い」そうなので、自宅でGrabのアプリをダウンロードしてこなかったことを後悔しつつ、定額タクシーを利用することに。空港の到着ロビーに定額タクシーのブースが並んでいるというので、それらしきカウンターで“市内まで定額”であることを確認の上、代金をカード決済し、なんとか無事に車に乗ることができました。
ベトナムのタクシーでは英語はまず通じないのですが、私が利用したのが空港から市内に向かう定額タクシーだからなのか、運転手は英語を操る話し好きな男性(在日ベトナム人に聞いたところ、ホーチミン住民は日本で言えば話し好きの関西人のようだとか)。あれこれ話しながら、数十分ほどでホテルに到着。チェックインを済ませ、シャワーで汗を流し、ホテルのルーフトップ・バーで一人、無事到着の祝杯をあげました。
こんな想定外の事態から始まった私の初めてのベトナム一人旅。2日目以降の行動は、同行予定だった友人と機内で相談するつもりだったので、ホテルにたどり着いた時点ではまったくもって白紙状態。とは言え、翌日の行動は遅くとも前の晩には決めておきたいと、部屋に戻ってから再び『地球の歩き方』とGoogleマップ首っ引きで翌日のプランを決め、長かった1日目が終わりました。
2日目のプランは、ホテルから歩いて行ける範囲の行きたいスポットを訪れること。ホテルで朝食を済ませた後、万が一の場合に備えて、ホテルでもらったベトナム語の地図に行きたい場所をプロットしていざ出発! ベンタン市場を初めいくつかの店を回った後、友人お薦めの飲食店で肉まんと生春巻を食べ、ヤンシン市場(多分!)を回った後、一旦、ホテルに戻って休憩し、夕方からカラベルサイゴンのルーフトップ・バーで一杯。うだるような暑さの中、1万4,000歩も歩いて疲れ切ったこともあり、夕食はランチ時にテイクアウトしたバインミーで簡単に済ませました。
そしてその日の夜のこと、同行予定だった友人のお母さまの訃報がLINEに飛び込んできました。遅れてやって来るかも・・・そんな微かな望みをきれいさっぱり捨て去ることになった私は、ベトナムマニアの友人に情報提供の御礼をLINEしがてら、急遽、一人旅になったことを伝えたところ、ベトナム人女性の日本語ガイドの友人がいると、電話番号を教えてくれました。既に夜の10時を回っていたことから、ひとまずfacebookで繋がると、すかさず「今から電話して良いですか?」というメッセージが着信。あれよあれよという間に、翌日のガイドをお願いすることになったのです。
そうして決まった3日目のプランは、私が出発前に話を聞いたベトナム人お薦めの、中心部から少し離れたチョロンというエリアにある昔ながらのフォー(ベトナム麺)の製造販売店でフォーと肉団子を食べ、これに隣接する中国系市場を訪れること。朝9時にホテルでガイドと落ち合い、路線バスに乗って目的地へ。しかし、Googleマップ上のおおよその位置の画像があるだけで、名前も住所もわからないその店は、コロナ禍の中で撤退したのか、結局、探し出すことができず、代わりにその市場の中でフォーにありつきました。
昼食後は中国系市場を隅々まで見学。その日もまた炎天下で1万歩近く歩いて疲れ切ったことから、私は一旦、ホテルに戻って休憩。夕方、ガイドに子連れで再びホテルに迎えに来てもらい、一緒にサイゴン川を水上バスでビンアンまで上り、夕食を共にすることにしました。彼女と共にホテルにやって来たのは、小学生の男子2名。4人で船に乗り込み、ビンアンで北部の豆腐料理「ブン・ダウ・マムトム」を食べて、再び船でホテルへ。自室でガイド料金の清算を終え、翌日のプランを相談した後、彼女の日本人の夫が営むカレー屋さんに向かい、今度は彼と私の2人で屋台に行き、ビールをしこたま飲んだ後、タクシーでホテルに戻りました。
ガイドのアドバイスを得て作成した4日目のプランは、午前中にベンタン市場でお土産を買い、ガイドのお薦めに従って、低カロリーであろう蒟蒻麺のフォーでランチを済ませた後、ベトナム戦争証跡博物館を見学、夕食にはバイン・セオ(ベトナム風お好み焼き)を食べること。しかも、帰りの飛行機が翌日の0時5分なので、その日の夜10時には空港にたどり着かねばなりません。
再び、Googleマップとベトナム語の地図に行き先をプロットし、その間の距離を把握。市場にはタクシーで往復、チェックアウトを終えて荷物をフロントに預け、タクシーで蒟蒻麺のフォーを食べに行った後、徒歩で博物館に向かい、見学終了後、タクシーでバイン・セオの店に行き、夕食を済ませた後にタクシーでホテルに戻り、トランクをピックアップしてから、チェックアウト後も利用できるプール併設のシャワーを浴び、さらに時間があればルーフトップ・バーでビールを飲んだ後に、タクシーで空港に向かうという究極のコースを捻り出しました。
これは私にとってはかなりハードなコース。しかし、同行予定だった友人のお母さまの訃報を聞いた翌朝、こうなったら彼女の分も楽しむしかないと悟った私は、さながらゲームのようにひとつひとつ障害物を乗り越え、このコースをクリアしていきました。中でも大変だったのは、ガイドにはタクシーは行った先の店で呼んでもらえば良いと言われていたのに、英語が通じなかったり、自分で拾うように言われたりで、流しのタクシーを使わざるを得なかったこと。結果、タクシーの中でもスマホを握りしめ、行き先をセットしたGoogleマップで進路を確認しながら、次なる目的地に向かうことになったのです。
一時はどうなることかと思ったこのゲームですが、最終的にはすべての障害物を無事、クリアし、目標としていた時間の50分前にはホテルに到着。プラン通りに預けてあったトランクをピックアップすると、プール併設のシャワーを浴びて、ルーフトップ・バーで、ビール一杯のはずが「ミス・サイゴン」なるカクテルも味わった上で、今度はホテルでタクシーを呼んでもらい、無事、出発の2時間前には空港にたどり着くことができました。
色々ありながらも、無事、三泊五日の旅を終えることができたのは、ベトナムマニアの友人、そして急遽、翌日のスケジュールを調整してくれた現地の日本語ガイドの存在あってこそ。急遽、一人旅が決まった時には、「ベトナムになんか行くことにしなければ良かった」と思った私でしたが、最後の夜には、ホテルのルーフトップ・バーでホーチミンの美しい夜景を眺めながら、「まだ帰りたくない」という思いで胸がいっぱいになりました。こんなステキな仲間に囲まれている私は、ホントに幸せ者ですね。
この突然のベトナム一人旅、お土産話を始めるとキリがないのですが、最後に私が現地でびっくりしたこと10を挙げて、終わりにしたいと思います。
【ベトナム(ホーチミン)でびっくりしたこと 10】
その1:0(ゼロ)の数が多すぎて、金額がピンとこない。 お札の種類が多いことは聞いていたが、それ以前に0(ゼロ)の数が多くて金額がピンとこず、勢い、価格交渉もしにくい。ドルで金額を確認したところで、結局払うのは現地通貨。
その2:空港からのタクシー車内でいきなり年齢を聞かれた。 空港からホテルに向かった定額タクシーの車中で、いきなり家族構成や年齢を聞かれてびっくり。ベトナム人2人に聞いてみたところ、ベトナムではよくあることなのだとか。
その3:大量のバイクがビュンビュン走っている。 とにかくバイクの数が半端なく、これが轟音を立ててビュンビュン走っているのにびっくり。ラッシュ時には、渋滞を抜けようと歩道を走ってくるバイクもいるので注意が必要だ。
その4:バイクやクルマが平気で信号を無視する。 そもそも信号の設置箇所が限られていることに加え、信号があったところで、これを無視する車両は珍しくない。そんな中、私はガイドさんやその子ども達と仲良く手を繋いで道を横断。
その5:タクシーでは英語がほぼ通じない。 三泊五日の旅路の中で、私が1人でタクシーに乗ったのは計7回。このうち空港からホテルに向かう定額タクシー以外の運転手さんはほぼ、もしくはまったく英語が話せなかった。
その6:タクシー料金にカードの手数料を上乗せされることも。 流しのタクシーの乗車料金をクレジットカードで支払おうとすると、メーターに表示された金額にカード手数料を上乗せされたケースが2回ほどあった。
その7:歩道がデコボコで歩きにくい。 交差点では歩道と車道の段差が日本に比べて大きく、歩道だけを見ても工事が大雑把で、凹凸が甚だしい。辺りを見渡したり、スマホを見たりしていると躓きかねない。
その8:飲食店におけるお箸の扱いが不衛生。 屋台の飲食店では、たくさんのお箸を立てた円筒状の容器が机上に置かれていることが多いが、お箸の向きが揃っておらず不衛生な印象。消毒せずにはいられない。
その9:飲食店の客に行商が酒の肴を売りに来る。 私が半屋台の飲食店で飲んでいると、すぐそこで行商のオジサンが干した烏賊を売り歩いていた。現地では当たり前の光景で、店外で購入した肴の持ち込みもOKらしい。
その10:食べたものすべてがとてつもなく美味しかった。 現地での食事は計9回だが、そのいずれもがとても美味しかった。中でも美味しかったのは、2日目に食べた肉まんとバインミー、3日目に食べた北部の豆腐料理と半屋台の飲食店の炒め物、そして4日目に食べたフォーとバイン・セオ。