ベンチマーキング

2005年5月28日

ここ数年来、月刊「アイ・エム・プレス」が関与している
CRMやコールセンターの世界では、ベンチマーキング流行りだ。
弊誌のコメンテーターのお一人であるプロシードの畑中さんは、
6月号の「コメンテーターリレー対談」で、
同じ業界内でのベンチマーキングには限界があり、
業種を超えたベンチマーキングが必要であると説いておられる。
これは裏を返せば、市場の成熟や情報化に伴い、
同業種・同業態間競争の時代から、
異業種・異業態間競争の時代に突入していることとも無縁ではない。
私がよく例に出すのは、ダイエットの例。
たとえば「ダイエットしたい」というニーズがあったとして、
このニーズに対応する商品・サービスは、
何もダイエット食品やエステティックサロンに限らず、
健康機器やスポーツクラブ、リラグゼーション施設に至るまで
さまざまな広がりがある。となるとダイエット食品のメーカーには、
健康食品業界だけでなく、さまざまな業界の動きを見据えて、
ビジネスを展開していくことが求められるわけだ。
そして時代は今や、商品による差別化だけではなく、
顧客サービスによる差別化が求めていると言われる。
そうした中で当然、コールセンターで提供される顧客サービスも、
同業種・同業態の枠組みを超えて、
異業種・異業態間競争にさらされていくのだろう。
過日このブログに、マスマーケティング時代には定量調査が
重用されたのに対し、One to Oneマーケティング時代には
定性調査が重用されるといったことを書いたが、
ベンチマーキングは、いわば世間様の平均値を求めるものであり、
定量データに裏付けられていると言えよう。
顧客サービスの大量生産にはこうした視点も欠かせないが、
一方では、ベンチマーキングだけでは、
自社のパーソナリティ=ブランドの演出や、
新たな価値の創造はままならない。
先日の弊誌のライブでは、ゲストスピーカーの渋野さん@リコーが
シナリオ作りの重要性を説いておられたが、
不透明な時代にあって、単に平均値に一喜一憂するのではなく、
誰に、何を、どのように・・・というシナリオ作りこそが、
現状をブレークスルーする鍵を握っているのかもしれない。