フリーダイヤル

2005年4月19日

過日、再春館製薬所の西川会長のセミナーのことを書いたが、
その中で面白い話があったことをふと思い出した。
同社はフリーダイヤルの初期からのユーザーなのだが、
そもそもその導入に至ったきっかけがなんとも意外なのだ。
そこで今日は、この話を披露しよう。
当時、すなわち現会長が、倒産しかかっていた同社の経営に
乗り出した当初は、経営再建に向けて、様々な施策が展開されていた。
たとえば、一部商品の卸売りから撤退し、通販に特化したのも、
資金繰りの悪化や、手形割引に伴う収益悪化の打開策であった。
これと併せて、通信販売の受注方法も、郵便から電話にシフト。
ここにも、当時の郵便は往復で1週間近くを要しており、
これを電話に切り替えれば、サンプル請求を訴求する
広告投資の回収が早期化できるという思いがあった。
ちなみに同社では、商品を理解してから購入していただくため、
当時から、サンプル請求を経て購入申し込みにつなげる、
2ステップの販売システムを採用していただけに、
商品購入までにかなりの時間を要するという特殊事情もあった。
当初はチェスコムの電話転送装置でお客様の電話を転送することで、
お客様の通話料負担を減らし、電話への切り替えを促進していたが、
NTTコミュニケーションズのフリーダイヤルが開始されたのに伴い、
お客様にとってはそのメリットがわかりにくい電話転送装置から、
フリーダイヤルへと切り替えたというのだ。
つまり、卸販売に伴う資金繰りや収益の悪化→通信販売による製造直販
→電話受注の促進→広告投資回収の早期化という図式の中で、
電話受注の促進策としてフリーダイヤルが導入されたわけである。
こうして考えてみると、フリーダイヤルの初期からのユーザーである
同社にとって、フリーダイヤルの導入=資金繰りの改善策という
ユニーク(でもないですか?)な側面が見えてくるのだ。
フリーダイヤルの利用に伴い増大した同社負担の通話料が、
電話転送装置利用当時の通話料+システムコストと比べてどうだったか、
あるいは、サンプル請求を郵便により受け付けていた当時と比べて、
増大した通話料負担が、資金繰りの改善によりペイしたかは未確認だが、
それ以外にも、フリーダイヤルにより、サンプル請求促進効果や
顧客満足度向上などのメリットが発生していることは想像に難くない。
これは西川会長の講演の中でも、
フリーダイヤルの初期ユーザーの代表的存在である同社は、
そんなことを考えて導入に踏み切ったのか~と、
思わずうならせられた一幕であった。
ちなみに、現在のフリーダイヤル番号は、当時、
20社ほどの抽選を経て獲得したものだという。