ストーリー・テリング

2005年4月10日

これまでは、ごく一部の方にしかお伝えしていなかった、
このブログのことを公表し始めたところ、アクセス数が増加してきた。
今は日曜日の朝9時半だが、すでにこのサイトを訪問してくださった方が
いらっしゃると思うと、なるべく毎日、更新しなくちゃと思う。
昨日は、以前にこのブログに書いた、電通ワンダーマンの
創立20周年記念イベントのリポートを仕上げた。
金曜日に、自分のメモをもとに粗原稿を書いたのだが、
部分的に怪しいところを、英文のレジメを見て確認したのだ。
そこで今日は、日曜日にもかかわらず、
このサイトを訪れてくださった方へのプレゼントとして、
同イベントの中のポイントを本誌に先がけて紹介しよう。
以前にこのブログに書いたか書かないか忘れてしまったが、
ワンダーマン氏はこのイベントでの講演を通して、
同氏がかねてより提唱している
「成功するすべての会社が知っている19のルール」に、
20番目の項目をプラスすると発表した。
「A company must listen as well as it speaks,
for listening is the key to dialogue」
自分からしゃべり続けるのではなく、語ると同じぐらい聞くべきである。
そこに対話の鍵がある。
20番目の項目とは上記だが、これを発表するに先立ち、
氏は、技術革新に伴い、今やダイレクトマーケティングは、
「Personal Advertising 」と呼ぶに相応しくなったと指摘している。
また、このイベントでは、ワンダーマン氏に加えて、
ワンダーマンヨーロッパ会長デヴィット・セーベル氏、
ワンダーマンワールドワイド会長ダニエル・モレル氏も講演。
セーベル氏の講演テーマは「Creative & Technology」。
テクノロジーは革命ではなく進化であり、
物語を伝えたいという人間の意志が、
これを実現するテクノロジーを進化させてきたと指摘。
原稿を書いていて、改めていい言葉だな~と唸らせられた。
モレル氏の講演テーマは、
「Knowledge and Speed in the Cyber Age」。
コンピュータとコミュニケーションが結婚することで、
ナレッジとスピードという2人の子供が誕生したという例え話に始まり、
現代は、ナレッジの中でもより高度なインティマシーの醸成と、
スピーディな行動が求められていると主張した。
そして最近、私がどうもひっかかるのは、セーベル氏の講演にもある、
ストーリー、あるいは巷で多用されているコンテキストという言葉。
ITバブルの崩壊により、ITが目的ではなく手段であることが、
今さらながらに再認識された昨今、
ストーリーやコンテキストが重視されるのは当然と言えば当然だが、
それらは誰のストーリーなのか、どんなコンテキストなのかという、
主体の存在抜きには存在し得ない。
一方、弊誌のコメンテーターをお引き受けいただいている、
プロシードの畑中さんは、コールセンターの品質基準である
COPCとあわせて、同社のサービスのひとつである、
ストーリー・テリングなるものをも担当されているらしい。
これは数日間をかけて自分史を紐解き、
それをひとつのコンテンツに仕立てるプログラムだが、
米国では社員教育の一環としてこれを採用する企業が多いという。
その昔、弊誌もなければ、もちろんインターネットもない頃に、
「システムかパーソナリティか」という議論に
友人と花を咲かせたのは今や昔話だが、
こうした主体のパーソナリティが前面に押し出されるのが、
ブログというメディアの特性であり、
それが今日の、ブログ人気を支えているのではないだろうか。