コリンズさんからの手紙

2009年10月10日

今週は月刊『アイ・エム・プレス』10月25日発行号の印刷入稿で、
思いっきりバタバタしてしまった。
特に分厚い号ではないのになぜ? と振り返ってみると、
9~10月は国民の祝日が多いからなのだろう。
そんな中、刊『アイ・エム・プレス』の巻頭カラーページに、
「DR(Direct Response)広告改造屋」のタイトルで連載してくださっている
コリンズさんから、米国のダイレクトマーケティングを取り巻く
最新事情を尋ねた私の質問に答えて長文のeメールが届いた。
コリンズさんは、ダイレクトマーケティング専門広告代理店「ラップコリンズ」の
共同創始者であり、かつ初代クリエイティブ・ディレクター(CD)。
長年に渡りダイレクトマーケティングにかかわってこられた大先輩である。
コピーライター出身のCDだけに、その英文はなんというか名文すぎて、
英語力[[pict:beginner]]の私が理解するには、それなりの時間を要するのだが、
今回のメールの書き出しは、昨今のビジネス環境を語るうえで、
思わず唸らされるような表現が用いられていた。
曰く、インターネット・コミュニケーションが広がったことで、
かつてはそれぞれの都市にせいぜいに2種類か3種類だった日刊紙が、
千種類も発行されているかのような状態に陥り、
その多くは必ずしもきちんとは読まれないようになった。
あるいは、ニューヨークからシカゴに向かうハイウェイに、
数え切れないほどのランプや迂回路、わき道があるかのようでもある。
日本語に訳そうと思うと、せっかくの名文が名文でなくなってしまうが[[pict:hekomi]]
つまりは、インターネットの普及は情報の流通量を増大したが、
そのことは、人々の情報の選択肢が増大したということでもある。
そしてこの結果として、人々は必ずしもすべての情報を
注意深く読むとは限らなくなったと言われているのだろう。
そういえば、いま話題のミニブログ「Twitter」では、
自分がフォローする人数が増えるにつれ、
彼らが発信するつぶやきをすべて読みこなすのが困難になることから、
“スルー力”(読み飛ばす力みたいなことか)が必要などと言われている。
多い人は何千というアカウントをフォローしており、
かつ、それぞれが日に何回となくつぶやくのだから、
普通に考えて全部をきちんと読むことなんてできるわけがない。
加えて、ネット上の気になるコンテンツはほかにも山ほどあるのだ。
こうした中、自社が発信する情報に目を止めてもらうのは、
それがニュースのような純然たるコンテンツであれ、
企業が提供する商品やサービスにかかわる情報であれ、容易なことではないだろう。
コリンズさんからの手紙に話を戻すと、こうした中でも米国には、
ターゲット顧客の関心を引き付け、Webサイトに誘導する
すばらしいダイレクト・レスポンス広告を出稿する広告主がいるという。
また、コリンズさんの家のポストには相も変わらず多くのDMが届けられ、
しかもその内容は、企業における顧客分析が進んできたためか、
コリンズさんの興味にフィットするものが増えているとのことだ。
インターネット上の情報の海の中で、自社が提供する情報を(スルーされずに)
見込客にきちんと読んでもらうためにはどうしたらいいのか? 
そのヒントはコリンズさんをはじめとする先輩たちが築いてきた
ダイレクトマーケティングのノウハウの中に潜んでいる。
すでに現役からはリタイアされたコリンズさんは、
現代を生きる生活者の1人としてインターネットの海に自ら身を挺し、
あまりの情報量と選択肢の多さに困惑しつつも、
私への手紙を通じて、言外にそんなことが伝えたかったのではないかと思う。
月刊『アイ・エム・プレス』に掲載されているコリンズさんの連載
「DR(Direct Response)広告改造屋」は、
今週、入稿した10月25日発行号で第43回を迎える。
つまりは、連載開始から間もなく4年が経過せんとしているわけだ。
本連載では、毎号、米国で実際に出稿されたDR広告をモチーフに、
その問題点を指摘すると同時に、コリンズさんの手による改造案を
Before/Afterのかたちでビジュアルつきで紹介している。
そのほとんどが見込客のWebサイトへの訪問を促すものだけに、
インターネット時代のマーケターにとって、
見逃せないヒントが盛り込まれているといえるだろう。
あなたも全43話のクロスメディアのヒント、読んでみませんか?