今週、カンヌ国際広告祭に参加された方のお話を伺う機会があった。
これは年1回、映画祭でもおなじみのカンヌで開催される広告祭で、
第52回の今年は、6月19日~25日に開催された。
同広告祭は、メディアライオン、ダイレクトライオン、プレス、
アウトドア、サイバーライオン、フィルム、ラジオライオン、
チタニウムライオン、ヤングクリエイティブ、スペシャルアワード
の各部門から構成されており、各国の審査員による一時審査、
会場での二次審査を経て、エントリーした作品の中から、
グランプリ、ゴールド、シルバーの受賞作品を選定する仕組み。
このうちダイレクトマーケティング部門はダイレクトライオンと
呼ばれるもので、今年のグランプリは、ドイツ・ルノー日産の
「A CHANNEL HOPPER」という作品。MODUSという新車発表に当たって、
ユニークなテレビCMを放映することで、試乗の促進を狙ったものだ。
MODUSは、若者、あるいは年齢はいっていても気持ちが若い人々を
ターゲットにした車であり、“Don`t pretend to be so grown-up!”
をキャッチコピーにしているとのこと。
グランプリをとったのは、微妙に異なる2バージョンのCMを制作し、
これを2つの異なるテレビ局で完全同時放映し、視聴者に、
チャネル間を異動(channel-hopping)して双方を見るように誘導。
さらに、CMで展開されたストーリーのオチをWeb上で見せるという、
メディアミックス型のキャンペーン。
CMの2バージョンとは、SAD版とHAPPY版。
要は、HAPPYな人がルノー車に乗っているのに対し、
SADな人は他の車に乗っているというストーリー設定だ。
ちなみにドイツでは、チャネル・ホッピングが当たり前で、
ひとつの楽しみにさえなっているという。
結果は、82万人がサイトを訪問、2万278人の見込み客がWeb上で登録。
さらに、72の新聞や雑誌がこのキャンペーンを取り上げたことから、
広告効果が倍増したということ。
このほか、ユーモアの分野でブロンズを獲得した、
スペインのノキアの「THIS CUP IS NOT MY CUP」キャンペーンも面白い。
これは、企業向けテクニカル・ソリューション購入の意思決定に、
ビジネスマネージャーとテクノロジーマネージャーの双方が
関与するであろうという考えのもと、前者には後者の名前の入った、
後者には前者の名前の入ったカップを送付、
両者がカップの交換方々この製品について話し合う機会を演出したもの。
カップの交換率は93%に達し、64%が会談につながったという。
また、ニュージーランドのNZ GIRLによるWORST BOYFRIENDという
WEBサイトへの集客を狙ったキャンペーンも面白い。
これは過去最悪のボーイフレンドをエントリーしてもらい、
中でも最悪中の最悪を選ぶ仕組みだ。
(詳細は下記サイトをご覧ください)
前出の参加者の話によると、
・メディアミックス型のキャンペーンが多い、
・イベントが軸になっているものが多い、
・公共広告が多い(これは同祭そのものの特徴らしい)、
などが今年の特徴だという。
また、日本からのエントリー作品の中では、
博報堂が手がけた松下の「オキシライド乾電池」の広告が、
ダイレクトライオンの受賞候補作品に選ばれた。
彼の知る限りでは、これは日本発の快挙だという。
同広告祭の受賞作品は、現在、サイト上に公開されているが、
聞くところによると、これはここ一週間ぐらいの期間限定とのこと。
ご興味のある方は、いますぐに上記をクリックしてみてください。
カンヌ国際広告祭
2005年7月16日