去る7月18日、(株)アイ・エム・プレスとCRMダイレクト(株)の
共催による、第3回「通販ビジネス実戦セミナー」が開催された。
これは、月刊『アイ・エム・プレス』誌上で2012年4月から開催している
CRMダイレクト(株)代表取締役 横田伊佐男さんの連載
「こうすれば成果が上がる! 実戦通販ビジネス」と
連動した3回シリーズのセミナーで、今回が最終回となった。
計3回の「通販ビジネス実戦セミナー」は、各回ごとのテーマに則り、
ゲストスピーカーをお迎えして、単独での講演をしていただいた後、
連載執筆者である横田さんによる解説を経て、
ゲストスピーカーを交えてのディスカッション行うかたちで運営した。
各回のテーマとゲストスピーカーの顔ぶれは、下記の通り。
■第1回:「シニア通販 成功の秘訣
—『カンブリア宮殿』出演後の破綻から奇跡のV字回復」
ゲストスピーカー:いきいき(株) 代表取締役社長 宮澤孝夫氏
開催概要:https://im-press.jp/seminar/direct.html
■第2回:「楽天市場 快進撃の理由
—『この日、景気が動く』を実現した楽天市場の影の努力」
ゲストスピーカー:楽天(株) 楽天大学学長 仲山信也氏
開催概要:https://im-press.jp/seminar/direct2.html
■第3回:「貴社はホンモノのマーケティングを実践しているか?
—神田昌典氏直伝 新刊『ザ・マーケティング』ビジネス解説講座」
ゲストスピーカー:(株)ALMACREATIONS 代表取締役社長 神田昌典氏
※第3回のディスカッションには、マーケティング評論家であり、
月刊『アイ・エム・プレス』のコメンテーターである
ルディー和子氏にもジョインしていただいた。
開催概要:https://im-press.jp/seminar/direct3.html
最終回となった今回は、ボブ・ストーン/ロン・ジェイコブス著の
「Successful Direct Marketing Methods」を神田さんが監訳され、
ダイヤモンド社から『ザ・マーケティング』として出版されたのを機に
開催されたもの。カリキュラムは以下の3部から構成した。
■第1部:基調講演「マーケティングの未来」
(株)ALMACREATIONS 代表取締役社長 神田昌典氏
■第2部:講演「『ザ・マーケティング』をビジネスで生かす」
CRMダイレクト(株)代表取締役 横田伊佐男氏
■第3部:パネルディスカッション「ボブ・ストーンを語る」
(株)ALMACREATIONS 代表取締役社長 神田昌典氏
マーケティング評論家 ルディー和子氏
司会:CRMダイレクト(株)代表取締役 横田伊佐男氏
第1部の「マーケティングの未来」では、
神田さんご自身のダイレクトマーケティングとのかかわり、
およびダイレクトマーケティングに関する視点を披露。
その後、製品中心の「マーケティング1.0」の時代から、
お客さま中心の「マーケティング2.0の時代」、
人間中心の「マーケティング3.0」の時代へとシフトする中で、
主役を担うメディアもマス→ダイレクト→コミュニティへと変遷していると説明。
コミュニティが重用されるマーケティング3.0の時代には、
“商品”を売るのではなく、“場”を売ることが重要であるとして、
自ら主催する読書会の紹介を通して、その取り組み事例を提示。
また、人の心を動かし、ビジネスにつなげるダイレクトマーケティングが、
社会的な活動にも使われ始めているとして、
『DMA国際エコー賞に学ぶ世界のダイレクトマーケティング最前線2012』(宣伝会議)
の中からAT&Tなどいくつかの社会的なキャンペーン事例を紹介。
最後に、マーケティングのノウハウは1社で独占するのではなく、
社会の中のさまざまな人々と共有していく時代になっており、
ダイレクトマーケティングはそのベースとなる考え方であるとして講演を締めくくった。
第2部の横田さんによる講演、「『ザ・マーケティング』をビジネスで生かす」は、
『ザ・マーケティング』の中から5つのポイントにフォーカスし、
日本国内の事例を交えて解説するスタイルで構成。
①同書第1部・第6章の「顧客との関係構築」で記されている、
多くの企業において軽視されがちな顧客奪回策にフォーカス。
これに対応する国内企業の取り組みとして、
『CRM年鑑2010』よりドクターシーラボを取り上げ、
同社がさまざまな施策により購入回数・売上高の増大に成功した事例を紹介。
②同書第1部・第8章の「対企業マーケティング」、
第9章の「リードジェネレーションを活用した対企業マーケティング」を参照しつつ、
B to Bにおける見込客の育成にフォーカス。
『B to Bマーケティング成功事例集』より日立リリューションズの事例を取り上げ、
同社における見込客育成プロセスを紹介すると同時に、
B to B領域におけるマーケティング部門と営業部門の連携の重要性を説いた。
③同書第2部・第14章の「テレマーケティング/テレセールス」より、
インターネットにより“最も大きな影響を受けた”インバウンドサービスにフォーカス。
国内事例としては、『コールセンター年鑑2011』に掲載された
ネットを主販路とする生命保険会社、ライフネット生命を取り上げ、
インターネットとコールセンターを駆使したプル型営業の強化により
業績を大きく伸ばした経緯を紹介した。
④同書第3部・第15章の「インターネットダイレクトマーケティング」より、
ランディングページの作成要諦にフォーカス。
国内企業としては、『ソーシャルメディア・マーケティング成功事例集』から
ニッセンのコミュニティサイト「ハピテラ」の成功事例を取り上げると同時に、
同社サイトを上記の作成要諦の視点からチェックすることで成功要因を検証した。
⑤同書第4部・第19章の「カタログ通販ビジネスの企画と経営管理」より、
カタログ通販利用者の心理にフォーカス。
国内企業としては、『CRM年鑑2010』から千趣会を取り上げ、
優良顧客を選別し、徹底的に優遇する同社のロイヤリティ・プログラム
「クラブ・ベルメゾン」の取り組みとその効果を紹介した。
第3部の「ボブ・ストーンを語る」は、横田さんの司会のもと、
基調講演講師の神田さんとルディー和子さんによるパネルディスカッション。
実はルディーさんは、『ザ・マーケティング』の原書である、
『Successful Direct Marketing Methods』を1982年に
『ダイレクト・マーケティング・マニュアル』(ダイヤモンド社)として
翻訳されたとあって、お二人は初対面ながらも浅からぬご縁。
しかも、お二人ともダイレクトマーケティングはもちろん、
パネルディスカッションにも慣れておられるとあって、
横田さんがあらかじめ用意した質問や、受講者から募った質問に、
間髪を入れずにリズミカルに応えていかれたのにはさすがの感があった。
例えば、ダイレクトマーケティングについて、
神田さんが「人を成長させるメカニズムがある」として、
供給者視点→生活者視点→地球視点へという成長プロセスを提示されたのに対し、
ルディーさんは「ダイレクトマーケティングは人間研究の場として面白い」と、
異なる切り口から独自の視点を披露されるといった具合。
神田さんのお話の中では、
・他社の成功事例をそのまま模倣するのではなく、
自社に置き換えていくことが重要である、
・企業そのもののあり方こそが最大の問題である、
・今の会社を生まれ変わらせることが重要である、
などが印象に残った。
スタッフとしてあちこちに気を揉みながらの受講であったため、
きれいにまとめることはできなかったが、
ブログをご覧いただいた方の何らかのご参考になれば幸いである。
「通販ビジネス実戦セミナー」最終回は神田昌典氏、ルディー和子氏をゲストスピーカーに迎えて閉幕
2012年7月21日