「ありがとう」の理念に共鳴するアンバサダーとの連携でサービスを活性化

(株)オウケイウェイヴ

(株)オウケイウェイヴでは、ソーシャル多言語コミュニティ「OKWave ありがとう」において、「OKWaveアンバサダープログラム」を2012年4月にスタート。さまざまな国籍を持つアンバサダーとの連携により、サービスの活性化を図っている。

「OKWave」のワールドワイド版「OKWave ありがとう」の普及を目指す

 日本初、国内最大級のQ&Aサイト「OKWave」の運営を行う(株)オウケイウェイヴでは、同社が運営する20カ国語に対応したソーシャル多言語コミュニティ「OKWave ありがとう」において、「OKWaveアンバサダープログラム」を2012年4月から運営している。
 「OKWave ありがとう」は、「感謝」「感動」「応援」などのポジティブな気持ちを、世界中のユーザー同士が共有できる投稿機能「ありがとうエピソード」をはじめ、ユーザー同士で投稿を翻訳し合うことで言語の壁を越えてお互いの悩みや疑問を解決したり、相互理解を図ったりすることを目的とするソーシャル多言語コミュニティだ。「“ARIGATO”で世界をつなぎ幸せで満たす」ことをミッションとする同社において、いわば「OKWave」のワールドワイド版として2010年にFacebook アプリからスタートし、2011年に専用サイトを立ち上げたこのサービスは、現在20カ国語に対応しており、ユーザーはFacebook、Twitter、Google+のいずれかのアカウントを通じて無料で利用できる。
 従って「OKWave ありがとう」をビジネスの側面からとらえると広告モデルのサービスということになり、サービスの中でいかに活発なコミュニケーションが繰り広げられるかが、ビジネスの成否のカギを握っている。
 「OKWaveアンバサダープログラム」が目指すところは、さまざまな国籍・言語のアンバサダーが、運営側である同社とともに、「OKWave ありがとう」内のコミュニケーションをサポートし、リードすることで、その存在や理念を広めていこうというものであり、同サービスの普及のための仕組みであると言える。また、「OKWave ありがとう」の運営において、世界各国からの国費留学生などをインターンとして起用している同社にとっては、その取り組みを緩やかに、かつ広範囲に広げるものであるとも言えるだろう。

多言語でのコミュニケーションを迅速・円滑化

 「OKWaveアンバサダープログラム」の立ち上げにおいては、2012年4月からサイト上でアンバサダー就任希望者を募集。世界各国からの留学生など数十名に及ぶ応募者の中から、書類選考、面接などにより、「『OKWave ありがとう』の理念に共鳴し、その考え方を広めていこうとする意欲があること」「リアル、バーチャルを問わずに幅広いネットワークを有していること」などを基準として20名弱を選考。初代アンバサダーとして任命した。
 なお、同社ではアンバサダーに対して直接的な報酬は用意していない。アンバサダーのメリットは、同社Webサイト内でその活動履歴が紹介され、インターネット上でのプレゼンスが向上することをはじめとする、いわば“名誉”的なものであるが、特にインターネット上でのコミュニケーションを拡大したいアンバサダーにとっては魅力的なものとなっているようだ。
 一方で、同社にとっての「OKWaveアンバサダープログラム」運営の最大のメリットとしては、多言語でのコミュニケーションが迅速・円滑化したことが挙げられる。「OKWave ありがとう」では、基本的にユーザーが翻訳を行うことで多言語間のコミュニケーションを成立させているが、この翻訳作業をアンバサダーが率先して行うことで、コミュニケーションが迅速・円滑化しているのだ。さらに、アンバサダーにはインドネシア出身者が多く、同国の文化などに関する質問にも充実した回答が得られるようになったことで、インドネシア関連の投稿が増えるといった効果も表れている。
 また、「OKWave ありがとう」はワールドワイドのサービスという性格ゆえに、過去にはセンシティブな国際政治にかかわるテーマでコミュニケーションが過熱するようなこともあったという。しかしこの点についても、アンバサダーがモデレーターのような立場で方向を修正する投稿を行うことで、運営側による介入や投稿の削除といった事態に至ることはほとんどなくなっており、自由な意見交換を行うためのコミュニティとしての中立性を保ちやすくなったという。

言語をカバーしている約140カ国について1カ国1人のアンバサダー配置を目指す

 「OKWave ありがとう」は、前述の通り、現状20カ国語に対応しており、国単位で見ると約140カ国をカバーしている。そこで同社では、「OKWaveアンバサダープログラム」についても当面、1カ国に1人のアンバサダーを配置することを目指している。
 そのための施策としては、例えば、2013年3月にPRイベントとして「アンバサダーパーティ」を開催した。
 このパーティは、同社が留学生のインターン採用などにより構築してきた複数の大学とのコネクションなどを通じて、世界各国からの留学生約80人を招待。「OKWaveアンバサダープログラム」の紹介や、既存のアンバサダーによる活動内容紹介などのプログラムから構成された。多くの参加者がパーティを楽しみ、アンバサダーへの就任を希望する者も少なくなかったとのことである。
 そのほか、今後については、アンバサダー同士がインターネット上で意見交換を行うための専用コミュニティを立ち上げることなども検討しており、これらの施策により、アンバサダーになることの魅力を高めていくことで、アンバサダーの規模の拡大につなげていきたい考えだ。
 なお、アンバサダーとしての活動の積極性においては、国籍や性別・年齢などの属性による差はほとんどないとのことであり、今後もプロフィールにとらわれず、「OKWave ありがとう」の理念を広めていこうという熱意のある人材の発掘に努めていく意向である。

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2013年3月に開催されたアンバサダーパーティの様子。上は「OKWave ありがとう」の体験コーナー

既存のアンバサダーの声を取り入れ さらなるブラッシュアップ・活性化を図る

 「OKWaveアンバサダープログラム」のスタートから約1年が経過したが、その中でいくつかの課題も見えてきた。
 例えば、前述の「アンバサダーパーティ」については今後も定期的に開催することを検討しているが、その開催月について、秋からの留学生が多い中、現状ではどの月が最もふさわしいかについて、明確な解答が出ていない。
 また、今後もアンバサダーに対する具体的な報酬は提供しないという前提の下、プログラムの中にアンバサダーに他者からの“承認”や“栄誉”という、無形の報酬を感じてもらう仕組みをいかに組み込んでいくかも大きなテーマだ。
 同社ではこれらの課題について、既存のアンバサダーの声などを取り入れながら対応していく意向であり、その実践を通じて、プログラムのさらなるブラッシュアップ、活性化を図っていきたい考えである。


月刊『アイ・エム・プレス』2013年6月号の記事