プロモーションに役立つメイク動画投稿サイトを運営

(株)スタイリングライフ・ホールディングス

輸入生活雑貨「PLAZA」などを展開する(株)スタイリングライフ・ホールディングスでは、2012年3月から“ビューティ”に特化した動画投稿サイト「みんなのメイク」を運営。同サイトを軸とした広告/マーケティング/ビジネス支援サービスの展開を推進している。

メイク動画を投稿・閲覧できる動画投稿サイト「みんなのメイク」

 輸入生活雑貨「PLAZA」を展開するプラザスタイルカンパニー、化粧品や医薬部外品の開発・製造・販売を行うBCL カンパニーなどを擁する(株)スタイリングライフ・ホールディングスでは、2012年3月から“ビューティ”に特化した動画投稿サイト「みんなのメイク」の運営を行っている。
 「みんなのメイク」は、メイクやネイル、ヘアアレンジなど「キレイ」に高い関心を持つ女性が、リアルな情報であるメイク動画を投稿・閲覧できる場として提供されている動画投稿サイトだ。
 会員登録をすると、普段のメイクやおすすめテクニック、お気に入りのアイテムなどを動画で投稿することができ、アイテムやキーワード、テイスト、季節/シーン、ブランド名などから、投稿された動画を検索・閲覧することができる(検索・閲覧は非会員でも可能)。
 同サイトは単に動画が並んでいるだけではなく、検索機能も充実。例えば独自に開発した“コレ! 使ってます”は、動画に出てくる気になるアイテムの情報が一目でわかる機能で、使われている化粧品を特定してから動画を選択することもできる。また、動画やアイテム、ブランドについて「LOVE !」ボタンをクリックしたり、コメントをしたり、お気に入りのメンバーをフォローしたりする機能、さらにはFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアとの連携機能もあり、会員はこれらを活用することによってコミュニケーションを深めることができるようになっている。さらに、モニターメンバーとして登録すれば、商品モニター企画や各種イベントなどに参加することもできる。

「メイク動画の撮り方ガイド」コンテンツの提供などで投稿を促進

 「みんなのメイク」では会員登録や利用に対して課金は一切行っていない。ビジネスモデルとしては広告モデルであり、製造業、小売業を中心に手掛けてきた同社にとっては、まったくの新規事業であると言える。
 同社がこの事業への取り組みを開始したのは2011年初頭から。取り組みの根底にあったのは、プラザスタイル カンパニー、BCLカンパニーなどの主要顧客層である女性をターゲットに、店舗、商品に続く第3のコンタクトポイントをインターネット上に構築し、コミュニケーションを深めていきたいという思いであった。
 そのあり方を検討する中で、“ユーザー発”のコンテンツを中心としたポータルサイトを、メイクを中心とした“ビューティ”を軸に展開する案が浮上。メイクの過程は静止画やテキストだけでは表現しにくいことや、海外の動画投稿サイトで、メイクの動画が人気を集めていたことなどから、“ビューティ”に特化した動画投稿サイトを立ち上げることを決め、2011年9月ごろから具体的な制作作業に着手。2011年12月26日からの限定オープンを経て、2012年3月1日、正式オープンに至った。なお、正式オープンに当たってはYouTubeとパートナーシップ契約を結び、YouTube内にも「みんなのメイク」チャンネルを開設している。
 スタート時のサイト告知については、リスティング広告の出稿と、プレスリリースの配信、自社のリアル拠点である「PLAZA」店頭での訴求を行った程度。その後も基本的にはクチコミを中心に、認知拡大を図っている。
 同社はサイトへの投稿者を独自に“動ガール”と名付けたが、この言葉は今、多くのメディアで取り上げられる話題のキーワードに成長。サイト上のコンテンツとして「メイク動画の撮り方ガイド」を用意しているほか、参加費無料の「動画撮り方教室」などを開催。さらに、投稿者の中から「魅力的なメイク動画を投稿している」ことなどを条件に100人を上限とする“プレミアムメンバー”の認定を行い、スペシャルアイコンの授与や限定イベントへの招待などの特典を提供することなどで、投稿の促進を図っている。
 現状、投稿者数は数百人規模であるが、今後もクチコミを中心とした訴求を続けていくことで、数千人規模に拡大したい考えだ。
 一方、ビジネスという側面では、化粧品メーカーやブランド、小売事業者への訴求を進めている。
 活発な投稿を行う“動ガール”の中には、ササキアサヒさんのようにインターネット上でカリスマ的な人気を集めている人もおり、主要メンバー約30人のクチコミによるリーチ範囲だけを見ても、メイクに関心のある約15万人のユーザーに及んでいる。また、同社の調査によれば、メイク動画に登場するアイテムを見たユーザーの約8割が「試したいと思った」と回答。さらに、ユーザーが見たいメイク動画の種類の中では「一般人のセルフメイク動画」が「有名人のセルフメイク動画」「有名人のコスメレビュー動画」などを抑えて1位となっており、一般女性の投稿によるメイク動画が高い訴求力を有することを物語っている。
 同社が提供するサービスは、この高い訴求力をプロモーションに活用しようというものであり、“動ガール”との「コラボイベント」や「コラボムービー」、「みんなのメイク」と連動したオリジナルWebサイト、“動ガール”を起用した店頭用PR動画などのさまざまなメニューで、商品・ブランドの訴求をサポートしている。
 なお、これまでのクライアントとしては、バラエティショップやセルフ販売のショップなどで取り扱っているブランドが中心であるが、今後はより幅広いクライアントの開拓を図っていきたい考えである。

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クチコミで徐々に会員数を増やしている「みんなのメイク」のWeb サイト。カリスマ“動ガール”のササキアサヒさんがアップする動画などには、多数のアクセスが集まる

スマホ/タブレットからのアクセスにも積極的に対応予定

 「みんなのメイク」の運営における今後の課題としては、魅力的なメイク動画の投稿を行う“動ガール”をいかに育成していくかが挙げられている。
 女性は男性と比較して、動画の撮影・編集技術を持つ人が少ないという傾向がある。この点を同社では、前述の「メイク動画の撮り方ガイド」や「動画撮り方教室」などでサポートしている。今後も継続的に技術的な側面をカバーし、「メイク動画を通じて自分自身を表現したい」といったモチベーションを喚起しつつ、投稿促進の仕掛けを強化していく意向である。
 また、スマートフォン(以下、スマホ)/タブレットへの対応も大きなテーマだ。「みんなのメイク」へのアクセス・デバイスとしては、すでにスマホ/タブレットがPCを上回っている現状であるが、スマホ/タブレットの普及状況を考えると、今後、この傾向はさらに顕著になると考えられる。対応策として、同社では、例えばアクセスの入り口としてのスマホ・アプリの提供など、サイト利用の活性化につながる施策を検討・実施していきたい考えである。


月刊『アイ・エム・プレス』2013年4月号の記事