期待以上のサービス=感動 カスタマー・ディライトの創造にチャレンジ

(株)ノーリツ 

給湯器市場において4割のシェアを持つ(株)ノーリツ。商品に関する問い合わせや修理を受け付けるノーリツコンタクトセンターでは、CS向上に向けてお客さまの期待を上回るサービスを推進。カスタマー・ディライトの創造を目指している。

全国からの問い合わせや修理の受け付けを一手に担う

 1951年に、「お風呂は人を幸せにする」という創業の原点とともに、日本にお風呂文化を広めてきた(株)ノーリツ。現在では、「お湯」をキーワードに、ガス・石油温水機器、温水暖房システム、システムバス、システムキッチン、洗面化粧台、そして厨房機器などの商品を通じて、「お湯による」快適生活を提案している。このほか、グループを挙げて地球環境との共生にも力を注いでおり、太陽光発電、太陽温水器・燃料電池など、新エネルギーの分野にも参入。創業の原点はそのままに、「お湯を超えていくノーリツグループ」として、環境、安全、快適、健康、美容をテーマに進化を続けている。
 同社には日々、全国の工務店や設備会社、ガス会社などの販売・施工会社とエンドユーザーから、商品に関する問い合わせ、および修理・点検の申し込みが寄せられる。これを受け付けているのが、ノーリツコンタクトセンターだ。同センターは、商品に関する問い合わせを受け付ける「お客さま相談センター」、点検を受け付ける「あんしん点検センター」、そして修理を受け付ける「修理受付センター」を有し、兵庫と東京の2拠点体制で運営。兵庫では「お客さま相談センター」「あんしん点検センター」と「西日本修理受付センター」、東京では「東日本修理受付センター」を開設している。
 スタッフ数は、全窓口を合わせて220名。そのうち3分の1が、派遣スタッフである。内訳は、「お客さま相談センター」が80名、「あんしん点検センター」が10名、「修理受付センター」は西が60名、東が70名となっている。このほかに「お客さまパーツセンター」や、グループ会社であるハーマンのコンタクトセンター業務も運営している。
 センターごとに若干の違いはあるが、受付チャネルには電話、eメール、ファクスを採用。電話の受付時間帯は、「お客さま相談センター」が月曜から土曜日の9時から19時までと日・祝日の10時から18時まで、「あんしん点検センター」が平日の9時から17時35分まで、「修理受付センター」は24時間365日・年中無休となっている。
 2011年の受付状況を見ると、「お客さま相談センター」では約26万件のコールと、約5,000件のeメールに対応。「修理受付センター」では、東西合わせて110万件のコールと6,000件のeメール、20万件のファクスに対応している。

ニーズに応じた情報提供でカスタマー・ディライトを創造

 ノーリツコンタクトセンターの運営・管理を一手に担うのは、同社お客さま部。全社のCSを推進する役割も担っている同部では、2012年の“ありたい姿”として、「お客さま満足度を高め、お客さまの声を商品、販売促進、アフターサービス、点検に生かすこと」を掲げた。これを実現することにより、ノーリツグループの信頼性・信用性を高め、お客さまに期待される企業になろうとしているのだ。
 その目標の達成に向けて、ノーリツコンタクトセンターでは、日々の業務の中でカスタマー・ディライトの創造にチャレンジしているという。ディライトと言っても、奇をてらったことをするわけではない。例えば、修理受付の際に電話口の向こうで赤ちゃんの泣き声が聞こえたら、赤ちゃんのいる家庭であるという情報も併せて修理を担当するサービススタッフに伝え、訪問時には何度もチャイムを鳴らさない、作業はなるべく静かに行うといった配慮をするといった具合だ。単に修理に必要な情報をヒアリングするだけでなく、お客さまの周辺情報も察知してサービススタッフと共有することで、電話応対から修理までの一連のサービス品質を高め、カスタマー・ディライトの創造に努めているのである。
 「お客さま相談センター」における、お客さまのニーズに応じた情報提供も、カスタマー・ディライトの創造に向けた取り組みのひとつだ。同センターには、給湯器の取り替え相談が多く寄せられる。同社では取り替えの際に、お客さまのニーズや設置状況をヒアリングした上で、お客さま一人ひとりに応じた取り替え機種を提案することを強化している。そのため同センターでは、電話口でお客さまの話を掘り下げてヒアリングし、ニーズに合った機種の絞り込みまで行っている。そもそも給湯器は、家を購入した際に取り付けられていることが多いので、商品の価格や機能の違いを知っているお客さまは少ない。膨大な種類の中からカタログ情報だけを頼りにお客さま自身が機種を選定することは難しいため、同センターが多くの情報を提供することで意思決定をサポートしようというのだ。
 また、お客さまの話を聞いた結果、お客さまの故障相談が他社製品のものであることが判明することもある。その際には、当該メーカーのお客さま窓口の電話番号をお知らせしているという。たとえすぐには売り上げに結び付かないとしても、お客さまのニーズを満たした上でプラスαのサービスを提供し、カスタマー・ディライトを創造し続けることが、お客さまとの距離を縮める近道だと考えているのである。

ワンストップ対応の推進でさらなるCS向上を目指す

 ノーリツコンタクトセンターにおけるお客さま対応の評価指標として用いているのは、満足度アンケートの結果と「ありがとう」の数である。
 前者では、販売会社とエンドユーザーを対象に、年2回、「お客さま相談センター」の対応への満足度を尋ねている。電話でコンタクトのあったお客さまに対して、終話時にアンケートへの協力を依頼。了承くださったお客さまにアンケート用紙を郵送するという方法だ。アンケートは5段階評価で回答する形式で、電話応対への満足度に関する設問の結果を見ると、「大変満足」と「満足」の合計が85%となっている。目標の90%には、あと一息といったところだ。もうひとつ、修理サービスを提供したお客さまを対象に、修理受付から修理完了までの各プロセスを評価してもらうアンケートも実施。こちらは毎月、アンケート用紙を発送している。
 後者は、「お客さま相談センター」の対応における評価指標として活用。お客さまの「ありがとう」で終話できたコール数をカウントしているが、現在、2コールに1コールの割合で「ありがとう」の言葉をいただいているという。
 今後は、さらなるカスタマー・ディライトの創造、CSの向上を目指して、ワンストップ対応を推進していく意向。現在、「お客さま相談センター」では、本来の担当外の修理依頼が寄せられた際にも修理受付画面を立ち上げて対応しているが、さらに業務範囲の拡大を図る意向。これを実現するべく、マルチスキルコミュニケータの育成を強化しているところだ。
 また、業務に誇りを持ち、楽しく取り組めるよう、モチベーションの向上にも取り組んでいく方針。2011年から実施している「小さなCS改善サークル」というボトムアップ型の活動に、より一層、力を入れていきたいとしている。

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Web サイトには問い合わせ窓口がわかりやすく紹介されている。修理受付センターは年中無休・24時間の受け付けだ


月刊『アイ・エム・プレス』2012年3月号の記事