レビューサイトとTwitterを連携

(株)バスクリン

入浴剤の代名詞的存在である「バスクリン」などの製造・販売を手掛ける(株)バスクリンでは、2009年11月に運営をスタートしたレビューサイト「はぴばすボイス」とTwitterを連携。同サイトに集まるクチコミのソーシャルメディアを通じた波及を図っている。

コミュニティサイト 「はぴばすボイス」を運営

 入浴剤の代名詞的存在である「バスクリン」や「きき湯」「日本の名湯」などのバスタイム製品、「薬用モウガ」「薬用モウガL」などの育毛剤、「バスピカ」「キッチンアクアショット」といったバス・キッチン用洗剤の製造・販売を手掛ける(株)バスクリン。
 1893(明治26)年に創業した「津村順天堂」〔現(株)ツムラ〕を礎とする同社は、2006年にツムラから家庭用品事業を承継してツムラライフサイエンス(株)を創業。その後2008年に、ツムラグループからの独立を果たし、2010年には、社名を(株)バスクリンに変更、現在に至っている。
 同社では2010年4月から、“あなたのバスタイムをみんなに教える”サイトとして「はぴばすボイス」を運営している。このレビューサイトは、ビタミンB2・E、オーガニックホホバオイルといった自然派成分の配合などを特徴とする「バスクリン カラダプラス」の発売に当たり、クチコミ効果を狙って配信を開始したメールマガジンの会員を母体に立ち上げたもの。
 スタート当初600人程度であった会員数は、特にプロモーションを行っていないにもかかわらず自然に増大し、2011年1月現在では、約2万3,000人に及んでいる。なお、特に会員資格などは設けておらず、ID(メールアドレス)とパスワード、ニックネーム、住所、年齢を登録すれば、誰でも会員になることができる。また、投稿は会員に限られているが、閲覧はいつでも誰でも自由に行うことができる。

自社製品に対するネガティブな投稿もそのまま掲載

 「はぴばすボイス」の内容は、会員がバスクリンのさまざまな製品に対する感想・意見などのクチコミを投稿し、そのクチクミを読んだ別の会員が“共感”ボタンをクリックしたり、コメントを寄せたりするというもの。
 クチコミを投稿するごとに、ルーレットゲームに1回チャレンジすることができ、ルーレットに当たると同社製品の詰め合わせをプレゼントされたり、自分の書いたクチコミに共感してくれた数が多いと「ユーザーランキング」や「クチコミランキング」に掲載され、名前の横に王冠が表示されたりする仕組みにより投稿を促進している。また、マイページ機能もあり、投稿したクチコミを一覧することもできる。
 投稿されたクチコミについては、他社製品に対する誹謗・中傷に当らないか、薬事法に抵触するような表現はないか、といったチェックは行っているものの、同社製品に対するネガティブな内容をはらんだものを含め、基本的にそのままのかたちで掲載しており、企業が主催・運営するサイトでありながら、コミュニティサイトの特性である自由闊達(かったつ)なコミュニケーションの場という性格を保っている。
 なお、実際に投稿されたクチコミは、好意的な内容が中心で、いわばファンサイト的な様相を呈しており、当初、懸念された誹謗・中傷に当たるような内容のものはほとんど見受けられない。また、製品への要望などもあり、例えば、「『きき湯』の詰め替え用商品が欲しい」といった投稿から、実際に製品開発の検討を開始したケースもあるとのことだ。

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レビューサイト「はぴばすボイス」のトップページ(上)商品ごとに分かれたページにクチコミが投稿される(下)

Twitter公式アカウントで約1,000人のフォロワーを獲得

 一方、同社では2010年9月に公式アカウントを取得し、Twitterを活用したマーケティングの試みも開始した。これは、Twitterへの注目度が高まったことを受けて、「失敗を恐れて尻込みするよりは、なんでもトライしてみよう」という考えで始めたもの。スタートに当たって、他の企業アカウントなどの状況を確認したところ、製品開発のウラ話など、一般の生活者が普通では知り得ない“つぶやき”などがあると反応が大きいと判断されたことから、さまざまな部署の社員がそれぞれの立場からつぶやくかたちを採った。
 現在、“つぶやき”を行っているのは10名程度であるが、今後、Twitter経験のない社員を対象に簡単なマニュアルを作成・配布することなどで、発信元の拡大を図っていく方針である。
 これまでの“つぶやき”では、例えば、同社が取り上げられた人気TV番組『ガイアの夜明け』が放送された際に、放送と同時進行で収録時のウラ話などをつぶやいたところ、多くのRTがあるなど反響が大きかったとのこと。これらの試みを通じて、フォロワー数も徐々に増加しており、2011年1月現在で約1,000人となっている状況だ。
 なお、RTがあった場合は、御礼や回答のつぶやきを行うなどの反応をなるべくスピーディーに行うことで、活気があるやりとりが成立するように心掛けているとのことである。

ソーシャルメディアとの連携によってクチコミの波及を狙う

 これら2つの試みを結び付ける取り組みが、「はぴばすボイス」とTwitterの連携だ。その内容は、「はぴばすボイス」に掲載されているクチコミそれぞれに「Twitterでつぶやく」といったボタンを付け、そのボタンをクリックすることによりTwitterのページが開かれる仕組みによって、「はぴばすボイス」とTwitterを結び付け、「はぴばすボイス」に集まるクチコミの波及を図るというもの。
 「はぴばすボイス」に掲載されているクチコミが、外部のコミュニティサイトで引用されるようなケースが見受けられることから、「はぴばすボイス」に1日平均30件程度寄せられるクチコミを、ソーシャルメディアとの連携によって広く波及させることができるのではないかといった発想でスタートしたものである。今のところあくまでもトライアルであり、検証はこれからという段階だが、今後の成果が期待されるところだ。
 同社では、製品分野でのマーケティング展開においてはまだまだマスメディアの力が大きいと認識しており、プロモーションに費やすリソースの大半はTVCMなどのマスメディアに集中したいと考えているという。
 しかし一方で、15秒や30秒で訴求を行うTVCMの効果は“気付き”を与える程度にとどまる恐れもあることから、Webマーケティングによってそれを補完する必要性も感じており、その連携の最適化が現状における課題となっている。
 その中で特にソーシャルメディアのマーケティング活用についてはまだまだ未知数の部分が大きいが、アイデア次第で大きな成果につながる可能性を秘めていると考えられることから、今後も異業種企業とのWeb上でのコラボレーションなどとともに、注力すべき分野としてトライアルを続けていく方針である。


月刊『アイ・エム・プレス』2011年3月号の記事