サイトのリッチコンテンツ化により若年層会員を獲得

(株)フレンテ

(株)フレンテでは2008年5月、携帯電話向け情報サイト「プチスパイラル」をEZweb、Yahoo!ケータイ、Disney Web向けにリニューアルした。その内容は、過去に公開した200種類以上の待ち受け画像をすべて公開。また、新たなコンテンツとしてFlash待ち受け、デコレーションメール/デコレメール素材テンプレートを加えた。その結果、初めてサイトに訪れた人が会員登録に至る確率はリニューアル前の約4倍に増加している。

携帯電話版無料お楽しみ情報サイト

 日本で初めてポテトチップスの量産化に成功した総合スナックメーカーである(株)湖池屋、「Pinky(ピンキー)」などのタブレット食品で知られる(株)フレンテ・インターナショナルなどで構成されるフレンテグループの持株会社である(株)フレンテ。同社では2008年5月、携帯電話向け情報サイト「プチスパイラル」をEZweb(KDDI)、Yahoo!ケータイ(ソフトバンク)、Disney Web(ディズニー・モバイル)向けにリニューアルした。
 フレンテは従来からインターネットの活用に積極的な企業であり、グループのWebサイト、通信販売を手掛ける「フレンテショップ」のほか、ブランドごとのWebサイトも次々に展開。これらをベースに、ユーザーにeメールによりプレゼントキャンペーンの紹介などを行ってきた。さらにフレンテグループの情報サイトとして「フレンテスパイラル」を開設。ほぼ同時にその携帯電話版としてプチスパイラルの運営も開始した。
 プチスパイラルのコンセプトは“情報&コミュニケーション”。湖池屋、フレンテ・インターナショナルの商品やキャンペーンの紹介のほか、Pinkyの「ピンキーモンキー」、スナック菓子・カラムーチョの「ヒーおばあちゃん」、同・ポリンキーの「スリーポリンキーズ」など、同社商品の人気キャラクターを活用した待ち受け画像の提供などを行ってきた。利用は無料(別途パケット通信料が必要)。iモード(NTTドコモ)、EZweb、Yahoo!ケータイ、Disney Webの公式サイトになっており、登録会員数(PC版を含む)は約28万人に及んでいる状況だ。
 今回のリニューアルでは、過去に公開した200種類以上の待ち受け画像をすべて公開。また、新たなコンテンツとしてFlash待ち受け、デコレーションメール(EZweb)/デコレメール(Yahoo!ケータイ、DisneyWeb)素材テンプレートを加えた。また、週1回配信しているメールマガジンも、希望者にはデコレーションメール/デコレメールで配信し、その中の画像を会員がメールを送付する際にも利用できるようにした。
 なお、今回のリニューアルでは特に若年層会員を意識。これらの層の新規会員の獲得や既存会員の利用活性化を目指し、日々進化しているモバイルサイト運営にかかわる技術をふんだんに盛り込んだ。サイトデザインや色使いなどについてはFlash Liteを利用したかわいらしいキャラクターの動きを見せるとともに、サイト全体を街のように表現することにより、キャラクターの世界観をより直感的に伝えられるようにした。その結果、商品パッケージなどでプチスパイラルの存在を知り、初めてサイトに訪れた人が会員登録に至る確率はリニューアル前と比較して約4倍に増加した。また、狙い通り若年層の会員が増加し、リニューアル前には30代半ばがピークとなっていた会員の年齢分布でも、10代後半が大きなボリュームを持つようになったとのことである。

内部スタッフにより機動的な運営を実施

 プチスパイラルについては、システム開発こそアウトソーシングしているものの、コンテンツ制作を含めた運営は基本的に内部スタッフで行っている。その理由として挙げられているのは、新製品の発売などのPRや会員の要望などに機動的な対応ができることだ。
 例えば、メールマガジンの返信で会員から「特定キャラクターの新たな待ち受け画像が欲しい」などの要望が寄せられた場合、できる限り対応している。一方で、人気コンテンツとなっている「突然クイズ」(登録すると月に8~9回、不定期クイズのメールが送られ、回答すると正解/不正解の別と解説が表示される。正解ごとに付与されるポイントが貯まると昇級、昇段できる)では、多くの会員が自ら考えたクイズを登録するなど、サイト運営に積極的な関与をする会員も多く、いわば「お客様と一緒に作る」サイトになっている状況である。
 プチスパイラルの運営上の課題としては、携帯電話向けならではの問題として、会員が所有する端末の機能や画面サイズの幅にどのように対応していくかという点が挙げられている。現状では、常にその時点で主流となっている機種を対象にその機能を活用できるリッチなサイトづくりをベースとしつつ、多少古い機種での利用もフォローできるよう、静止画を中心とする「おとなしい」サイトも用意するなどの対応をしているとのことだ。
 なお、プチスパイラルは中長期的なファンづくりを目的に運営しているものであるが、結果としては新商品の認知を上げ、初速を上げるなど売り上げへの貢献を目指している。

新商品に対応する専用サイトも開設

 同社では、若年層とのコミュニケーションの媒体としての携帯電話の価値を高く評価しており、プチスパイラル以外でもその活用を図っている。その一例として挙げられるのが、受験生を応援する新商品に対応する専用サイトの開設だ。
 これは、いずれも“受験生を応援する”ことをコンセプトとする季節限定型の新商品、「ポリンキーとんカツ(勝つ)あじ」「Pinky 春だ!満開プラムミント」の発売に合わせ、同社のキャラクターがデコメール(iモード)/デコレーションメール/デコレメールやFlash待ち受けになって受験生の合格祈願をするなど、受験生を応援するサイトを開設したもの。受験生がいわば「ケータイ世代」であることに注目し、携帯電話専用としている。商品パッケージでの告知のほか、フレンテスパイラル、プチスパイラルなどを通じて紹介したところ、昨年12月上旬の開設から2週間ほどで約5,000件のアクセスが寄せられており、利用者の評判も上々であるとのことだ。

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プチスパイラルのトップ画面とデコレーションメール画面

ケータイを通じた顧客とのコミュニケーションを強化するために

 今後についても、ケータイを通じた顧客とのコミュニケーションは強化していく方針である。特に「お客様と一緒に作る」サイトという性格をさらに強めていきたい考えであり、会員から寄せられる要望などにはこれからもできる限り対応していく。また、進化を続ける携帯電話関連の技術も積極的に取り入れていく意向であり、そのために通信キャリアの動向には常に注意していくとのことだ。
 なお、前述の通り、2008年5月のプチスパイラルのリニューアルは、EZweb、Yahoo!ケータイ、Disney Web向けを対象とするものであったが、今後、iモード版についてもリニューアルを検討していく。


月刊『アイ・エム・プレス』2009年2月号の記事