コアなファンによるサンプリングを通じてさらなる“ファンづくり”を展開

(株)フレンテ・インターナショナル

(株)フレンテの事業会社である(株)フレンテ・インターナショナルでは、スウィートミントタブレット「Pinky(ピンキー)」を全面刷新し、2007年11月5日から全国発売を開始した。そこで同社グループが運営するWebサイト「フレンテスパイラル」の登録会員による発売前サンプリング「新しいPinky 発売前にあげちゃい隊」を実施。Pinkyを配布していただけるファンを2万人募集し、計60万人に試食サンプルを配布した。

全面刷新した「Pinky」の発売前に2万人のファンを募集し、サンプリングを実施

 1997年に「Pinky(ピンキー)」を発売し、スウィートミントタブレット市場を確立した(株)フレンテ・インターナショナル。同社では2007年11月5日に「Pinky」の全面刷新を実施したが、それに先駆け、約60万人を対象とする新商品サンプリングを行った。
 このサンプリング・キャンペーンでは、まず、2007年10月3日から10月16日に、同社が1998年から運営しているWebサイト「フレンテスパイラル」(http://spiral.frente.co.jp/)のメールマガジン登録会員約30万人(PC版・ケータイ版合計)から、配布を担当する「新しいPinky 発売前にあげちゃい隊」を募集。応募者の中から当選した2万人の「あげちゃい隊」隊員に2つのフレーバー(各30袋)の試食用小袋を送付し、各隊員が友人や知り合いに試食用小袋を配るというかたちを採った。2万人の隊員が30人ずつの友人・知り合いへの配布を行うことにより、約60万人へのサンプリングを実現したわけだ。ちなみに2万人という数は、「Pinky」のコアなファンがその程度存在するのではないかという認識などから設定した。当選した隊員からは、「やっと念願の隊員になれた」といった声が数多く寄せられたとのことである。
 同社では従来から、繁華街や映画館、アイドル歌手のコンサート会場など、「Pinky」の主なターゲットである女子中高生が多く集まる場所や、「フレンテスパイラル」経由でのサンプル配布を実施してきたが、2007年から、「あげちゃい隊」を通じたサンプリングを開始。3月、6月にそれぞれ1,000人、300人規模の「あげちゃい隊」キャンペーンを行い、これが好評であったことから、今回、2万人と規模を大きくして実施することになった。その狙いは、まずは「Pinky」のコアなファンに新しい「Pinky」をいち早く知ってもらい、そのファンを通じて「Pinky」のリニューアルに関する認知を広めることにあった。「Pinky」ファンが配布を行うことにより、配布の場面で何らかのコミュニケーションが発生し、企業からの直接配布とは異なる口コミ効果を誘発することを期待したのだ。

「あげちゃい隊」隊員専用の掲示板を用意 3,000件を超える“活動報告”が投稿

 今回のサンプリング・キャンペーンでは、単に商品サンプルを配布するだけでなく、キャンペーンを通じて、「Pinky」ファンがファン度をさらに増し、また、新たなファンを生むための工夫がなされている。
 まず、「あげちゃい隊」隊員へのサンプル送付に当たっては「隊員認定書」を同封。「Pinky」への親近感の増幅を図った。
 また、「Pinky」のブランドサイトである「Pinky.jp」(http://pinky.jp/)に、隊員向けの「新しいPinky 発売前にあげちゃい隊 活動報告掲示板」を設け、サンプル配布時の様子や感想などのコメントや、配布時の写真などの“活動報告”の投稿を募集。隊員が自分以外の隊員の活動の様子を確認できるようにした。さらに、閲覧は隊員以外でもできるため、例えばサンプルを渡した場面の写真掲載を通じて、隊員とサンプルを渡した人の間で、新たなコミュニケーションが生まれるというようなケースもあるようだ。
 “活動報告”はサンプル送付後、約1カ月で3,000件を突破、現在でも1日100件ペースで“活動報告”は増えており、最終的には4,000件程度に達することが見込まれている。企業からの情報発信ではなく、あくまでも隊員の報告の場であるという性格を維持するため、例えば「(あるフレーバーについて)小さい子どもには辛過ぎるようだ」など、若干ネガティブな要素のある投稿もそのまま掲載しているが、もともと隊員が「Pinky」ファンということもあり、大半は、「友人とのコミュニケーションが深まるきっかけとなった」「知り合いにとても喜ばれた」など、ポジティブな内容の投稿となっている。
 なお、「フレンテスパイラル」では20代~30代半ばまでの女性会員が多く、「Pinky」の主なターゲットである女子中高生は少ないことから、主要ターゲット層に商品が行き渡るかが若干懸念されたが、「近所の中高生に渡した」といった“活動報告”も多く、世代を越えてファンがファンを生むという効果もあったようだ。

140cs3
認定書B5

「あげちゃい隊」隊員に選ばれた「Pinky」ファンには「認定書」 が渡された

サンピル

当選した2万人の「あげちゃい隊」隊員に、「レモンライムミント」と「ピーチミント」の2種類のフレーバー(約30袋)を送付

今後もWebサイトを絡めたサンプリングを継続展開する予定

 今回のサンプリング・キャンペーンは、TVCMやラジオ・雑誌・交通広告展開などを含めた商品全面刷新プロモーションの一環として行われたものであり、単独での効果測定は難しい。しかし、同社には多くの“活動報告”が寄せられており、ポジティブな内容が多いことなどから、おおむね成功したものととらえている。ちなみに初期の配荷は順調であり、商品全面刷新時の“初速向上”というプロモーション全体の目的も達成できているようだ。
 同社では、「Pinky」をロングセラー・ブランドと位置付けており、そのプロモーションにおいては、商品に関する情報を多くの人に伝える力は強いが、いわば一方通行であるTVCMなどの広告と並行して、中長期的なファンづくりのために、より深い印象を残す施策が必要であると考えている。そのひとつの方法として、Webサイトを絡めたサンプリングは有効であるという認識から、今後もさまざまな趣向を模索しながら、継続して実施していく方針である。
 なお、現在検討としている趣向のひとつとしては、同社が「フレンテスパイラル」のコーナーのひとつとして設けている、ブロガーのためのコミュニティ「スパイラルタウン」との連動が挙げられる。「スパイラルタウン」は、ブログを登録するとWeb上の仮想の町に自分の家が建ち、近所付き合いのようなかたちで、ブロガー同士の交流が図れるというもので、現在1,300人弱の登録がある。今後、「スパイラルタウン」の“住民”に限定した「あげちゃい隊」の結成などを展開していく意向だ。


月刊『アイ・エム・プレス』2008年1月号の記事