地域限定サービスの案内にタウンプラスの特性を活かす

パレットタウン運営協議会(森ビル(株))

パレットタウンでは、2004年から臨海副都心の地域限定で優待カードを発行している。配達地域指定冊子小包郵便物「タウンプラス」を使って地域の住民・就業者にくまなく配布したことにより、法人だけでも1%を超える高いレスポンスを記録。今回は、パレットタウン運営協議会の事務局として業務に携わる森ビル(株)の担当者を取材した。

協議会が中心となりPR活動やキャンペーンを実施

 東京・お台場のレジャースポットとして家族連れやカップルに人気の複合商業施設「パレットタウン」。18世紀ヨーロッパの美しい街並みをモチーフにしたテーマパーク型ショッピングモール「ヴィーナスフォート」や、ショールームに試乗コースが併設された自動車のテーマパーク「MEGA WEB」、屋内型アミューズメント施設の「東京レジャーランド」、世界最大級の収容数を誇るライブハウス「Zepp Tokyo」、そしてランドマーク的存在の大観覧車などで構成され、ひとつの“街”を形成している。施設によって運営主体は異なるが、街全体を活性化させるための広報やPR活動、キャンペーン、Webサイト、問い合わせ窓口については、各事業者の代表が参加する「臨海副都心パレットタウン運営協議会」により運営されている。

パレットタウン

パレットタウン周辺地図

地域限定の優待カードを発行し「タウンプラス」を利用してくまなく配布

 同協議会では、平日の集客促進策として、臨海副都心の住民やエリア内の就業者を対象に地域限定の優待カード「ハッピーパレットパスポート」を発行し、カード保有者に対象店舗や施設で割引きや優待サービスが受けられる特典を提供している。現在、カードの有効期限は1年間。繁忙期や土日・祝日を除く平日限定のサービスだ。このサービスは2004年から実施しているが、今回は日本郵政公社が提供する配達地域指定冊子小包郵便物「タウンプラス」を利用し、2006年10月下旬に配布した。タウンプラスは、宛名の記載を省略した冊子小包郵便物を一定のエリア(丁目単位)内のすべての配達箇所(住民・事業所)に送付するサービス。一般の郵便物より安価な料金設定になっており、今回のように特定の地域へくまなく配布する場合に適した配布手段だ。
 2005年までは、就業者には臨海副都心の事業所が形成するネットワークの名簿を使用して配布しており、住民にはポスティングを行っていた。従って、就業者は会合の参加者などに限られるほか、住民についてはセキュリティの厳しいマンションには配布できないなど、サービスを受けることができる対象者に等しく行き渡らないという課題を抱えていた。今回はタウンプラスを利用することにより、サービスの対象地域にくまなく配布することに成功。配布地域を一部拡げたものの、昨年の約2倍に当たる1万通を配布することができた。また、宛名の印字が不要なため、個人情報管理の負荷の軽減にもつながった。

129-2

有効期限が1年間の「ハッピーパレットパスポート」(右上)/パレットタウン運営協議会が利用した、配達地域指定冊子小包郵便物「タウンプラス」にパスポートを開封した。案内状の裏面はFAX送付状になっている。指定したエリアのすべての世帯・事業所に等しく配布することができた

1%を超える高い反応率 街の活性化につながる持続的な効果

 今回のタウンプラスは、1世帯・事業所につき1通の配布になる。そこで、対象地域の希望者全員に優待カードを発行するために、複数枚が必要な住民については、タウンプラスに封入した案内状を持参いただいた方に案内カウンターで追加分のカードを発行するほか、事業所については就業者数に応じた必要枚数をFAXで返信するための専用用紙をDMに同封している。FAXについてはDM送付後の約2週間で80通ほどの返信があり、12月中旬には100通を超えた。配布数に対するレスポンスでみると、カードの追加発行を希望する事業所だけでも1%を超える高い数値を記録していることになる。また、発送から1カ月半が経過した取材時点でもレスポンスが続いており、効果が長い間持続しているという。優待カードの発行枚数については、一般住民が複数枚を希望したものも含め、取材時点ですでに2万枚を超えていた。今後は対象店舗にアンケートなどを実施し、効果測定を行っていきたいとしている。
 パレットタウンには250ほどの店舗や施設が存在するが、キャンペーンに参加した店舗や施設は80数社に上る。同協議会では、今後も街の活性化につなげるための施策作りに積極的に取り組んでいく意向だ。


月刊『アイ・エム・プレス』2007年2月号の記事