ネットの新システムを積極的に取り入れ効果的な顧客の獲得や維持・拡大に挑む

ジュピターショップチャンネル(株)

今年創設10周年という大きな節目を迎えるジュピターショップチャンネル(株)。同社は、「コンタクトポイント」の拡大をテーマにさまざまな施策を展開している。例えば、顧客のパソコンの画面にショップチャンネルで放送中の商品やお買得商品の情報を届けるソフト「SHOPホットナビ! 」は、その拡大に寄与しつつある。同社の最新のネット戦略を追った。

コンタクトポイントの拡大が同社の近年のテーマ

 1996年の設立から今年で10周年という大きな節目を迎えるジュピターショップチャンネル(株)。同社のビジネスモデルは、CATVとCSの放送インフラを使ったテレビショッピングである。視聴可能世帯数はすでに2,000万世帯を突破し、1日の平均コール数は3万~4万件に上る。2005年度の売り上げは761億円でテレビショッピング業界トップ、2006年度の売り上げも前年度比「10%台の後半」の増加を見込むなど、その勢いに衰えは見えない。
 その原動力のひとつが、「コンタクトポイント」の飽くなき拡大だ。「ショップチャンネル」に新規の視聴者をいかにして呼び込み、そして視聴者の耳目を1秒でも長くチャンネルに釘付けにさせるか。視聴時間がアップすれば、必然的に「ショップチャンネル」から商品を購入する顧客の人数や購入回数がアップする、という発想である。
 これを実現するため、開局直後の1997年3月には番組の24時間放送に移行し、そのうち週18時間を生放送とした。そして2001年3月には我が国初の24時間生放送を実施、2004年9月には完全24時間生放送を達成したのである。
 しかし、「コンタクトポイント拡大」という観点から見た場合、放送時間は1日24時間が限界。そこで目を付けたのが、「インターネット」の分野である。
 2003年、Web上に「ネットでSHOP」を開設、また最近の試みとしてはRSSやアフィリエイト(成果報酬型広告)といった新技術を取り入れ、より効果的な顧客の獲得や維持・拡大に挑んでいる。現在、同社がネット戦略でトライアル的に取り組んでいるのがRSS、特に注力しているのがアフィリエイトである。
 まずはRSSだが、同社は2004年12月から「ネットでSHOP」上で「SHOPホットナビ!」という名のRSSリーダーをプラグインとして提供し始めた。これは、いわゆる「ティッカー(電光掲示板)」タイプで、ユーザーがダウンロードすると、PCモニターのデスクトップ上で、電光掲示板のように「本日のお買い得」情報や、放送中の商品情報、キャンペーン情報など文字情報を流す仕組みだ。2006年3月時点で、3万人以上に配布。現在も増え続けている。
 2005年12月からは、このサービスをさらにパワーアップ、商品写真を提供し始めた。もちろん文字情報より「画像」のほうがユーザーに対するインパクトは絶大で、視覚的に商品情報を把握した顧客が商品写真上をクリックすれば、即座に商品購入申し込みページへと移動する仕組みだ。

RSSの狙いは顧客の「囲い込み」と「バイラル」効果

 同社はRSSに対して、2つの具体的効果を期待する。ひとつは顧客の「囲い込み」で、もうひとつは「バイラル」の効果である。
 まず前者だが、RSSはそもそも「ブログ」を通じて伸びているツールである。更新したブログを、“常連客”にいかに早く読んでもらうか、という目的で頭角を現した。逆に利用者側としては、膨れ上がった「お気に入り」のブログや各種サイトの内容が新しくなっているか否かを、いちいちサイトを訪れてチェックするのは骨が折れる。更新された時だけその情報がRSSを通じて流れればとても便利だ。
 同社はこうした利用者の心理に注目した。「ショップチャンネル」のユーザーは、当然のことながら最新の商品情報を入手したいはずである。ただし顧客はPCでさまざまなことを行っている。そんな時、モニター画面の隅で“ちょろちょろ”と新しい商品情報が現れる。そして「面白いな」と興味を持てば、すかさずクリックして同社のWebサイトへ飛ぶことができるわけである。
 後者の「バイラル」とは、口コミにより広告効果が加速度的に増えていくこと。「SHOPホットナビ! 」は、ITベンチャーのレッドクルーズ(株)が提供するRSSリーダー「eクルーザー」がベースだが、そもそもソフト自体が同社専用のものではなく、さまざまな企業が採用する、いわば“共通プラットフォーム”である。「SHOP ホットナビ!」もその限りではなく、「ショップチャンネル」以外の情報も顧客の選択次第でいくらでも流れてくる。換言するならば、どこかの企業が自社サイトの顧客向けに提供したRSSにも「ショップチャンネル」をはじめとする他社の項目が用意されており、その顧客が「ショップチャンネル」を選べば、同社の情報が配信される仕組みだ。
 現にバイラルの効果は絶大で、レッドクルーズのRSSリーダーを採用する某大手音楽レーベル企業や、大手ネットテレビのユーザーが、「ショップチャンネル」に大挙してアクセス、その規模は同社の予想をはるかに上回ったという。
 商品情報をリアルタイムで発信し続ける同社にとって、RSSは更新されたホットな情報をユーザーに読んでもらうまでのタイムラグを極限まで短縮するツールとして期待が高い。
 RSSの認知度は、ある調査によると7~8%程度と、現時点ではあまり高くはない。だが、「コンタクトポイント拡大」のためのポテンシャルを秘めた強力な武器、と同社が見ていることだけは間違いない。

ストリーミングで広告効果高めサイトへの集客に結び付ける

 次にアフィリエイトだが、同社のWeb広告戦略のキーワードは「ストリーミング」だ。
 通常、動画にはさまざまな著作権者がかかわり、ネット上で「放映」するとなると、その権利関係をひとつひとつクリアにしなければならないなど、煩雑な作業が伴う。
 しかし、同社が抱える膨大な動画コンテンツのほとんどは、自社制作の番組ということで基本的に著作権フリーなのである。つまりストリーミング技術を駆使し、自由にWeb上に流せることを意味するわけで、それらの優位性は絶大だ。
 例えば、アフィリエイトの効果を高めるには、広告で提供される情報が常に更新されることが必須だが、ストリーミング機能を付加すれば、同社から一方的に次々と動画が更新されるので、アフィリエイトの運用者側にとって手間が掛からない、という絶大なメリットがある。
 このことは、それだけ同社の商品をアフィリエイトとして紹介するサイトが増えることを意味しており、その結果「コンタクトポイントの拡大」につながるというわけである。
 同社のアフィリエイトは、2004年8月から試験的運用をスタートし、2005年1月から本格的に稼動している。
 このように同社は、RSSやアフィリエイトといったネットの最先端のサービスを積極的に採用しながら、今後ともコンタクトポイントの拡大に貪欲に邁進していく意向だ。

ジュピター

「SHOPホットナビ!」は、専用のツール(eクルーザー)で、ショップチャンネルのお買い物情報を、商品写真とテキストでPC上に次々と表示するサービスだ


月刊『アイ・エム・プレス』2006年8月号の記事