ケータイの最新機能を効果的に活用し店舗・商品の改善につなげる

(株)am/pmジャパン

2004年8月にレインズインターナショナルと経営統合した(株)am/pmジャパン。現在、「第2の創業期」としてさまざまな改革を推進中の同社では、お客様に喜んでいただき、感動を創造する商品を提供し続けるため、お客様の声の収集に取り組んでいる。そこで、ケータイを利用した「お客様アンケート」を実施。その結果をデータベース化し、店舗・商品ごとに分析することで、接客や品揃えの改善に活用。また、おサイフケータイ「Edy」を活用したマーケティングを展開している。

お客様の声を「直接」「間接」の2つの方法で収集

 (株)am/pmジャパンは、1990年の創業以来、コンビニエンスストア業を通じて、社会の中で「なくてはならない存在になりたい」をモットーに、生活者の不安を少しでも解消し、「あんしん・あんぜん」を支えるセーフティーネットの役割を担うべくまい進。商品・サービスの開発や提供をはじめ、さまざまな取り組みを行ってきた。
 2004年8月には、レインズインターナショナルと経営統合し、現在、「第2の創業期」としてさまざまな改革を推進中だ。そして、「お客様」の期待を超えた感動の商品・サービスを開発し、提供し続けることで、真の「世の中になくてはならない企業」に成長することを目指している。
 同社では、お客様に喜んでいただき、感動を創造する商品を提供し続けるため「購買実績」から導き出される間接的な声とアンケートによる直接的な声の収集を行っており、その収集にケータイを活用している。
 まず、間接的な声の収集については、電子マネー「Edy(エディ)」利用者の購買実績をIDと紐付けて管理・分析。一方で、直接的な声の収集については、2004年12月からケータイを活用した「お客様アンケート」を実施し、接客や店舗イメージと商品に関する評価を収集している。収集したお客様の声は、データベース化し、店舗・商品ごとに分析。店舗への評価は、スコアコントローラにて毎日フィードバックされ、接客や品揃えの改善に活用される。商品についての評価は、すぐに反映できることと、次期商品から反映することを識別し、それぞれのスパンの中で改善している。また、お客様の声は、自社ブランドの開発にも活用される。

レシートでアンケートを告知 1日平均1,000件のアンケートを収集

 同社では、レシートを活用してお客様アンケートの告知を行い、プレゼントへの応募を兼ねて協力を依頼している。
 回答に当たっては、レシートの下に印刷されているQRコードを使って、もしくは専用メールアドレスに空メールを送ることでアンケートサイトにアクセスする仕組み。アンケートサイトにアクセスしたら、まずは、レシートに書かれている店舗の電話番号を入力すると、「Webアンケートにようこそ」と表示された画面に変わる。アンケート協力などの規約に「同意する」ボタンを押すと、アンケートの入力画面に切り替わる。アンケートは、「店舗評価」と「商品評価」から構成。店舗評価は、「店員の対応」「お店のキレイさ」「商品の充実度」「お店の好感度」について、選択肢から選ぶ仕組み。欲しいと思ったが品揃えが無かった商品名や印象が良かったスタッフの名前を書き込めるようになっている。商品評価は、購入した商品のうち1品について評価する仕組み。「満足度」を選択肢から選ぶほか、商品の感想を200字以内で書き込めるようになっている。
 前述の通り、アンケートはオリジナル商品の開発に活用する狙いもあることから、自社オリジナルのお弁当・おにぎり・サラダなどについての評価の協力を促す一文が添えられている。最後に、性別と年代などを選択して送信する仕組みだ。
 現在、ケータイからのアンケートへの回答は1日平均1,000件ほど寄せられている。同社によると、アンケート結果の良し悪しは店舗ごとの売り上げの良し悪しと比例しているという。

おサイフケータイ「Edy」の購買実績を分析し店頭での品揃えに活かす

 同社が間接的なお客様の声を収集し始めたのは、(株)NTTドコモがiモード FeliCa対応携帯電話(以下、「おサイフケータイ」)を発売した2004年7月にさかのぼる。同社は、2002年7月からプリペイド型電子マネー「Edy」による決済を全店に導入していたが、おサイフケータイの発売を機に、「iモード FeliCaサービス」に参画。「おサイフケータイ」のユーザーを対象に、電子マネー「Edyアプリ」を使った店舗での決済も可能にした。
 「Edy」の決済インフラを活用し、お客様IDと紐付けることで、単品の販売実績に加えて、個々のお客様の購入商品や購入頻度、購入金額を時系列で追えるようになった。現在、同社では、お客様を軸にした購買実績の分析を通して、店頭での品揃えの改善にチャレンジしている。
 同社では、おサイフケータイ「Edy」の普及を目的に、おサイフケータイに「club apアプリ」をダウンロードすることで、「Edy」の残高照会や購買金額連動型育成ゲーム(500円の購買ごとにキャラクターが育っていくゲーム)を楽しめるサービスをスタート。さらに、同社のEdyメンバーズクラブ「club ap」に入会すると、100円の購買ごとに1ポイントが貯まり、「club apアプリ」でポイント数の照会も可能。ポイントが貯まると、同社が協賛する各種イベントのチケットや毎月のプレゼントに応募することができる。加えて、500円ごとに、スクラッチカードが表示され、当たりが出ると、無料で着信メロディをダウンロードできるサービスもスタートした(2006年4月現在、iモード版のみ)。
 同社によると、コンビニエンスストアの平均客単価が400円~500円なのに対し、おサイフケータイ「Edy」の利用客の平均客単価はこれを10%程度上回っているという。おサイフケータイ「Edy」の利用状況は、右肩上がりで着実に推移している。今後は、さらなるおサイフケータイ「Edy」の認知・普及に向けてキャンペーンを実施するほか、他社との連携を視野に入れていく意向だ。

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レシートを活用してアンケートを告知し、お客様の声を収集。店舗・品揃えの改善に活用している

「ランキングダービー」によりPOSデータでは把握できないお客様の期待度を測る

 同社では、2005年秋からケータイを活用したユニークなキャンペーンを展開している。「ランキングダービー」がそれだ。これは、競馬に見立てて、対象商品の売れ行きを予想するゲームのこと。お客様にゲームを楽しんでいただくことを通して、人気がある商品をリサーチできるわけだ。POSデータでは、過去の販売データの中から売れ筋商品を把握できても、未来の情報は収集することはできない。そこで、POSデータからは得られないお客様の商品期待度を測るのにこれを活かしているという。
 この4月5日~4月23日には、「グミダービー」と「ヨーグルト・カップケーキダービー」の2つの「ランキングダービー」が開催された。この告知には「ampm馬」というチラシを店頭で配布したほか、eメールアドレス登録者には、パソコンもしくはケータイにお知らせメールを配信。レースへの参加には「500円以上のお買い上げレシート」が必要で、「空メールを送信」→「メールが返信されたらURLをクリック」→「レシートのシリアルナンバーを入力して参加登録」→「1位・2位・3位を枠で予想してam/pm商品券GET!」という流れだ。実際に予想するには、商品の動きをチェックし、気になる商品は買ってみようという消費者心理が働くだけに、購買の喚起につながっていると言える。
 現在、コンビニ・DVDレンタル・書籍販売の融合店「ampm enta(エーピー・エンタ)」など新しい店舗開発に取り組んでいる同社。今後とも、ケータイを活用したアンケートやおサイフケータイ「Edy」から収集されたお客様の声が、どのようなかたちで活かされていくのか、同社の動向からは目が離せない。


月刊『アイ・エム・プレス』2006年5月号の記事