複数のサイトを運営し、効果的なプロモーション活動を展開

(株)アートネイチャー

日本初の毛髪総合企業として、毛髪を通じ、人の心を豊かにするライフスタイルを提唱する(株)アートネイチャー。先進的な増毛・育毛技術の提供を続ける同社は、インターネットを利用した試みにも積極的だ。業界で初めて、チャットによる毛髪相談も受け付ける「髪のWEB相談室」を開設。さらにモバイルサイト「アートネイチャーモバイル」を立ち上げるなど、リーディング・カンパニーに相応しい先進的なチャレンジを行っている。

「髪のWEB相談室」ではチャットによる毛髪相談も実施

 日本初の毛髪総合企業として「トータル・ヘア・コンサルティング」を提供する(株)アートネイチャーでは、1965年の設立以来、先進的な増毛・育毛技術に基づき、発売以来ベストセラーを続ける「マープ」や毛髪革命とも呼ばれる「ヘア・フォーライフ」など、独自の製品群を次々と開発。これらの製品群をベースに全国200店舗におよぶ直営サロンで増毛・育毛サービスを提供し、抜け毛や薄毛に悩む多くの人々に、大きな満足を与えている。
 同社がホームページを開設したのは1997年。ホームページの当初の位置付けは「会社から社会への情報発信基地」というものだったが、その後、徐々にプロモーション媒体としての性格を強め、2001年1月には業界で初めて、チャットによる毛髪相談も行う「髪のWEB相談室」を開設するなど、積極的なWebマーケティングを展開。現在では、TVコマーシャルと並ぶ重要なサロン誘導経路として機能している。
 同社が現在、運営している主なサイトは4つ。コーポレートサイトのほか、前述の「髪のWEB相談室」、女性顧客を対象とする「レディースアートネイチャー」、 2003年に発表した増毛技術「ヘア・フォーライフ」の専門サイトがあり、このほか、2001年10月からは、モバイル向けサイト「アートネイチャーモバイル」も運営している。主要4サイトは、いずれも毛髪や製品に関する情報を提供するとともに、資料請求やサロン来店予約を受け付ける内容となっている。現在では、来店顧客の半数近くがWebサイトを経由している。
 同社のコーポレートサイトは、前述の3サイトへの入り口としての役割も担っている。多くのユーザーが最初に接触するサイトであり、月間10万アクセス超に及ぶ。
 「髪のWEB相談室」は、同社カウンセラーにどこからでもリアルタイムで相談できるバーチャル相談室。質問項目にチェックするだけの「チェックDE相談」、問い合わせに対して詳細な回答を24時間以内にメールで送信する「メールDE相談」、カウンセラーとマンツーマンかつリアルタイムで相談ができる「チャットDE相談」といった3種類のオンライン相談メニューが用意されている。利用数は「チェックDE相談」「メールDE相談」の順で多く、目玉である「チャットDE相談」の利用はオープン当初、十数件しかなかったが、効果的なプロモーションの展開が後押しとなり、徐々に拡大することとなる。現在、Webを通じてのお問い合わせ件数は1,000件を大きく超え、月間アクセス数は約2万件前後に及んでいる。
 「レディースアートネイチャー」は同社の女性向け製品「ピュアライン」シリーズや、オーダーメイドウィッグなどの紹介を中心とするサイト。アクセス数は月によって異なるが、3万件程度。なお、このサイトをベースに発信しているWebマガジン『キレイプラス』も、女性に限定した内容が好評で、登録ユーザー数は約1万人に達している。
 「ヘア・フォーライフ」では、同製品のTVコマーシャルを動画で流すほか、製品のベースとなる技術について開発秘話や技術者の声などを交え詳細に解説。技術に関して関心を持つ傾向がみられる男性を意識した構成で、多くの資料請求やサロンへの来店につなげている。月間アクセス数は3万~5万件前後。
 「アートネイチャーモバイル」については、Web版ホームベージに寄せられた毛髪への質問の中から回数が多かったものを厳選して掲載している。
 なお、サイトユーザーの年齢層については、男性では20~30代、女性では40代が中心であり、同社の顧客では育毛サービスをメインに利用する年齢層にあたる。また、利用時間帯については、朝や夜が多い。

アート

業界初のチャットによる毛髪相談も受け付ける「髪のWEB相談室」を開設するなど、毛髪の悩みを抱える人に対して適切なプロモーションを展開している。URLは「髪フサフサ」(http://www.kami2323.com/)

バナー広告・キーワード広告により多くの見込客を自社サイトへ誘導

 同社がWebサイトをプロモーション媒体として意識し始めたのは2000年前後。その背景には、約3年間のWebサイト運営を通じ、インターネットの双方向性が、「どのような層が自社製品・サービスに関心を持っているのかがわかる」「 (サロン来店以前の)見込客のリアルな声を聞くことができる」といったメリットにつながると認識したことがある。このような意識の変化に伴い、同社ではサイトへの集客について、それ以前のいわば「待ちの姿勢」から転換、各種取り組みによる積極的な集客を実施するようになった。
 しかし、取り組み当初は、Webプロモーションに対する知見やノウハウがほとんどなかったことから、手探り状態であった。他社の取り組みなどを参考に各種ポータルサイトへのバナー広告出稿などを行ったものの、数多くのバナー広告の中で埋没してしまうことが多いなど、十分な成果が得られなかった。このような状況に対して同社では、ノウハウを蓄積するとともに他社事例なども研究。「目立ちながら、必要な情報をしっかりと伝える」ことをコンセプトにバナー広告の表現技術や表現内容に工夫を加え、同時に出稿サイトについても同社の潜在顧客がよく利用すると思われるサイトを厳選した。その結果、徐々に成果が現れはじめ、サイトへのアクセス数は取り組み開始当初の2~3倍に至った。また、より相談しやすいサイトを目指し、サイト内の導線を設計し直した結果、コーポレートサイトから「髪のWEB相談室」などの個別サイトへの誘導もスムーズに行われるようになり、これらのサイトの利用も順調に拡大している。
 さらに、2003年頃からはキーワード広告も開始した。これは検索サイトのスポンサーサイトとして登録するものだが、アクセスログの解析などを通じて、ヒット率の高いキーワードを厳選。現在では主要検索エンジンサイトで「抜け毛」「薄毛」「育毛」などのワードにより検索を行うと、同社サイトがスポンサーサイトとして紹介されるようになっており、「情報を探している人に的確かつ迅速に情報を伝える」ことを実現している。

さらなる試行錯誤によりプロモーション効果アップを図る

 同社では、毛髪に関して悩みを抱えている人の市場は非常に大きく、その中で同社がアプローチできていない人も多数存在すると認識しており、そのような人が同社に接触できる機会を数多く用意することの必要性は高いと考えている。
 その意味からも、今後もWebサイトをプロモーション媒体として積極的に活用していく意向だ。例えば、TVコマーシャルより進んだ内容を付加したWebサイト版コマーシャルを作成し、Web上のみで公開するなど、他媒体との連携を含めた展開を検討している。
 そのほか、メールマガジンの充実化も重要なテーマとなっている。同社ではメールマガジンを顧客とのコミュニケーション・ツールととらえ、企業としての姿勢をアピールするための有効な媒体と位置付けている。今後は、さらなる内容の充実を図るとともに、登録読者の拡大などにも積極的に取り組んでいく意向である。


月刊『アイ・エム・プレス』2005年9月号の記事