業界最先端のEC技術で加盟店の効率とサービスを拡充

日本信販(株) 

カード会社ならではの保有資源を有効活用し、加盟店の顧客情報を多角的に分析。顧客ニーズにマッチしたマーケティング、かゆいところに手の届くサービスで、加盟店の売り上げ拡大をバックアップしている。

保有資源を有効活用し加盟店の販促を支援

 日本最大の支店網を誇る日本信販(株)。同社では2000年11月より業界に先駆け、加盟店向けの支援ツールとして、同社の保有資源(販売ノウハウやITソリューション、データマイニング技術など)を有効活用した、総合顧客一元管理システム「スーパーΣ/C」を提供。現在30社が利用し、来店客や売り上げの増強に貢献している。
 この「スーパーΣ/C」の優れている点は、①個々のお客様にマッチしたサービスができる、②これまで集められなかった現金決済のお客様の個人情報を蓄積できる、③最適な商品ラインナップやイベント、サービスを仮説検証できる、の3つ。
 ①バーゲンやキャンペーンなどの販促企画に合わせ、同社のインナーシステム「DBM(データベース・マーケティング) 」を使って、会員を顧客属性(性別・年齢・居住エリア・家族構成・嗜好など)や購買履歴などさまざまな条件でセグメント化。これらを分析した上で顧客動向を予測。ターゲッティングし、DMやeメールをタイムリーに送る。好みの商品の入荷状況など個々の会員ごとに情報をパーソナライズして、低コストのeメールで告知することもできる。さらにeメールを送信した会員の購買状況を把握、費用対効果を測定し、これらのデータを販促や顧客とのリレーション強化に活かせるよう、メニューに応じた月間レポートなどに展開して加盟店にフィードバックしている。これなら、加盟店の営業担当者が転勤したり退職したりしても、お客様とのOne to Oneコミュニケーションを維持・管理することができる。また、失敗事例や成功事例は、次の販促策を考えるヒントにもなる。
 ②加盟店には、全購買データを一括管理するASPセンターにオンラインで接続できる最新のCAT端末や、同社の特許を活かしたカード即時発行機(Q-PIT)を、5年間を1クールとして貸与している。フロント(顧客の会員化)からミドル(インフラ、システム)、バック(顧客分析、アクション)までをフルサポートし、お客様のLTV(ライフ・タイム・バリュー)を最大化できるところが、最大のメリットだ。クレジットカードを保有し、かつそれで買い物をする5割のお客様はもちろんだが、カードを保有していても現金で買い物をする、もしくはカードを持っていない残り5割のお客様も、店頭でクレジットカードかIDカードを発行することで会員化でき、これまで収集できなかった個人情報を蓄積することができる。
 お客様は、会員になるメリットがないとカードを作らない。そこで一般にカード保有者の7割が利用すると言われるポイントサービスを、入会時や購入金額、期間限定倍率などに応じて付与するFSPプログラムを標準装備。貯まったポイント数を会員に告知すると同時に、あと何ポイント貯まるとどんな特典を受けられるかや、商品券などと交換できることをeメールで伝え、売り上げやリピーターの拡大につなげることができる。
 ③顧客の購買履歴や基本属性に、ブランド・部門・単品の3階層によるPOSの商品管理、ランキング、ドリルダウン機能をリンクさせることができ、MDと連携した顧客分析も可能である。これは有料のオプション機能になるが、例えば、(1)新商品を頻繁に購入する顧客には、新商品の先行販売やフェアなどを案内する、(2)特定の商品やブランドの販促キャンペーンをする際、その商品やブランドの支持層を階層ごとに把握し、購買可能性の高い顧客に案内を送る、(3)顧客の購買傾向から商品ラインナップを見直す、(4)購買金額の多い顧客が高頻度で購入する商品の品切れをなくすなど、顧客満足度を高め、収益を拡大する戦略を多角的に展開することができる。

次世代ECビジネスで加盟店の効率化に寄与

 同社は、前述した加盟店の販促支援に限らず、新しいビジネス・ソリューションの提案を通じて、加盟店の活性化を図っている。SSLを採用した暗号化通信と認証技術により、クレジットカード番号などの個人情報の漏洩を徹底的に防止。高度なセキュリティ機能をバックに、高額商品の分割払い契約や、自動車ローンの申し込み、コンビニエンスストアを利用した収納代行、ECカード決済、銀行口座からの自動引落、クレジットカードの入会申し込みなど、eコマースにおける多彩な決済方法に対応する「EC決済システム」は、2002年1月の商用化から半年で700社と利用加盟店が急増した。さらに、携帯電話を通して、上記の多彩な決済サービスを利用できる「NICOS支払い上手」も提供している。
 このシステムは、加盟店のお客様の手間を省くと同時に、加盟店にとっても、決済方法ごとの個別契約に比べ、開発やメンテナンス、事務処理などに要するコストの抜本的な削減と、業務効率の向上を図れる。加盟店のインフラ構築から運用支援に至るまで、ネットビジネスをトータルにサポートする新しい取り組みだ。
 また、低コストかつ短期間で、高度なセキュリティ技術を採用した「バーチャルショッピング」の開設もバックアップしている。同社のホームページで提携クレジットカードに入会できる「Netリンク入会制度」 や、加盟店のホームページにNICOSのバナー広告を掲載し、NICOSの新規カードへの入会者数に応じて報奨金を支払う「Netテイクワン制度」もある。
 2002年6月には、携帯電話とクレジットカードの決済機能をドッキングしたマーケティングシステム 「moog」が開発され、現在130社が利用し、人気を博している。通販カタログをはじめ、雑誌、新聞、街頭ポスター、チラシ、看板、テレビCMといった広範な媒体で紹介される商品のコードと顧客のパスワードを、携帯電話を通して「moog」のサイト画面に入力するだけで、商品の注文から代金の決済までがワンストップでできるもの。これによって加盟店は、広告媒体をこれまで以上に付加価値の高い販促ツールとして利用でき、駅の待ち時間に目にしたポスターや、街頭でもらったポケットティッシュから即購買に直結するような、従来には存在しなかったまったく新しいプロモーションを展開できる。
 付帯機能として、携帯電話でクーポン情報を獲得できる「電子クーポンシステム」や、映画などの興業チケットの申し込みから支払いまでをパッケージ化した「電子チケットシステム」も搭載されている。
 現在、アクアシティお台場や、みなとみらい21地区のクインズイーストなど全1,000店舗で実証実験されている「NICOS VISAッピ」が、いよいよ2004年夏に商用化される。これは、携帯電話にカード機能を持たせたもので、商品に携帯電話をかざすだけで、赤外線通信機能が働き即時決済できる優れもの。まさしく次世代のマーケティング支援ツールと言えよう。
 これらの次世代サービスは、毎年需要が倍増しているものの、まだまだ分母が小さく、同社のクレジットカードの総売上高1兆5,000億円の1割にも満たない。その証拠に、クレジットカードの普及率が7割を超える現在でも、ICカードの保有率はカード保有者全体の13%と少ない。また、保有カードの暗証番号を覚えている人がカード保有者全体の65%と、それほど多くないことも、普及しない原因のひとつになっている。モバイルECを志向する若者を中心に爆発的に波及している一方で、40歳代以上の人口のボリュームゾーンには、なかなか浸透しない現実もある。しかし数年後には、日本人の3人に2人が携帯しているモバイルを活用した決済サービスシステムが、加盟店支援ツールの主流になることは間違いない。


月刊『アイ・エム・プレス』2004年4月号の記事