B to B e-マーケット・プレイス 「Biz City(ビズ・シティ)」をスタート

日本電気(株)

4月より社内カンパニー制を導入し“顧客価値”の高いソリューションを提供

 通信関連機器の国内最大手である日本電気(株)は、2000年4月からインターネット領域での事業遂行を確実なものとするため、社内カンパニー制を導入。市場特性に応じた“顧客価値”の高いソリューションを迅速に提供していく。社内カンパニーは企業・個人市場を対象とするNECソリューションと、ネットワーク・オペレータ市場を対象とするNECネットワークス、装着ベンダー市場を対象とするNECエレクトロンデバイスの3つに分かれ、それぞれ専業企業との競争に打ち勝つ体質を目指し変革を進めていく。
 そのうちのひとつNECソリューションは、社内カンパニー制の導入に合わせて、4月よりインターネットを活用して、オフィス用品やサービスなどの取引業務の効率化、コストの低減を実現する B to B e-マーケット・プレイス(比較検索市場)「Biz City」をスタート。商品検索から受発注、配送、決済までさまざまな業務を合理化するソリューションの提供をはじめた。現在、初期登録料無料サービスを実施しており、2000年10月から有料化に踏み切る。
 「Biz City」ではすでに、アスクル(株)、大塚商会(株)、(株)帝国データパンク、(株)東京商工リサーチ、(株)日経BP、日経BP販売(株)、NECフィールデイング(株)の7社が商品やサービスの販売をはじめているほか、20社以上が販売企業として参加意向を表明している。


出張手配や、人材派遣、コンサルティングなどのサービスも実施

 「Biz City」はビジネス用品のEコマースを軸に、将来的には旅行代理店との提携による出張の手配や、人材派遣、コンサルティング、福利厚生などのサーピスも提供していく予定。
 購入企業サイドは①商談・発注・承認・支払い・予算管理など一連の業務の電子化によるオペレーション・コストの削減や、②最適な商品の迅速な発見、③人材派遣や教育、SIサービス、コンサルティングなど、従来にない有効な新商品・サービスの利用が可能となる。また販売企業にも①新規取引先の開拓や、②商品カタログや商談、受注、請求などの電子化による販売コストの削減、③エンドユーザーの取引実績をマーケテイングに活用できるなどのメリットがある。
 購入企業へのサービスとしては、横断検索により複数の販売企業の中から目的の商品を選択できる電子カタログや、繰り返しの発注が可能なマイカタログ、複数の販売企業と商談が可能な電子商談機能などが用意されている。販売企業へのサービスには、市場ニーズを把握できるマーケット情報の提供のほか、オプションとして、物流コスト・出荷事務コストの低減が可能な出荷指示やトラッキング・サービス、クレジット決済や口座振替による決済業務サポートなどを用意している。
 また、ASP(アプリケーション・サービス・プロパイダ)事業として、Eコマースをはじめるためのパソコンのセッテイングや、SI (システム・インテグレーション)サポートとして情報システム企画、運営などのサービスを予定している。

BizCityのサービス機能

ビジネス用品調達の効率化を図る

 文房具、オフィス家具、書籍などのビジネス用品の調達は、購入金額が安いわりに発注に手間がかかる。具体的には、①ある程度の品質で十分、②多種多様な調達先が存在、③商材ごとに購入プロセスが異なる、④小口・小額購入が多い、⑤伝票処理に手間がかかる、⑥不定期の購入も多いなどの問題点があり、購入企業にとって改善すべきテーマとなっている。
 また、パソコンの修理や出張の手配は急を要するケースが多く、人材派遣やコンサルティングについてもニーズを満たした候補の選択は容易なことではない。しかし、これらの問題の解決はあまり進んでいないのが現状である。
 すでに運営しているビジネス用品のEコマースには、購入企業主導型(バイヤー型)のweb購買と、販売企業主導型(セラー型)のweb販売があるが、いずれも取扱商品が限られており、取り引きの伸び悩みといった問題を抱えている。これはEコマースを主催する企業が、販売代理の視点で運営を続けているためで、顧客が何を求めているのかを考えた購買代理の視点に立ったEコマースの運営ができていないからである。
 「Biz City」は、NECがサービス・プロパイダとして運営し、販売企業に参加を呼びかけ、購入企業が求めている情報コンテンツを豊富に揃えることでEコマースの進展に拍車をかけ、購入企業、販売企業双方にメリットを提供していこうというもの。そのため、多くの参加企業を募り、ネットワークを放射線状に広げたハブ型のマーケット・プレイスを目指している。
 「Biz City]を利用することによって、スムーズな商談と紙伝票の廃止、ノー検品の拡大、入出金処理の電子化が実現し、従来の購買プロセスを3分のlに短縮することが可能だ。

「BizCity」のホームページ画面
(URL: http://w3.bizcity.ne.jp/)

「BizCity」のホームページ画面(URL: http://w3.bizcity.ne.jp/)

2003年に20万部門の参加を目指す

 「Biz City」への入会には、初期登録料として購入企業は3万円、販売企業は20万円が必要となる。このほか、販売企業には月間手数料として取引金額の4%が請求される。また、物流や決済などの追加支援サービスについては別途料金が必要となる。入会については購入企業、販売企業ともに「Biz City」のホームページ上にある入会手続画面から申し込むことができるが、審査などにより会員証の発行には2週間程度の時聞がかかる。
 6月中旬現在、購入企業会員は約80社。このうちの約3分の1はNECグループの企業であるが、グループ外の企業の参加も増えつつある。2003年までには20万部門(1社の中から複数部署の参加を予想)の参加を目指すという。
 なお、顧客へのサポートは、同社内にある「Biz City」カスタマーサポートがEメール、もしくはFAXで対応しているが、将来的にはコールセンターの開設も予定している。
 今後の展開について同社Eビジネス事業部Eマーケットサービス部マネジャーの近藤真子氏は、「今後はマーケット・プレイスのコミュニティを拡大していくことで、Eコマースに拍車をかけていきます。NECとしてはサイト運営に徹するとともに、付随するASPやSIなどのサポート事業も促進させます」と「Biz City」から広がるビジネスの展開に期待を寄せている。


月刊『アイ・エム・プレス』2000年7月号の記事