『消費者サービス・相互コミュニケーション』を徹底し、顧客満足度の向上を図る

プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク

製品カテゴリー別にグローバルな戦略を立案

 プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(P&G)は、米国P&G社の日本法人として1972年に設立。本社機能を神戸市に設置し、トイレタリー製品などの製造・販売を主要事業にしている。
 P&Gグループは、現在2005年に向けて世界規模の組織改革である「オーガニゼーション2005」を計画。組織構造からワーク・プロセス、カルチャー(企業文化)、報酬体系にまでおよぶ見直しを図っている。組織改革のキーワードは「ストレッチ」、「イノベーション」、「スピード」の3つで、新たな組織の創設と仕事の再デザイン、組織としての能力の伸長と革新、およびスピードアップを目指すという。新組織下では、製品カテゴリー別にグローバルな戦略立案を行う部門(GBU)と、各地域のマーケティングを行う部門(MDO)を協調させ、企業の顔となるブランドの構築を図り、顧客が満足する商品開発を推進していくという。
 日本国内においても、この「オーガニゼーション2005」を推進するため、顧客対応を最重要課題と位置付け、顧客のニーズを満たす最高の品質と価値をもった製品の提供を目指している。

6種類のフリーダイヤル番号を効果的に活用

 同社では、1986年から業界に先駆けて「お客様相談室」を設置。『消費者サービス・相互コミュニケーション』をテーマにした受付業務を実施している。
 現在、40名を数えるオペレータは全員女性。日常的に使われるトイレタリー商品だけに、顧客からの問い合わせや苦情に対しては、顧客の立場に立って、親切、丁寧な応対を心がけている。99年の相談件数は約6万件を数える。事業規模を拡大していく中、相談件数は年々、増加傾向にあるという。
 「お客様相談室」では製品分野別にフリーダイヤル番号を設置し、迅速で専門性の高い応対ができるよう配慮している。フリーダイヤル番号は、①食器用洗剤「ジョイ」などの台所・洗剤用品用および、紙おむつ「パンパース」などのおむつ・生理用品用、②「リジョイ」などのビューティー・ケア製品用、③「SK-Ⅱ」などのマックスファクター化粧品用、④「ヴィックス・ヴェポラップ」などのヘルスケア製品用、⑤ポテトチップス「プリングルス」用、⑥育児、介護、生理相談に対応する保健婦相談室の6種類。コール内容は、「この洗剤は絹製品に使っていいのか」など商品の使用方法の確認や、「どんな成分が含まれているのか」などの製品内容の確認が多いという。
 応対時間は平日のAM9:15〜PM5:00まで。受付時間外と土日・祝日はIVR(自動音声応答装置)によるメッセージ対応を行っている。また、直接オペレータと話すより、音声ガイドで情報を聞きたいという顧客のために、自動音声のみの情報サービスも実施。同社製品の特徴や価格、キャンペーン等に関する情報を紹介している。なお、アクセス手段は電話のほか、インターネットやFAX、手紙などもあるが、その内約90%は電話によるものである。 
 「お客様相談室」には、製品情報等を含むマニュアル検索や、お客様情報の入力、および分析のためコンピュータシステムを導入。IVRのほかにも、受信した電話をオペレータに均等に振り分けるACD(オートマチック・コール・ディストリビューション)を採用し、スムースな応対を実現している。
 また、顧客情報については、社内LANを利用したイントラネットを使い、共有化を推進している。毎日の相談情報は、相談を受け付けた翌日には、研究所や安全部門にEメールを送信。このほか、製品ごとの問題点や集計データを加えた月単位の顧客レポートを、経営陣や担当者にEメールで提供している。顧客の貴重な声を吸収し、情報の共有化を図ることで、製品の改良や改善に結び付け、より顧客ニーズに合った製品を提供できるよう体制を整えた。

商品ごとに専門のオペレータが対応

商品ごとに専門のオペレータが対応

顧客ニーズから誕生した『ファブリーズ除菌プラス』

 石鹸、洗剤、シャンプー・リンス、紙おむつや生理用品を含むトイレタリー市場の規模は現在、約1兆5,000億〜2兆円の間であると推定される。そのトイレタリー市場に含まれるファブリック・リフレッシャー(布製品向け消臭剤)市場は、昨年1年間で急成長した注目の市場であるが、その中で同社の『ファブリーズ』は90%以上というシェアを誇っている。『ファブリーズ』は布製品についた臭いを取るスプレーで、家庭の主婦を中心とした女性に人気の商品。昨年度、東急エージェンシーが実施した、日用雑貨新製品ランキングにおいてもヒット商品のひとつに数えられている。
 顧客の具体的な声をもとに商品の改良・改善を実施している同社では、「 除菌機能を加えて欲しい」という顧客の要望に応えて、この『ファブリーズ』の姉妹品として、『ファブリーズ除菌プラス』を開発した。『ファブリーズ除菌プラス』は布製品についた臭いを取り除く効果に加えて、除菌成分QUATを配合することで、布団、マットレス、靴、帽子などの洗いにくい布製品の除菌に効果を発揮する。1998年8月の発売開始以来、顧客からの反響もよく、現在も好調な売れ行きを続けている。顧客にとっては満足、同社にとっては売り上げというプロフィット(利益)をもたらした商品と言えるだろう。
 同社は、新商品の開発などを通じ、より一層の顧客満足の向上を目指すため、今後はこれまで以上に「お客様相談室」の役割が重要になると判断し、迅速、正確、かつ親切な応対をテーマにより一層の改革に恒常的に取り組んでいる。

P&G社の台所・洗剤用品

P&G社の台所・洗剤用品


月刊『アイ・エム・プレス』2000年6月号の記事