快適なパソコン・ライフをサポートする「富士通パソポート」

富士通 (株) 

富士通とグループ会社が一体となってトータルなサービスを提供

 96年度のパソコン出荷台数、約200万台のうち、約40%を個人顧客が占めるという富士通(株)では、96年以降、B to Cのサポート体制強化に力を入れてきた。
 B to Cのサポート&サービスの総称は「富士通パソポート」。「教室・教材」「サポート窓口」「情報提供」を3本柱に、対面、電話、FAX、インターネットなどさまざまなメディアを通して、快適なパソコン・ライフのための種々のサービスが提供されている。
 サービス提供の窓口は数多い。たとえば購入前は、全国72カ所にあるショールーム「富士通プラザ」、同社、および、グループ会社のインターネットのホームページ、自動応答による「FAXサービス」や「テレホンガイドJ、書店で販売されているパソコン情報誌『FMVファミリー』などで製品情報を得ることができる。また購入後の操作方法などについての相談は、フリーダイヤルの電話窓口「FMインフォメーションサービス」、パソコン通信「NIFTYServe」のフォーラム「FMINFO」、同社のホームページの1コーナー、「FMWORLD」で受け付けている。それぞれのお客様が最も都合の良い経路でほしい情報にアクセスできるよう、幅広い選択肢が用意されているのだ。
 このような手厚いサポート&サービス体制の整備は、同社のみならず、ソフトウェア、修理・保守、セミナーなどの各分野を担うグループ会社がノウハウと労力を結集してはじめて可能になったもの。企業の枠を超えて情報を共有化し、一体となって、トータルなサービスを提供しているのである。

コールバック方式で電話の混雑を緩和 「FMインフォメーションサービス」

 「富士通パソポート」の「サポート窓口」の中で、特にパソコン初心者にとって心強いのは、思い立った時にすぐ、フリーダイヤルで手軽に問い合わせができる電話サポートだ。この部隊を統括しているのは同社パーソナル販売推進統括部技術支援部。グループ会社を含め、計7カ所のセンターが連動をとって応対に当たっている。「Windows95」の発売にともなってパソコンの個人ユーザーが爆発的に増えると、コール数は一気に跳ね上がり、現在、電話による相談回答件数は月に約8万件。94年当時に100人であったスタッフ数も、現在は400人に上っている。
 同社のB to Cの電話サポート窓口は「FMインフォメーションサービス」と後述する「富士通パソコン・メンバーズサービス」の2つがあるが、前者の設置は1985年10月。対象を個人ユーザーに絞り、30人体制で業務を開始したのがそのはじまりだ。95年7月には、この窓口にフリーダイヤルを導入している。電話番号は製品カタログ、広告、取扱説明書などで告知。製品の購入如何にかかわりなく問い合わせを受け付けているが、購入前に比べ、購入後の問い合わせが圧倒的に多いという。
 「FMインフォメーションサービス」に寄せられるすべての問い合わせは、まず、受け付けを担当するオペレータ・グループによって受け付けられる。受付時間帯は月~土曜日の午前9時から午fお時までだ。カタログ請求など、特に専門知識を要求されないものについてはここで処理が完了するが、操作方法など製品に関わる問い合わせは、いったん内容をうかがって端末に入力、その製品を担当するセンターにデータを伝送し、担当センターから30分以内に折り返し電話をかけ、返答する仕組み。お客様から「何曜日に電話をしてほしい」といった申し出があった場合には、要望に応じている。
 製品別に担当グループを分けているのは、年々高度化している質問に対して、より的確、スムーズに回答するため。製品情報は専用回線でどのセンターからも検索できるが、この情報の作り込みや更新も、各担当センターの責任において行っている。ただし、センターによって繁閑の差が激しい場合には、受付センターと各センターのチーフが連絡をとり合って、コール振り分けの配分をフレキシブルに調整している。
 スタッフ数の拡充に加えて、この“コールバック・システム”の採用により電話の混雑が緩和され、平均して“2回に1回は電話がつながる”ところまで状況が好転している。

希望者には“グリーン車”を用意

 富士通(株)では「FMインフォメーションサービス」に加え、96年11月、有料の「富士通パソコン・メンバーズサービス」をスタートさせた。会員専用のフリーダイヤル相談窓口は、優先着信で話し中がないばかりでなく、ハードだけでなく他社製のソフトウェアなどについての相談も一部受け付ける。こちらは「FMインフォメーションサービス」と異なり、専任スタッフがその場で質問に即答。受付時間帯は平日の午前9時から午後9時まで、土・日・祝日の午前9時から午後5時までと、年中無休のサポート体制が敷かれている。会員にはほかに、専用ホームページでの最新製品情報の提供、富士通プラザでの商品割引、パソコン・セミナーの受講料の割引などの特典がある。

カスタマー・サボ-ト“グリン車”、「富士通パソコン・メンバース♂サービス」のパンフレット。申込用紙、振込用紙が綴じ込まれている カスタマー・サボ-ト“グリン車”、「富士通パソコン・メンバース♂サービス」のパンフレット。申込用紙、振込用紙が綴じ込まれている

カスタマー・サポ-トの“グリーン車”、「富士通パソコン・メンバーズサービス」のパンフレット。申込用紙、振込用紙が綴じ込まれている

 現在の会員数は約1万人だが、サービスの認知促進のため、97年9月下旬から98年3月末日まで、キャンペーンを実施中。通常は1万5,000円の年会費を9,500円とし、また、「FMVシリーズ」のパソコン新規購入者に対して、2カ月間の無料利用期聞を設けている。
 しかし同社では、決してカスタマー・サービスの有料化を推進しようとしているのではない。「無料の『FMインフォメーションサービス』ですべてのお客様にご満足いただければ、それが一番いい。ただ、“プラスα”のサービスを要求するお客様が存在している以上は、選択肢として“グリーン車”を用意することが必要だと考えました」(広報室パーソナルプロダクツ担当 桑原千明氏)。


 これら2つの電話サポート窓口に寄せられる質問の主なものは、「富士通パソコンFAXサービス」「FMインフォメーションテレホンガイド」や同社のホームページの中の「FMWORLD」にも収録される。週に1度の割合で更新される情報を、利用者は24時間、いつでも好きな時に検索することができるわけだ。
 また、パソコン初心者に必要な情報を確実に提供するために、同社では製品同梱のマニュアル類にもさまざまな工夫を凝らしている。分厚いマニュアルは読み進めるのが億劫なものだ。そこで、顧客自身がパソコンの機能や使い方を理解しながら、ひとつずつ確実に技術を身につけていけるようにと、94年冬に、マニュアルを「基本操作」「アプリケーション・ソフトの使い方」「インターネットの利用のしかた」など5冊に分冊化した。さらに“見てわかる”CD-ROMマニュアルを添付。これにも操作方法のQ&Aが約600ケース収録されている。操作方法のマニュアルに加えて、97年夏からは、パソコンそのものについての初歩的な知識をわかりやすく解説した冊子『パソコンがおもしろくなる本』を全製品にバンドルしている。

富士通パソポート

顧客の声をもとにサービスを充実

 同社では95年から、パソコンユーザー登録者の中からアトランダムにサンプルを抽出し、製品やサービスについての郵送アンケートを実施して顧客の要望を収集している。
 また、プリンター出力や使い方についてのカウンセリングはもちろん、スタッフが店頭に同行してパソコン選びのお手伝いをする「お買い物同行サービス」や、「デジタルカメラ貸し出しサービス」などユニークなサービスを提供する「情報コンビニ SOHO’S」では、日々対面で、顧客の生の声を吸い上げている。「SOHO’S」は現在、電気街の東京・秋葉原、住宅街である神奈川・厚木、名古屋市のオフィス街と条件の異なる3地域に試験的に出店。それぞれのニーズが明らかになった時点で、多店舗展開に乗り出す計画という。
 同社では顧客の要望を積極的に収集し、これに応えて、今後ますます「富士通パソポート」を充実させていきたい考えである。


月刊『アイ・エム・プレス』1997年12月号の記事