インターネットにミドルエイジを取りこめAMERICA ONLINE

AOLジャパン(株)

世界最大のインターネット・オンラインサービス

 800 万人という世界最多ユーザーを擁する「インターネット・オンラインサービス」で知られる「AMERICA ONLINE」が、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランスに続き、日本に上陸した。米国アメリカ・オンライン社、三井物産(株)、(株)日本経済新聞社の 3 社の共同出資により AOL ジャパン(株)が発足、今年 4 月からサービスを開始しているが、同社ではサインアップ専用ソフトとして、10 時間(入会後 1 カ月間)無料利用特典付きの CD-ROM の無料配布を行っている。
 AOL ジャパン(株)では、AOL 創始者、現在会長兼CEO(最高経営責任者)であるスティーブM.ケース氏が「自分の母親でも気軽に利用できるように」という基本理念のもとに追求してきた使いやすさはそのままに、日本の慣習にあった独自のコンテンツの作成を行っている。サインアップ専用ソフトとして CD-ROM を採用したのは、日本のパソコン・ユーザー、特に初心者に最も馴染みやすいメディアであり、コンパクトで定型郵便物として送付できるという理由からだ。また、フロッピーディスクだと何枚も必要だが、CD-ROM なら 1 枚で済むため、インストール時の手間もかからない。
 AOL への加入方法は専用 CD-ROM によるオンライン・サインアップのみ。新聞や雑誌に掲載する広告などで CD-ROM の請求者を募り、フリーダイヤルの電話と FAX、ウェブ、ハガキでレスポンスを受け付けている。このほかパソコン雑誌に貼付したり、イベントなどでも CD-ROM の配布を行っている。配布している CD-ROM は現在のところ Windors 版のみ。年内には Macintosh 版をリリースする予定だ。
 専用 CD-ROM をセットし、接続ソフトをインストールすると、まずオンライン・サインアップの画が表れる。ここで名前、住所、電話番号、クレジットカード番号を登録すれば、AOL のすべてのサービスが利用できる。無料で利用できる10時間以内に「不要」と判断した場合は、同社に電話やメールで連絡をすればいい。利用を継続する場合は、1 カ月 3 時間までの基本料金が 980 円、それ以上は 1 分ごとに 8 円がかかる。海外の AOL のコンテンツやインターネットを利用しても、追加で料金がかかることはない。
 AOL のトップページを開くと「News & Business」「Computing & Games」「 Sports」「Entertainment」「Life」「Travel & Shopping」「US & International」「Internet」「Chat」の 9 つのボタンが表れる。AOL からはインターネットも利用できる。インターネットでほしい情報を検索するのは意外に手間のかかるものだが、AOL が各カテゴリー にあらかじめいくつかのホームページをピックアップしているので、初心者でも簡単に情報にたどり着ける仕組みだ。操作はマウスで画面やボタンをクリックするだけ。中でも人気の「Chat」では、時事やスポーツなどテーマ別のコーナーもあり、それぞれの開催スケジュールが提示されている。また仲間だけで楽しむプライベート・チャット・ルームも簡単に設けることができる。メールやその時オンライン上にいる人とメッセージのやり取りができる「インスタントメッセージ」には、自分が気に入ったホームページをそのまま貼付して送信することも可能。ほかにも川柳道場や、国内だけでなく世界の AOL のメンバーとメールのやり取りができる「Pen Pal」、留学ネットなど、ワールドワイドにサービスを展開する AOL ならではの国際色豊かなコンテンツが豊富に揃っている。
 同社では通常の電話回線でも支障なく読み込みができるように、コンテンツのデータ量を調節しているという。こんなところにも「なによりもメンバーの使いやすさを重視する。」(マーケティング部 渉外担当マネジャー 上條裕幸氏)配慮がなされているのだ。

定形郵便物で届けられるサインアップ用キット

定形郵便物で届けられるサインアップ用キット

メンバーサービスを重視

 メンバーサービスが第一と考える同社では、本社内に大規模なサポートセンターを設置している。受付時間帯は午前 9 時から午後 9 時まで。土曜・日曜も同様に対応している。同社ではここに寄せられた問い合わせ内容をデータベース化、項目別の Q&A 集を作り、活用している。また、「メンバーサービスエリア」内の「ヘルプマン・チャット」では毎日午後 6 時 30 分から 8 時 30 分まで同社スタッフが待機、リアルタイムで相談に応じている。
 現在、加入者は比較的若い世代が多い。今後は広告媒体として、パソコン関連雑誌だけでなく一般誌や新聞を積極的に活用し、徐々に加入者層を拡大していきたいとしている。「オンラインサービスは、常に新しいマーケットに向けて、新しいカテゴリーのサービスを、新しい方法で提供し続けていくビジネス。(加入者獲得目標など)こちらサイドのビジョンを推し進めるのではなく、メンバーとのコミュニケーションを大切にしながら、長い目でビジネスを育てていきたい」(マーケティング部 マーケティング担当マネジャー 梅林真知子氏)と同社では考えている。


月刊『アイ・エム・プレス』1997年7月号の記事