コンタクトセンター最前線(第81回):コールリーズンを分析し一次解決率の向上に取り組む

富士ゼロックス東京(株)

富士ゼロックス商品の販売や保守サービスなどを手掛ける富士ゼロックス東京(株)では、2007年に、全国に分散していた直販および各地域販売会社のテレフォンセンターの統合を終え、保守関連業務を一手に担う体制を整えた。受付拠点の統合による混乱を収束した今、同社では次なるステップとして「ワンストップ活動」を推進。コールリーズンの分析により一次解決率を高める取り組みに注力している。

東西のテレフォンセンターで全国のお客様に対応

 富士ゼロックス東京(株)は、富士ゼロックス(株)の地域販売会社(以下、販社)として複写機、コンピュータ、プリンター、ファクシミリなど各種情報機器の販売およびシステム・サービスを提供する会社である。富士ゼロックスの販社は全国に34社あり、各販社と富士ゼロックスがおのおのに保守窓口を開設していたが、2005年から2007年にかけてこれらを統合。現在は、富士ゼロックス東京が各社の保守窓口を代行するかたちで、保守関連業務を行っている。
 富士ゼロックス東京では、この受付窓口として2つのテレフォンセンターを運営している。ひとつは、東京の「東日本テレフォンセンター」。もうひとつは、大阪の「西日本テレフォンセンター」だ。東日本テレフォンセンターでは、東京・山梨・埼玉・千葉・神奈川のお客様を担当。西日本テレフォンセンターでは、上述の1都4県を除く北海道から鹿児島までのお客様を担当している。
 なお、両センターの運営管理は、同社DS&S本部 カストマー・リレーショナル統括部が行っている。

保守受付から他部門への情報提供まで幅広い業務を担う

 テレフォンセンターが担う保守受付に関連する業務は、多岐にわたる。ひとつ目は、顧客からの保守受付および操作の問い合わせ対応。2つ目は、カストマーエンジニア活動のサポート。緊急連絡や派遣コントロール、作業報告の入力代行などがこれに当たる。3つ目は、機械の設置・撤収・移動のスケジュールを管理する、機器搬入出のコントロール。4つ目は、電話やeメールによるお客様への定期的な商品稼働状況の確認。そして5つ目は、他部門への情報提供である。テレフォンセンターに集まったお客様の声は、エージェントからVOC(Voice of Customer)事務局へ伝達され、同事務局がVOCシステムに入力。営業・サービス・開発部門などへVOC情報として発信している。
 VOCシステムには自動eメール配信機能が搭載されているため、VOC情報に該当する担当者を探して配信する必要がない。また、複数の該当者にeメールを自動送信することもできる。eメール受信者には、発信元への結果報告が義務付けられており、対応がなされないままVOC情報が放置されることはない。

両センター間でのバックアップ体制も確立

 各業務の受付チャネルには、電話、ファックス、eメールのほか、機器の異常を自動的に知らせるEP(Electronic Partnership)システムを利用している。電話窓口には、NTTコミュニケーションズ(株)のフリーダイヤルを導入。0120-069114(ゼロックスいいよ)というごろ合わせの良い番号で、明瞭な告知を行っている。受付時間帯は、日・祝日を除く月曜から土曜日の9時から17時30分まで。受付時間外は、マルチベンダーサービスや有償でのサポートなど9つの機能を持つ24時間・365日稼働のカストマーサポートセンター(CSC)で対応する。
 また、災害やインフルエンザなどで大勢のスタッフが出勤できないケースや急激なコール増には、両センターが互いに補完し合う仕組みを整えている。例えば、台風により関東地方の交通機関が麻痺した場合は、西日本のエージェントが東日本のセンターにログインして、あたかも東日本のエージェントであるかのように応対するのである。
 スタッフ数は、東日本110名、西日本200名で総勢310名。両センターに寄せられるコール数は、月間約25万件(2007年10月実績)で、内訳は東日本が約10万件、西日本が約15万件。一方、ファックスは同2万2,000件。eメールは同4,000件となっており、インターネットが普及しているとはいうものの、まだまだ電話の利用が多い。

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西日本テレフォンセンター(上)。机の配置が特徴的(左)

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センターと同じフロアにある休憩スペース。パステルイエローを基調とした空間が開放的な雰囲気(写真左)
休憩スペースの奥には、足を伸ばしてくつろげる和室もある(写真右)

基本品質の確保に続き一次解決率を6%から13%に改善

 両センターが目標とするサービスレベルは、10秒以内に90%のコールを取り、放棄率は3%以下にとどめること。現在は目標以上の数値を実現しているが、センター統合の過程においてはこのサービスレベルを達成できない時期もあった。直販の保守窓口と34販社の保守窓口を3年で統合するというスピードの早さ、そしてこれに伴う急激な人員拡大が原因だ。経験の浅いエージェントの増加、不安定なシステム稼動、エージェントの端末操作習熟度の不足や定着率低下といった問題が重なり、電話がつながりにくいという基本品質の低下を招いてしまったのである。
 同社では、早急に研修カリキュラムの見直しやシステムの改善を図り、基本品質を確保。その後は、教育の拡充や応対コンテストの実施、各種イベントの開催に加え、企画部門である富士ゼロックスCS本部との協業によるシステム安定稼動に努め、基本品質の維持・向上に注力してきた。2007年からは「ワンストップ活動」と銘打って、一次解決率の向上を推進。その結果、2005年には6%だった一次解決率が、現在は13%にまで高まっている。

エージェントを支えるシステム

 両センターがワンストップ活動を推進する上で不可欠としているのが、CTI(Computer Telephony Integration)、Field Work Support System(FWSS)、electric Selfdispatch@MobileSystem(eS@M)、Docu Works といった応対をサポートするシステムの存在である。
 CTIでは、発信者番号でお客様データベースを検索し、該当するお客様の情報をエージェント端末にポップアップ表示させる仕組みを構築。着信とほぼ同時にお客様を特定し、使用商品や保守履歴を確認している。CTIの導入当初、発信者番号と顧客情報のヒット率は約50%と低迷していたが、お客様の了承を得て直通電話番号を登録することで、徐々にヒット率を高めていった。地道な作業を続けた結果、現在は85%というハイスコアを達成している。
 FWSSは、お客様情報とカストマーエンジニア(CE)の行動情報をホストコンピュータによって一括管理し、より迅速で的確な対応を行うためのオンラインシステム。契約形態、担当者、電話番号、訪問来歴、消耗パーツ交換情報のほかに、CEの出退勤登録、作業終了報告、チームの稼働状況、機械搬入出情報などを得ることができる。
 さらに、CTIによって受付システムと連携させており、エージェントが受付画面に入力した情報がFWSSに自動的に反映される仕組みになっている。
 eS@Mは、メールサーバを介してFWSSから情報を引き出し、その情報に基づき行動を起こせるサービス支援システムである。CEは携帯端末でeS@MからFWSSの情報にアクセスして必要な情報を閲覧することができるため、事前にお客様のパーツを確認したり、自主判断で訪問計画を立てたりできるようになった。これにより、テレフォンセンターのCEコントロール効率の改善が図られている。
 最後に、Docu Worksは、電子文書と紙文書を一元管理でき、パソコン上で編集・閲覧ができる同社のソフトウエアである。これをセンター内の連絡手段として使用するとともに、外部の関連部門との連絡手段としてWebベース文書管理・活用ソフトウエア、Docu Shareを活用することで、ファックス送信で懸念される誤送信を回避。顧客情報の漏えい防止に役立てている。
 なお、受け付けからCE手配までの流れは図表1の通り。

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課題は研修離脱の防止

 現在、エージェントの離職率はテレフォンセンター統合当初に比べて大きく改善されているが、同社では離職率の低下を継続的な取り組み課題として挙げている。特に、新人基礎教育の最中に退職してしまう研修離脱者が目立ったことから、同社では、比較的簡単な内容から学び、次第に高度な学習へシフトしていくカリキュラムを作成。研修離脱者を減らすことで、採用と研修を繰り返す悪循環を断ち切っている。
 カリキュラムは3段階に分かれている(図表2)。ステップ1では、電話応対の基礎やFWSSの操作方法など、電話応対に必要なスキルを学ぶ。続いて、製品知識や契約形態など業務内容について学習する。以前は、複写機の知識があれば応対できたが、パソコンとインターネットが普及した現代においてはOSやネットワークの知識も不可欠である。習得しなければならない知識が増えたことに伴い、それまで1週間だったステップ2の研修期間が今では2〜3週間を要しているという。
 ステップ3では現場での操作実習やCEとの同行といった実地研修を行う。その後、試験を実施し着台の合否を決定。合格者は、新製品や富士ゼロックスのCSR活動などの教育を受け、晴れて配属される。

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 正式配属までに要する期間は約2カ月。新人基礎教育は、専任の教育担当者が指導に当たるが、配属後は、クオリティマネジメントグループがエージェントの品質管理、およびサポートを行う。

さらなる一次解決率の向上と応対のスピードアップを目指す

 今後、同社ではさらなるワンストップ活動推進のために、コールリーズンを分析し、センター内FAQに反映させ、一次解決率の向上に役立てる構え。同時に、センター内FAQをホームページで公開しているFAQにも活かし、お客様への有益な情報提供に努めるという。
 現在、分析はマクロを使用した簡易集計の結果をもとに行っているが、同社では分析のさらなる高度化・効率化を図るために、テキストマイニングツールの導入を検討しているところだ。
 また、2008年春より、親会社である富士ゼロックスの主導による全社的なデータベース統合に着手。この7月にはCSCとテレフォンセンターで使用しているお客様データベースの一元化を図った。CSCでは、お客様が使用しているパソコンのOSバージョンやネットワーク構成などの豊富な情報を基にサポートを提供している。テレフォンセンターのエージェント端末により多くの情報を表示できるようになったことで、同社ではさらなる一次解決率と応対スピードの向上を推し進める。
 なお、データベースの統合は、順次、富士ゼロックスが運営・管理する拠点にも拡大する予定。最終的には、お客様情報、製品情報、CEサポート情報といったすべてのデータが統合され、全社共通の大規模データベースシステムが構築される。そして、同社がその先に見据えているのは、全社共通の大規模コールセンターだ。進化を続けるテレフォンセンターに今後も注目していきたい。


月刊『アイ・エム・プレス』2008年8月号の記事