コンタクトセンター最前線(第78回):複数の拠点を活用して応対効率を高めるなど効果的なセンター運営を実現

らでぃっしゅぼーや(株) 

有機・低農薬野菜、無添加食品や日用品の会員制宅配サービスを手掛ける、らでぃっしゅぼーや(株)。同社の会員サービスセンターでは、複数の拠点を活用してバックアップ体制を実現しているほか、有人対応とIVRを併用して、電話がつながりやすい環境を整備。将来的には、プロフィットセンターを目指している。

応対品質の均一化をはかるべく会員サービスセンターを開設

 1988年より有機・低農薬野菜、無添加食品や日用品の会員制宅配サービスを手掛ける、らでぃっしゅぼーや(株)。現在、同社では21種類の中から家族構成やライフスタイルに合わせて選べる野菜の基本セット「ぱれっと」、お米などの宅配定期品を届ける「定番くん」、食材から日用品まで必要なものを1回単位で注文する「元気くん」、頒布会「準定期品」の4種の商品を展開。これらを合わせて年間7,000アイテムを全国約9万世帯のお客様に提供している。
 今回紹介する会員サービスセンターは、お客様からの注文や各種問い合わせ、諸届け変更に対応するコンタクトセンターである。受付窓口には、NTTコミュニケーションズ(株)のフリーダイヤルサービスを導入。ひとつの番号で、注文、利用休止などの事務手続き、各種問い合わせ、クレームに対応している。
 現在の組織体制になったのは、2003年9月。会員制宅配事業をスタートした当初はエリアごとに会員相談室を設けて注文などお客様窓口業務を行っていたが、応対品質の均一化を図ろうと会員サービスセンターを開設。それまでの会員相談室を順次、統合し、現在に至る(図表1)。
 また以前は、会員サービスセンター、受注センター、「ぱれっと」で配達される予定の野菜の種類をお知らせする窓口など、用件別に窓口があり、かつそれぞれに異なる電話番号を設けていたため、お客様にとっては窓口がわかりにくかった。加えて、通話料負担が大きい、詳細な受付状況の把握が困難といった課題も生じていたことから、同社では会員サービスセンターとお客様を結ぶフリーダイヤル番号を1本化。お客様にとって使い勝手の良いサービスセンターへと再構築を図ったのである。
 現在、会員サービスセンターの運営・管理を担っているのは品質保証部。同部は、オペレーショングループと業務グループに分かれており、前者が受注など直接お客様に対応するフロント業務を、後者がオペレーショングループに専門知識を提供したり、お客様の声の集計・分析をしたりするバックヤード業務を主に担っている(図表2)。

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フリーダイヤルの機能で効率的にコールを振り分ける

 会員サービスセンターの受付時間帯は、有人対応が9時から21時まで。全拠点合わせて約70名のオペレータが、曜日や時間帯別にシフトを組んで対応に当たっている。また、IVR(音声自動応答装置)を利用することで、日中のコールの取り逃がしを最少限に押さえるとともに、有人対応終了後の21時から翌9時までも注文などを受け付け。有人対応とIVRを組み合わせて、24時間いつでもつながりやすい環境を整えている。
 図表3は、会員サービスセンターの受付体制イメージである。コールの振り分けには、フリーダイヤル・インテリジェントサービスを利用している。お客様からのコールを着信すると、まず自動音声で応答。お客様に用件に該当する番号をプッシュボタンで入力していただき、適した受付先にコールをつないでいる。

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 センター数は3つ。東京本社に1カ所と、そのほか2カ所にセンターを設けることでバックアップ機能を強化するなど、マルチロケーションの利点を活かしたセンター運営を行っている。具体的には、本社のセンターでは、各種問い合わせやクレーム、料金に関する問い合わせに対応。一方、そのほかのセンターでは、注文と諸届け変更や利用休止の受け付けといった事務手続きに対応しており、そのほかのセンターであふれ呼が生じた際には、本社センターでこれに対応する体制を整えている。
 また、会員サービスセンターでは、時間帯別に3パターンのコールフローを用意。フリーダイヤル・インテリジェントサービスのオプションサービスのひとつである「時間帯設定」を利用して、コールフローを自動的に切り替えている。

元気くん表紙

食材から日用品まで必要なものを1回単位で注文する「元気くん」のカタログ。毎号、表紙ではおすすめ商品や季節感のある商品を紹介している

オペレータのファンになってもらえる対応を心掛ける

 以上、述べてきたように、システムを活用してセンター運営の効率アップを図っている同センターだが、会員制ビジネスであることから、お客様への対応に当たってはお客様に気軽にご連絡いただけるよう、フレンドリーな対応を心掛けている。もちろん、お客様に失礼のないような言葉遣いで対応することが必須だが、四角四面の対応ではなく、臨機応変に時には方言も用いるなどして、オペレータひとりひとりにファンがつくように努めている。
 しかし、従業員の満足度が低ければ、お客様にファンになっていただけるような対応はできない。「ESなくしてCSなし」をモットーとする同センターでは、長年にわたりオペレータが働きやすい職場作りに努めてきた。その結果、オペレータの平均在職年数は5.5年と、コンタクトセンターの世界では長い。今年、同センターは10周年を迎えるが、中には同センターと同じ10年選手もいるほどだ。オペレータの在職年数の長さは、ESの高さの現れと言えよう。

応答率を60%台から90%台へ高めるために

 会員サービスセンターの1カ月当たりの受付状況は、有人対応が3万5,000件。注文、事務手続きの応答率は、93%以上をキープしている。5年ほど前には、お盆前の利用休止の申し込みが集中する時期になると応答率が60%台に落ち込むこともあったが、現在では大幅に改善されている。
 同センターが行った改善策は、次の3点である。ひとつ目は、IVRにより24時間体制で利用休止の受け付けができるようにしたこと。2つ目は、早期のチラシ投入である。少しでも早くお客様に利用休止のお申し込みをしていただけるよう、連絡を促すチラシを投入したのだ。3つ目は、受付体制の拡充である。単にオペレータを増員するのではなく、上記のようにコールが集中しないための工夫をこらすことで、費用を抑えつつ、応答率を高めたのだ。
 ちなみに、本社センターで対応しているクレームや問い合わせの応答率はさらに高く、100%に近い状態を保っている。これは、受付体制にある程度の余力を持たせているためである。本社センターでは、ほかの拠点のあふれ呼に対応するほか、クレームにも迅速に対応しなければならないため、あえて余力をもたせているのだ。年初に発生した餃子事件の折には、会員サービスセンターにも問い合わせが殺到したが、こうした有事のための備えでもある。

システム面の充実と外国人対応が急務

 現在、会員サービスセンターでは、システム面の充実を課題として挙げている。CRMシステムや基幹システムの操作性を改善し、応対品質を高めると同時に、新人オペレータの研修期間を短縮したい考えだ。
 また、応対履歴をしっかり蓄積していくことで、業務グループが行っているお客様の声の集計・分析をシステムの側面から支援することができれば、お客様の声の活用のスピードアップが図れると見ている。前述した応答率を高めた取り組みは、もともと「電話がつながりにくい」というお客様の声を基に行われたものだが、同センターでは今後も、できることから改善に取り組む意向だ。
 さらに、eメール対応と外国語対応にも力を入れていく構え。特に、外国語対応については早期対応が望まれている。というのも、オーガニック食材への関心が高い在日外国人の間で、口コミで同社の商品が広がっているのだ。

目指すはプロフィットセンター

 同センターは現状、お客様からの電話を受け付けるだけのセンターであるが、今後はもう一歩、踏み込んだオペレーションを行っていきたいとしている。
 例えば、退会の申し出に対してあっさりと了承するのではなく引き止めを試みる。あるいは、注文に対してクロスセルやアップセルを行うなどして、プロフィットセンターへと転換していきたいとしている。このほか、長年にわたりご購入くださっているVIP専用の電話窓口を設け、お客様ひとりひとりの生涯価値を高めていくことも検討中だ。
 こうした取り組みが実を結んだとき、同センターはプロフィットセンターとして、新たなステージに立つことができるのだろう。

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本社内にある会員サービスセンターのオペレーション風景。パーティションでブースが区切られているが、左右のパーティションの上部が透明になっており、 隣のオペレータの様子が見えるので孤独感がない


月刊『アイ・エム・プレス』2008年5月号の記事