RFIDとお客様との関係づくり

2005年6月18日

今週はバタバタしていたため、このブログに書きたいことがあっても、
詳細を紐解いている時間がなかった。そこでこの週末は、
今週あったことの中から、印象に残ったことを紹介しようと思う。
まずは、木曜日に開催した、月刊「アイ・エム・プレス」8月号
の特集のコンテンツのひとつとして掲載する座談会について。
テーマと参加者は以下の通り。
■テーマ:
「CRM戦略を支援する“RFID(ICタグ/カード)”の活用法」
■参加者:
㈱NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 
CRMサービスユニット長 吉川明夫さん
大日本印刷㈱ ICタグ本部 本部長 坂本昭さん
東日本旅客鉄道㈱ 鉄道事業本部 Suica部 課長 片方聡さん
㈱博報堂 ビジネス開発推進局 ニュービジネス開発推進部
スーパーバイザー 川原和彦さん
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■Suicaはマイカードではなくインフラ
自己紹介を一巡した後、今や発行枚数は1,200万に達し、
トランザクションもかなりの規模に達するSuicaの次のステップを
どうするかを考えているとのJR東日本の片方さんのご発言を受けて、
参加者全員がSuicaの話題で盛り上がった。片方さんによると、
Suicaは「マイカード」を目指すと同時に「インフラ」でもあり、
マスとパーソナルの両方に取り組もうと思っているとのことであった。
■垂直統合から水平統合へ
NTTデータの吉川さんのお話の中では、
(これが“お客様との関係づくりを支援するマーケティング情報誌”
である弊誌が、RFIDの特集を組むことになったきっかけでもあるが)
ICタグをモノにつける→ICカードを人が持つ、という流れに言及。
前者は、モノが製造者→販売者→消費者という流通経路を辿る中で、
個々の商品がどこで製造され、どのように使えるといった、
垂直なバリューチェーンにかかわるものであるのに対し、
後者は、買う、遊ぶ、学ぶといった生活者の行動を、
ひとつの紐で繋ぐ水平なバリューチェーンにかかわるものであり、
そこではオープン性が重要だと指摘された。
■POSの次ステップとしての店頭情報の収集
博報堂の川原さんからは、従来のPOSデータが
購買の結果しかわからないのに対し、商品にICタグを付けることで、
店頭で何回その商品が(来店客に)触られたかなど、
POSの次ステップとしての情報が収集できるという指摘があった。
これを受けて、大日本印刷の坂本さんから、
購買前のマーケティングを支援する同社のソリューションである
「マーケティングシェルフ」が紹介された。
■生活者が望む情報を提供する
吉川さんは、AIDMAに代わる新しい概念として、AISACを紹介。
AISACのSはSearchのS。生活者が事前にサイトなどで
商品情報をしっかり調べてから購入する傾向が高まっていることから、
企業側からの情報提供がこれまでに増して重要になってきていること、
中でも生活者は安全性に関する情報提供を求めていることを指摘。
川原さんは、その次の段階の情報提供として、
たとえばワイン購入者に最適なチーズをお奨めするなど、
顧客視点のシナリオ作りの大切さを強調された。
■課題:個人情報保護、標準化、コスト等々
課題としては、個人情報保護の問題が挙げられ、
主体となる企業の信用が重要であることに全員が言及。
中でも坂本さんの「法人としての人格が問われる」というご発言に、
私は“わが意を得たり”という気がした。
このほか、規格の標準化の問題や、コストの問題にも話が及んだ。
コスト面は、ユーザー側である片方さんからのご指摘だが、
支援企業側である坂本さんは、これまでのご経験に基づき、
販売の効率化と販売増の双方が見えていないと普及が難しいと、
指摘しておられた。
このほか、座談会の中では、各々の参加者がこれまでに携わられた、
企業や官公庁のRFID活用事例なども紹介された。
詳細は7月25日発行の月刊「アイ・エム・プレス」8月号を参照。
本特集には、この座談会のほか、
三越、東京三菱銀行、リソー教育などのケーススタディも掲載!!
詳細については、7月20日までに弊社のサイトにアップされる。