ABCクッキングスタジオにトップインタビュー

2010年4月17日

今週は、月刊『アイ・エム・プレス』5月25日発行号掲載分の
トップインタビューで、ABCクッキングスタジオにお伺いした。
ABCクッキングスタジオと言えば、
ガラス張りの広いスペースに真っ赤なロゴが印象的。
私が最初にその新手の料理教室を目の当たりにしたのは、
ミッドタウンの中のそれを見た時だ。
私自身は料理教室の類には一度も通ったことがないのだが、
料理教室というと、それは伝統的な日本家屋の台所と同様に、
外界から遮断されたクローズドな空間という印象がある。
しかし、ミッドタウンのABCクッキングスタジオは、
通行客からも調理をする女性たちの様子が見える開放的な空間で、
従来の料理教室のイメージとは一線を画していた。
それもそのはず。このABCクッキングスタジオは、
一般の料理教室とはまったく異なる発想で誕生したサービス。
意外に多いと言われる、料理ができない女性をターゲットに
ABC(=いろは)から楽しく料理を体験するスタジオとして開設された。
同社の横井社長によると、この発想の源は、
同氏が食器セールスのアルバイトをしていた時代に遡る。
“器が良ければ、料理も美味しく見える”と食器を薦めても、
料理ができない女性が意外に多く、それではと料理教室を薦めても、
彼女らにとって料理教室への通学には大きな壁があることに気が付いたのだ。
従来の料理教室は、ともすればある程度料理ができる女性の
コミュニティと化しており、そこに料理ができない女性が入っても、
料理の腕に応じて役割が分化して、皿洗いなどの下働きを担うことになる。
これではいくら料理教室に通っても、料理が上手くならない。
料理下手を自称する顧客は、料理教室にこんなイメージを抱いていた。
そこで同氏は、食器セールスの付加サービスとして、
1回500円で料理教室の開催を開始したところ、
これが好評を博したことから、仕入れが伴う食器=ハードの販売から、
料理=食器のソフトへとビジネスを180度転換。
今日では、北は北海道から南は鹿児島まで、全国に108校を展開、
2009年3月期には、約163億円の売上高を達成するに至っている。
今でこそVOC(Voice of customer)がブームとも言える様相を呈しているが、
そんな三文字熟語がない頃から、顧客の声に耳を傾けて新たなビジネスを創造。
それも物販からサービスへとビジネスの転換を果たした
横井氏のアイデアとクリエイティビティはなかなかのもの。
サービス・ドミナント・ロジックに基づき、
食器販売をサービスへと進化させたと言えるだろう。
月刊『アイ・エム・プレス』5月25日発行号では、
このブログでご紹介した同スタジオ立ち上げの経緯の詳細に加え、
会員の獲得~維持のためのプロモーションやコミュニケーション施策、
さらには食品&家庭用品メーカーを対象とした
サンプリングなどのコラボレーションへの取り組みご紹介する。