2014年の最後の日に

2014年12月31日

いよいよ2014年も最後の1日を迎えました。弊社にとって今年は、月刊『アイ・エム・プレス』をはじめとする出版事業から撤退するという、大きな決断を実行に移した年でした。弊社が現在も続けている得意先のマーケティング支援業務を開始したのが1989年、弊誌を立ち上げたのがWindows95が発売された1995年のことですが、2014年はこれらに次ぐ、あるいはこれらと同じぐらいに大きな節目の年であったということができるでしょう。
<2014年1月にお客さまにお送りしたお手紙>
http://www.im-press.jp/press/pdf/news14021201.pdf
弊誌の最終号(4月号)を発行してからというもの、得意先のマーケティング支援業務を継続しながらも、お客さまからのお問い合わせに対応したり、出版物の販売チャネルをAmazonに一本化したり、社内組織を変更したり、本社を本郷から南青山のシェアオフィスに移転したり・・・。バタバタしているうちに、あっという間に半年が過ぎ、秋も深まったあたりで、ようやく未来のことを考える余裕が出てきたというのが正直なところです。
こうした経緯の中で、発行人である私が大切にしてきたのは、創刊時には大々的な広告宣伝を打っても、終刊時にはひっそりと消えていく雑誌が多い中、弊誌に限ってはそうではなく、足掛け20年に及ぶその歩みの中でお世話になった方々に、できる限り誠意を尽くそうということでした。そこでこの1年間は、これまで弊誌を支えてくださった多くの方々に、かつてないほどにお目にかかったり、また電話やeメールでご連絡をさせていただきました。
この結果、深いお付き合いをいただいていた何人かの方々が、弊誌がその使命を終えることに涙してくださったり、顧客接点の現場で日々、格闘する読者からは「戦友だと思っていたのに・・・」、執筆陣のお一人でもある関連業界の社長からは「同志だと思っていたのに・・・」というありがたいお言葉を頂戴するなど、ともすれば月1回の締め切りに追われて余裕を逸していた私たちは、誌面の向こう側にある種のコミュニティが広がっていたことに、改めて気づかされました。
また最終号で、取材先、寄稿者、購読者、広告主など、弊誌がお世話になってきた方々に、誌名の由来でもある「インタラクティブ・マーケティングの現状と未来」についてのアンケートを行い、多くの方々から示唆に富んだ回答をいただいたことも、ついに本格的な顧客参加型の誌面作りが実現した喜びもさることながら、弊誌がいかに貴重な仲間たちに支えられていたかを痛感させられる出来事でした。

今から10年ほど前のこと、読者の1人であった地方都市の仏壇屋さんの社長から、「耐久消費財のCRMはあり得るのか?」という問い合わせをいただいたことがあります。私はその時、「あります」とお答えすると共に、その一例として、確か自動車メーカーのCRM事例をご紹介したように記憶しています。しかし、“仏壇”という耐久消費財の中でも特殊な商品に自動車メーカーの事例をそのまま適用することは、当時では難しかったのではないでしょうか。
その後、その方は東京の某私大の大学院に入学され、耐久消費財のCRMを研究。卒業時にメールしてくださった修了証の写真は、今でも私の脳裏に焼き付いています。それからしばらくして、その仏壇屋さんはなぜか弊誌の購読を辞められ、今は音信不通となっているのですが、今日、久しぶりにそのWebサイトを覗いてみると、お客さまの生の声や顧客満足度調査の結果が掲載されており、耐久消費財ながらもCRMに注力されている様子がにじみ出ていました。
翻って、この1年のマーケティング・シーンを振り返ってみると、2014年は、オムニチャネル化によるカスタマー・エクスペリエンスの向上、B to Bマーケティングへの取り組みの活発化などと合わせて、耐久消費財メーカーによるCRMへの取り組みが始動した年でもありました。人口減少社会と言われる中、耐久消費財においても、単なるアフター・サービスの提供に止まらず、見込客の顧客化や、友人紹介などの観点から、CRMが重要な役割を果たすようになってきたのです。
弊社にとってのこの1年は、冒頭でも述べたように大きな“節目の年”であると共に、“ひっそりと消えない”方法を選んだことで、多くの仲間たちに支えられていることを改めて気づかされた年でもありました。そしてさらには、1995年以来、足掛け20年間にわたり蓄積してきた弊誌のコンテンツが、この仏壇屋さんをはじめ、多くの皆さまのビジネスの現場で形を伴っていくことができるのであれば、そんなに嬉しいことはありません。
2014年の最後に、こうしてお付き合いを継続させていただいていることに改めて御礼申し上げると同時に、新しい年が貴方さまにとって飛躍の年となりますよう、心からお祈りしております。