(社)日本テレマーケティング協会の名称変更(予定)を機に“言葉をめぐる戦い”を振り返る

2011年6月13日

去る6月7日、(社)日本テレマーケティング協会(JTA)の
会員総会が開催され、同協会が一般社団法人化するに当たって、
日本コールセンター協会に名称を変更することが決定しました。
これは“コールセンター”が、社会生活において広く認知されているため。
確かにコールセンターは、今や各社のセンター名に組み込まれていたり、
テレビCMやテレビドラマの舞台としても、おなじみになっています。
JTAが設立されたのは1988年7月のこと。
もうかれこれ20年以上も用いられてきた名称が変更になるというのは、
設立後、間もなく入会した弊社にとって、いろいろと考えさせられるニュースです。
例えば、弊社が1999年から発行している『コールセンター年鑑』。
創刊当初の名称は『テレマーケティング白書』だったのですが、
翌1999年には主題を『コールセンター年鑑』に名称変更したものの、
“テレマーケティング成功事例集”という副題を冠しています。
コールセンターがリアルかバーチャルかはさておき拠点の概念であるのに対して、
テレマーケティングはコールセンターで展開される活動の概念。
双方には、単に言葉の新旧に止まらない意味の違いがあるだけに、
双方の言葉をどのように使い分けていくかは、なかなか頭の痛い問題です。
一方、言葉の意味は時代と共に変化してもいきます。
そもそもテレマーケティングにはインバウンドとアウトバウンドがありますが、
米国では1990年代からアウトバウンドのイメージが強くなり、
最近では日本国内でも、テレマーケティングという言葉が
アウトバウンドの意味で使われるケースもあるようです。
こうした“言葉をめぐる戦い”は何も、
テレマーケティング VS コールセンターに限ったことではありません。
例えば、ダイレクトマーケティングにしても、
そのヘビーユーザーである通信販売のイメージが強まったことで、
通販業界以外の取り組みを含む場合にこの言葉を回避する傾向が生じたのは、
もうかれこれ10年以上前のことだったでしょうか。
月刊『アイ・エム・プレス』のコメンテーターである
法政大学経営大学院 教授の嶋口充輝氏が、
弊誌主催の座談会で、こうした言葉をめぐる戦いについて、
企業の戦略としての側面から言及されていたことがあります。
前掲の言葉の中にはそうした側面を持つ言葉もありますが、
その言葉が意味するところが結果的に社会に大きな価値をもたらすのであれば、
そもそものきっかけは1社の戦略であっても構わないでしょう。
しかし、悩ましいのは、この言葉をめぐる戦いには終わりがないということ。
コンテンツ屋である弊社は、そうした環境下で
どのように読者と意味を共有していけばいいのか、
それもまた終わりのない戦いだと痛感させられます。