藤田浩二氏監修:レスポンス・デザインの法則 AIDA×ヒトのクセと要望

2012年7月28日

月刊『アイ・エム・プレス』8月号(2012年7月25日発行号)が発行された。
特集は、日本ダイレクトマーケティング学会理事を担われる
藤田浩二さんの監修による
「レスポンス・デザインの法則 
AIDA×ヒトのクセと欲望」


藤田さんは、電通ワンダーマンの取締役副社長を17年間にわたり勤められた、
日本のダイレクトマーケティング界の重鎮。
月刊『アイ・エム・プレス』が創刊した翌年に当たる1996年から
昨年までの約16年間に渡り、弊誌のコメンテーターを担っていただいていた、
弊誌の恩人のお一人でもある。
さて、本特集は、下記の3章から構成されている。
■序論:日本のダイレクトマーケティング 
     その足跡と資産

■HOW TO:AIDAプロセスにおける
     クリエイティブの法則とテクニック

■提言:ダイレクトマーケティングの知見は
     インターネットでさらに生かせる

まず序論は、ダイレクトマーケティングの名付け親と言われる
レスター・ワンダーマン氏が、電通を訪問されたのを機に、
当時、電通のSP局におられた藤田さんに調査視察の命が下されたところから始まる。
そして、日本におけるダイレクトマーケティングの草創期である
1980年代における日本のダイレクトマーケティング・シーンを振り返りつつ、
「レスポンスがとれた理由、広告が成功した理由を、
できる限り人間の行動の本質に迫りながら整理し直してみた」
として
第2章のHOW TO編への導入を図っている。
コラムとして掲載されている「広告の大きな過ち」(A.ビルン)を見ると、
ダイレクトマーケティングがマスマーケティングへのアンチテーゼであるかのように
語られていた当時のことが懐かしく思い出される。
そしてHOW TOでは、冒頭で、最新の心理学や脳神経科学の観点から、
人間の認知プロセスと感情に付随するメカニズムに触れた上で、
ダイレクトマーケティングにおける購買行動プロセスであるAIDAに即して、
そのノウハウを詳細かつ具体的に披露している。
ちなみにAIDAとは、購買行動プロセスとして知られるAIDMA
(Attention、Interest、Desire、Memory、Action)からMを除外したもの。
ダイレクト広告においては広告メディアが売り場そのものなので、
記憶(Memory)のプロセスを省いて
「売り」に徹した広告制作が求められる
のだ。
HOW TOは8ページに上る本特集の核となる部分だが、
原稿量が当初の予定を大幅に上回り、文字がいつになく細かくなってしまったが、
ダイレクトマーケティングにおける広告制作のノウハウが
具体的な実例を交えてぎっしりと詰まっている。
最後の提言では、インターネットの進展がオンライン販売を
加速していることに触れつつも、オンライン・マーケティングにおける
「ターゲット・セグメント概念の欠如」に警鐘を鳴らす。
そして、オンライン販売が流通の主役の一つを担うようになった現代にこそ、
ダイレクトマーケティングが蓄えてきた知見が重用されることを力説。
HOW TOで述べた「AIDA×ヒトのクセと欲望」を自分の腑に落とし、
実践することを読者に呼びかけている。
なお、弊誌では、本特集の制作に先駆けて、
8人のダイレクトマーケティングのディレクターやクリエイターの方々を一堂に会し、
藤田さんのリードの元でのディスカッションを行った。
特集の最終章に当たる提言には、ディスカッションの席で、
これら8人の方々から頂戴したコメントもコラムとして掲載している。
藤田さんをはじめ、この8人の方々に心から感謝申し上げる。
伊藤 誠氏 メイキット コミュニケーション 代表 
大槻 陽一氏 大槻陽一計画室 代表
鎌田 洋介氏 ギャプライズ Webマーケティング事業部 
 プランニンググループ マネージャー
中山 茂氏 千趣会 経営企画本部 経営戦略部 部長
福田 直美氏 ライトアップショッピングクラブ 商品開発グループ
 広告制作部 課長
横田 伊佐男氏 CRMダイレクト 代表取締役
吉岡 英彦氏 電通ダイレクトフォース ソリューション部
 クリエイティブ・スーパーバイザー
吉川 景博氏 知識融合化法認定法人 フュージョン 
 取締役/シニアディレクター
ちなみに、弊誌にとって初めての挑戦となるこの特集企画は、
創刊満17年を目前にして、これまでにお世話になった先輩の中に
現役をリタイアされる方が増えてきたことから、
なんとか諸先輩方の遺伝子を後世に残していけないかと考えたこと。
そしてもうひとつは、“ソーシャルシフト”が叫ばれる中での出版社の、
あるいはメディアのあり方を切り開いていきたいと考えたことに端を発している。
中でも後者については、インタラクティブ・マーケティングを標榜する以上、
単にこれをテーマにしたコンテンツを提供するだけではなく、
自らその実践者でもあり続けたいというのは弊誌創刊時からの想いであり、
そのひとつの切り口が読者参加型の誌面づくりであると考えているのだ。
※月刊『アイ・エム・プレス』の誌名はインタラクティブ・マーケティング
(Interactive Marketing)の頭文字から名づけている。

これら2つの想いを同時実現する初の本格的取り組みとなった本号は、
弊誌を日ごろからご愛読いただいている方々はもちろん、
そうでない方にも、ぜひ手に取ってお読みいただきたい特別な号である。
月刊『アイ・エム・プレス』8月号(7月25日号)の詳細は、こちらから。