産地直送の里いもに想う

2011年1月2日

あけましておめでとうございます。
今年は土日の関係で暮れ~お正月のお休みが短く、
あっという間にもう半分以上が過ぎてしまった。
そんな中、昨日は暮れに頂戴した富山産の里いもと、
レンコン、ニンジン、ゴボウ、干椎茸、鶏肉、コンニャクで筑前煮を作った。
本来は31日に作っておく予定だったのが、
台所の水道をめぐるトラブルがあり、これがままならなかったのだ。

この里いもは、「サトイモの里」で知られる富山県は山野地区の杉森桂子さん
という旧家のお百姓さんが、地区独特の土壌と農法にこだわって作ったもの。
あの「美味んぼ」で“世界一のサトイモ”と紹介されたこともあるのだという。

そもそも私は幼い頃から無類の里いも好きなので、
“世界一のサトイモ”をいただいて大喜び。
里いもは、日本人のソウルフード的存在なのではないだろうか。
里いもと同梱されていたリーフレットの裏面には、里いもコロッケ、
里いもご飯、里いものゆず味噌田楽、里いもの風味煮、里芋団子のデザートなど
杉本さんおススメ(?)の里いも料理の数々が紹介されていたが、
ここはお正月らしくということで、筑前煮にした次第。

台所の水道が使えないままだったり、ごま油がちょっとしか残っていなかったり、
煮物に彩りを添えるサヤエンドウのような食材の買い置きがなかったり、
いろいろと不都合のある中で作ったので、見た目はちょっと怪しいものの味は上々。
「美味しんぼ」の雁屋哲さんが思わず涙ぐんだというのも頷ける出来栄えだった。
山野地区の里いもに限らず、日本には地域に埋もれた美味しいものがたくさんある。
そうした隠れた名品を全国の消費者に届けようと産地直送が活発化したのは、
今を去る20年前、1990年代のこと。
先行する明太子のふくやや梅干の中田食品が業績を伸ばしたことで、
これに続けとばかりに多くの企業がこの分野に参入したのは記憶に新しいところだ。
そして2000年代に入ると、インターネットの爆発的な普及に支えられて
“お取り寄せ”がブームとなり、この分野への参入企業はますます増加している。
こうした産地直送が活発化した背景にはもちろん、
通信販売を支える情報や物流のネットワークの整備があるわけだが、
そこで大切なのはモノ作りへのこだわりとその結果としての商品にほかならない。
デフレに始まり、デフレに終わった感がある2010年。
ネット上では、グルーポンで買ったおせちをめぐるトラブルが話題になっているが、
2011年には、独自のこだわりを持って商品を作り続ける生産者と、
独自のこだわりを持って商品を選び続ける消費者の幸せな出会いのために、
この発展した情報や物流のネットワークが活用されることを願って止まない。
そしてそのためには、私自身が価格や利便性のみに踊らされず、
自分が気に入った商品をきちんと探し出すこと、
そしてそれを選択し続けることがはじめの一歩となるだろう。
杉森さんの里いもで作った筑前煮で一杯飲りながら、
そしてNHKスペシャルの「2011年日本の生きる道」を横目で見ながら、
そんなことをつらつらと考える元日の夜であった。
ちなみにネットで検索してみると、
杉森さんの里いもは、こちらで注文することができる。