月刊『アイ・エム・プレス』の世界観

2010年9月19日

このところ、3回連続でちょっとまじめなブログをアップしたが、
これらはそれぞれバラバラなようでいて、私の中ではどこかでつながり、
インタラクティブ・マーケティング(Interactive Marketing)の専門誌である
月刊『アイ・エム・プレス』の世界観を形づくっている。
そうした観点から3つのブログのエッセンスを抽出すると、
おおよそ以下のようなことだ。
①ダイレクトマーケティングというと、
かつてはマス媒体のダイレクト・レスポンス広告やDMで商品情報などを発信し、
ハガキや電話でレスポンスを受けるといったスタイルが基本だったものが、
いまではWebサイトやeメール、ケータイといったネット系メディアが
情報発信とレスポンス受付の双方にかかわる主力チャネルのひとつに躍り出てきた。
このことは、単に企業と顧客を繋ぐインフラをよりリアルタイムに、
インタラクティブに変化させたというだけではなく、
企業が収集する顧客情報を基本属性や購買履歴から、
Web上での行動履歴やソーシャルメディアへの書き込みなどに拡大すると同時に、
情報収集の対象を購買実績客のみならず購買実績のない顧客に拡大、
ダイレクトマーケティングの可能性を大きく広げている。
②インターネットは企業と顧客のみならず、
企業と企業、顧客と顧客をネットワークしている。
このことは、異業種のブランドやメディア、
ネットワーク(顧客との関係性)などを活用した
B to B to Cマーケティングの展開を容易にするとともに、
顧客の知恵や情報発信力、ネットワーク(友人・知人との関係性)などを活用した
C to C(口コミ)マーケティングを加速してもいる。
企業間のコラボレーションや口コミのマーケティング活用自体は、
リアルの世界にも見られる取り組みであり、
必ずしも最近になって始まったものではないが、
インターネットの進展がこれを加速、
勢い、ダイレクトマーケティングによりこれを実現する企業が増加してきた。
③企業間競争が激化する中で、現代を生きる企業には、
店舗やコールセンター、Webサイトといったいわゆる顧客接点に限らず、
商品・サービスを含むビジネスのあらゆる局面において、
優れたカスタマー・エクスペリエンスの提供が求められるようになってきた。
これを実現するためには、カスタマー・オリエンテッドな企業文化を、
トップマネジメント以下、組織全体に浸透させることが不可欠である。
そして、優れたカスタマー・エクスペリエンスの提供は、
顧客満足を向上するだけではなく、従業員のモチベーションを向上、
企業が提供する商品・サービスを改善し(VOC活動)、
未来のビジネスを創造するエンジンの役割を果たしている。
さて、ダイレクトマーケティングという用語はこれまで、
通信販売の代名詞として矮小化して用いられたり、
絞り込まれたターゲットに向けたハード・セールスという
良からぬイメージを与えられたりと、
ともすると誤解されることも少なくなかった。
しかし、顧客とのインタラクティブ性に基づくダイレクトマーケティングは、
カスタマー・オリエンテッドなマーケティングにほかならない。
なぜならば、顧客とのwin-winが実現しなければ、
強力なオファーで瞬間風速的な売り上げは獲得できても、
継続的なビジネスはままならないからだ。
これは用いられるメディアが、デジタルであろうがアナログであろうが、
変わることのない事実である。
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この1ヶ月間に書いた3つのブログ記事をつなげて言えること。
それはカスタマー・オリエンテッドな企業文化をベースに、
1人1人が真摯に顧客と向き合い、情熱をもって個々の業務に取り組むこと、
そして部門を越えて情報を共有することによりはじめて、
店頭やコールセンターなど1対1の顧客接点から、
各種広告メディアを用いた1対多の顧客接点、
さらにはその上でのマスカスタマイゼーションに至るまでをシームレスにつないだ、
優れたカスタマー・エクスペリエンスが提供できるということである。
月刊『アイ・エム・プレス』はネット・マーケティングの専門誌ではない。
そうではなく、カスタマー・オリエンテッドなビジネス・マインドを持ち、
デジタルとアナログ双方の顧客接点を効果的に融合して、
優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供するために腐心する
広義でのマーケティング担当者をターゲットに、
ダイレクトマーケティングをはじめとする
インタラクティブ・マーケティングのいまを伝えると同時に、
顧客情報収集・分析・活用のスキルを提供、
さらには実現へのパワーを提供するメディアでありたいのだ。