日米のコールセンター運用の違いと米国に学ぶべき点

2013年2月17日

2月14日、15日の両日、日本コールセンター協会(CCAJ)主催の
「CCAJコンタクトセンターセミナー」が開催された。
本セミナーは、私がCCAJの事業委員の1人として
企画の一翼を担っていることに加え、
弊社が発行する月刊『アイ・エム・プレス』が「特別協力」となっていたことから、
私自身も全6コマのうち2コマを受講してきた。
そこで今日は、そのうちの1コマである
「アメリカのユニークなコンタクトセンター運営モデルを分析
~日本とアメリカのセンター運営の違いや活用できる運用手法~」の概要と、
私の中で印象に残ったことをご紹介したいと思う。
本セミナーは、CCAJが昨年、実施した「CCAJスタディツアー」
米国のコールセンターを視察された方々による特別セッションという位置付けで、
Cプロデュース 取締役 吉沢晴美さんの司会のもと、
もしもしホットライン 九州支店 支店長 坂口謙祐さん、
WOWOWコミュニケーションズ 経営戦略部 WOWCOMカレッジ 課長 小川範芳さん
の2名のパネラーによるディスカッション方式で展開された。
全体の構成は、本視察団の団長である東京ガステレマーケティング 
取締役 人材・品質マネジメント部長 平松忠男さんによる挨拶の後、
今回の視察先企業6社の概要と視察の感想を簡単に説明。
続いて「各社におけるソーシャルメディアの活用状況」と
「米国コールセンターにおける雇用情勢と従業員のマネジメント方法」について、
国内コールセンターとの比較を交えてディスカッション。
最後に今回の視察の目玉となる訪問先の1社であった
Zappos社の事例を詳細に紹介するスタイルになっていた。
ソーシャルメディアの活用状況では、
訪問先の1社であるキッチン&家庭用品のマルチチャネル・リテイラー、
ウィリアムズ・ソノマ社と日本の無印良品やUNIQLOなど
ソーシャルメディアのリーディング・カンパニーの「いいね!」数などを
店舗数や売上規模の違いを踏まえて比較。
「国内企業のほうが戦略的に上手く運用しているのではないか」
と言われていたのが印象に残った。
また、従業員のマネジメント方法では、
日本のコールセンターがコールの山谷をなだらかにする工夫を凝らすのに対し、
米国のコールセンターは、波に合わせてスタッフ数を調整すればいいとの
割り切った考え方に立っているとのこと。
この背景には、日米の文化の違いもさることながら、
日本の人口が減少傾向にあるのに対し、米国の人口は増加傾向にあるといった
人口動態の違いも横たわっているのかもしれない。
また、経営理念の浸透や、職場の雰囲気や風土、
モチベーション向上策のあり方も、日米で大きく異なっているとのこと。
月刊『アイ・エム・プレス』2013年2月号では、
コールセンターの「脱マニュアル化への挑戦」を特集したが、
経営理念を浸透させることでマニュアルを最小限にとどめようという動きは、
日本でも徐々に進みつつあるように感じられる。

最後のZappos社の事例では、有名なコア・バリューをはじめ、
同社のさまざまな取り組みが紹介されていたが、中でも最も印象に残ったのは、
電話による受注は売上高の5%に過ぎないにもかかわらず、
コールセンターを戦略的に重要な組織と位置付けているということ。
パネラーのお一人が、売上高の45%がクチコミであることを引き合いに出しながら、
「センターのコストは広告宣伝費的な位置付けなのではないか」と
言われていたのにはなるほどと思わせられた。
コールセンターでの対応は、良くも悪くも、お客さまに強い印象を与えるからだ。

写真は、セミナー中、会場前面のスクリーンに、
ウィリアムズ・ソノマ社のPinterestの画面を映し出しているところ。
テーブルウェアなどのイン・ユースの写真が素晴らしい
同社のクリエイティブを思い浮かべると、
写真を活用したソーシャルメディアであるPinterestとの相性が
抜群であろうことは想像に難くない。