既存顧客の維持をめぐるトレンドに思う

2011年9月11日

前回のブログでもご紹介したとおり、
月刊『アイ・エム・プレス』の2011年9月号の特集は、
「今、求められる会員“不眠化”戦略」。
不況下において新規顧客開拓への投資が抑制傾向にある中、
会員制サービス提供企業などにおいては、
既存顧客の維持への注目が高まっているようで、
オンライン、オフラインを問わず、
本号発行後、弊社にはさまざまな問い合わせが寄せられている。
また、2011年9月5日の日本経済新聞で、
NTT東日本が「フレッツ光」の加入者向けに
飲食店などの割引クーポンの配信を始める旨が報じられたが、
これも加入者の解約防止策の一環とのこと。
2010年10月以降、群馬県を手始めに、
栃木県、神奈川県、千葉県などで試験運用を開始しており、
今年度中に同社サービス提供地域全域に
拡大する意向だという。
このように顧客分析に基づき、既存顧客向けサービスを強化したり、
データベース・マーケティングを展開したりする企業がある一方、
苦情に至る前に既存顧客の不満の芽を摘み取ろうと、
Twitterをはじめとするソーシャルメディア上に書き込まれた
自社商品・サービスにかかわるユーザーの声に企業が主体的に関与する、
アクティブサポートに乗り出す企業もある。
アクティブサポートの先進企業としては、
ソフトバンクモバイルとブックオフオンラインが有名だが、
こちらは先週、印刷入稿を終えたばかりの
月刊『アイ・エム・プレス』10月号(9月25日発行)に掲載。
また、弊社の「CRMシリーズ」の第一弾として8月末に発行されたばかりの、
『ソーシャルメディア・マーケティング成功事例集』では、
上記2社以外のアクティブサポートへの取り組みも紹介している。
アクティブサポートは、企業側からの主体的な関与となるため、
顧客対応スキルに難があるオペレーターが実施したのでは、
ともすれば事態を悪化させることにもなりかねない。
こうした中、先行各社では、オペレーター教育に注力すると同時に、
Webサイトやeメールなど他メディアとの連携を推進。
また、中には不満などのマイナスな発言への関与は避けて、
例えば自社商品・サービスを購入した旨の書き込みに御礼を述べるなど、
プラスの発言のみを対象としているところもあるのが現状だ。
しかし、コールセンターに苦情を申し出るまでには至らない、
自社商品・サービスに不満を持った顧客にアクティブサポートを提供することで、
彼らを自社商品・サービスのファンに転換することができるのならば、
その顧客本人の維持に寄与するのみならず、
その顧客のソーシャルグラフ上のさまざまなユーザーに
プラスの口コミが伝播していくことが期待される。
今から20年ほど前、コールセンターの分野では、
「グッドマン理論」が話題になったことがあったが、
これがソーシャルメディアという新たな道具立ての上で
再び議論される日がやってきたと言えるだろう。
■グッドマン第一の法則:
「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、
その解決に満足した顧客の該当商品・サービスの再購入決定率は、
不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに対して比較的高い」
■グッドマン第二の法則:
「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミの影響は、
満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」
出典:http://www.customer-loyalty.jp/uko/u6.html
なお、グッドマン理論については、ベルシステム24編の
『顧客満足度–消費者の苦情を利益に変える企業戦略』に詳しい。
すでに絶版だが、アマゾンで中古品が1円~購入できるようなので、
ご興味のある方は読んでみてはいかがだろうか。