南アフリカお土産話① それは準備段階から“Oh my God!”の連続だった

2017年7月26日
ゴールデンウィーク明けから3週間にわたり、南アフリカ共和国に行ってきました。今回の旅行の最大の目的は、南アでダイレクトマーケティングを中心としたコンサルティング会社を営んでいる友人等を訪ねること。10年ほど前の来日時に知人の紹介で知り合って以来、すっかり意気投合し、米国のダイレクトマーケティング関連のイベントなどで顔を合わせるたびに「いつ南アに来るの?」と聞かれ、「数年のうちには必ず!」と答えていたのですが、ついにその約束を果たす時がやってきたのです。

私にとってはアフリカを訪れるのも初めてならば、3週間におよぶ海外旅行も初めての経験です。そこで、昨年中に大枠の時期を決定すると、以降は、アフリカに関する出版物やWebサイトをチェックする、アフリカ料理のレストランやアフリカの写真展に足を運ぶ、アフリカに強い旅行代理店やアフリカ旅行経験者の話を聞くなど、さまざまなかたちでの情報収集に注力。あわせて、週1回の英語のプライベート・レッスンを開始して、eメール・チェックなどを依頼する傍ら、英語力のブラッシュアップに努めました。

そんなこんなを経て大枠の旅程を決め、航空券、ホテルの手配を完了したのは出発のほぼ2カ月前、3月も終わりのことでした。今回の旅程は、羽田からドバイ乗り継ぎでヨハネスブルグに向かい、同地の友人宅に滞在した後、友人たちとともにケープタウンに移動、同地の友人宅に滞在した後、単身でクルーガー国立公園(KNP)近くの空港の1つであるHoedspruitに向かい、そこから車で小一時間のサファリ・ロッジに宿泊した上で、再びHoedspruitからヨハネスブルグ、ドバイ乗り継ぎで羽田に向かうというもの。

これを決めるだけでも、彼女たちの住まいがあるヨハネスブルグとケープタウンをどのような順番で回るかとか、せっかくの機会を生かしてのプラスアルファのお楽しみはサファリツアーなのか、砂漠の遊覧飛行なのか、はたまたその両方なのかなど、迷いに迷ったことに加え、折しも予約時期が現地の雨期に当たり、KNPに向かう道路が洪水で通行止めになったというニュースが飛び込んでくるなど事態は混迷を極め、早くから準備した割には、着地は滑り込みセーフという有様でした。

旅程を決めるに当たって痛感させられたのは、アフリカがいかに広いかということ。そもそもアフリカは主権国家だけで54カ国を擁する広大な大陸であり、そのうちの1国である南アに限ってみてもその国土面積は日本の3.2倍という広さ。行き先の選択肢は無数に広がっています。また、開発途上の国々だけにどこに行くにも時間がかかり、南アの帰りにモロッコに行こうなどと考えると、直行便がないばかりか、大陸内で乗り換えるよりはいったんユーラシア大陸に渡って、パリで乗り継いだ方が速いという有様なのです。

また洪水に伴う通行止めついては、現地の友人がニュース記事を送ってくれたことでわかったのですが、アフリカに強いという触れ込みの日本の旅行会社でもその情報はまったく把握していませんでした。加えて、その時点では通行止めでたどり着けないにもかかわらず、ロッジの予約は通常通り前払いで、ロッジ自体が休業しない限りは、旅行当日になっても通行止めでロッジにたどり着けなかった場合の返金を保証する仕組みはないとのこと。最終的には2社に確認しましたが、対応の善し悪しこそあっても、この点については共通した見解でした。

クルーガー国立公園近くの空港の1つ、Hoedspruitからロッジに向かう道。予約時には大雨に伴う洪水で通行止めになっていたが、実際に現地を訪れた時にはそんな痕跡は跡形もなく、快適なドライブが楽しめた。
クルーガー国立公園近くの空港の1つ、Hoedspruitからロッジに向かう道。予約時には大雨に伴う洪水で通行止めになっていたが、実際に現地を訪れた時にはそんな痕跡は跡形もなく、快適なドライブが楽しめた。
そんなこんなの難関をくぐり抜けてなんとか大枠の旅程を決め、必要な手配を終えたら、今度は現地友人へのお土産の購入、そして情報の移動(電話やインターネットなどの情報インフラをどうするか)、モノの移動(荷物をどのように運ぶか)、お金の移動(現金・カードなどの使い分けをどうするか)にかかわる手段の選択です。ここでは自分自身のITリテラシーの低さに頭を抱えるのはいつものことながら、日本のサービスのガラパゴスっぷりに翻弄されまくり、出発する頃にはボロボロにくたびれてしまいました。

今回の旅行では、これらの情報、モノ、お金の移動についても、旅行経験が豊富な英語の先生がアドバイスしてくれたのですが、旅行者のグローバル・スタンダードとも言える先生お薦めの方法を国内で準備するのは容易ではありません。例えば、スマートフォンのSIMロック解除に手数料がかかったり、防犯対策を施した鞄の品揃えが薄かったり、現地での現金引き出しに便利なデビットカードを使おうとしても、南ア国内のATM数が限られていたり、利用限度額が10万円に限られていたり・・・。

ネイティブならではの流ちょうな英語で、「え-っ、SIMロック解除が有料なの?」「え-っ、ナイフでも簡単には切り裂けないあのリュックがないの?」「え-っ、日本のデビットカードでは現金が10万円しか引き出せないの?」と、ことあるごとに目を見開き、手を広げて驚く先生を前に、私は日本のガラパゴスっぷりを論(あげつら)われた気がしてちょっぴり悲しくなると同時に、おそらくは私自身の中にも潜んでいるであろうその本質について、改めて考えさせられたりもしました。

南アの友人に、スーツケースは鍵を掛けた上で、開けられにくいカバーに入れるか、あるいはラッピングするように言われたが、国内で手に入るカバーはスーツケースの汚損防止を主眼にしたものばかり。結果、羽田空港のラッピングサービスを利用することになった。ここでは回転式の台の上にスーツケースを乗せ、クルクルと回転させながら、あっという間にスーツケースを何重にもラッピング。最後に持ち手やキャスター部分をカットしてくれる。
南アの友人に、スーツケースは鍵を掛けた上で、開けられにくいカバーに入れるか、あるいはラッピングするように言われたが、国内で手に入るカバーはスーツケースの汚損防止を主眼にしたものばかり。結果、羽田空港のラッピングサービスを利用することになった。ここでは回転式の台の上にスーツケースを乗せ、クルクルと回転させながら、あっという間にスーツケースを何重にもラッピング。最後に持ち手やキャスター部分をカットしてくれる。
というわけで、今回のアフリカ旅行は準備段階から“Oh my God!(ウソでしょう?)”の連続だったわけですが、視点を変えてみれば、そういう私=日本人の感覚こそが “Oh my God!”に違いありません。このところインバウンド観光客の増加に沸く日本ですが、これを一過性のブームに終わらせないためには、日本独自のコンテンツを大切に育みながらも、旅行者を取り巻くモノやお金や情報のインフラについては、従来の方法に固執することなく、世界を視野に最適化を図っていかないと・・・。そんなことを考えながら、出発の日を迎えた私でした。