ブラジル料理に挑戦

2010年5月8日

連休はもう終わったというのに、遊びのネタで申し訳ないが、
休みに友人と訪れたブラジル料理屋「Barbacoa Grill」は、
料理提供の仕組みといい、店員の教育といい、なかなかのものだった。
そもそもは昨年の夏に勉強会仲間にこの店の話を聞いて興味を持ったのだが、
友人との忘年会の時に予約しようと思ったら人気店だけに予約が取れず、
なおのこと興味を募らせ、機会をうかがっていたのだ。
1994年に東京・青山にオープンしてすでに15年以上を経ているのだが、
連休中の予約を取ろうとしても、望ましい時間帯はいっぱい。
15年を経ても人気店であり続けるためには、それなりの理由があるに違いない。
店名のBarbacoaは、バーベキューの元祖とも言うべき料理の名前だそうで、
同店はブラジルスタイルのバーベキュー料理「シュラスコ」の店。
シュラスコは肉や野菜などを串に差して専用オーブンで焼き上げたもので、
これとサラダバーを組み合わせたバイキングスタイルで食事が供される。
私たちが選んだのは、シュラスコとサラダバー、ポンジケージョ(チーズパン)が
セットになった「シュラスコセット」4,500円と生ビール。
(その時は食べることに夢中で気付かなかったが、
せっかくならブラジルのお酒にすれば良かったと後悔しきり)
シュラスコは、ガーリックステーキなどおなじみのものから、
クッピンと呼ばれるセブ牛のコブの部分など珍しいものまで12種類。
中にはポテトやパイナップル、オニオンなどの野菜も含まれており、
これらを単品ごとに専用スタッフが串に差したまま席に持参し、
希望を聞いた上で、各人のプレートに取り分けてくれる。
この専用スタッフは12種類の食材を次から次へと運んでくるので、
すべてをチョイスしていたのでは、食べるほうが追いつかない。
そこで各テーブルには両面が赤と緑の色違いの専用コインが置かれえており、
赤の側を提示しておくと、しばし“お休み”することができる仕組みだ。
一方でサラダバーは、日本でもおなじみの野菜はもちろん、
椰子の新芽のボイル「パルミット」や豆の煮込み「フェジョアーダ」など、
ブラジルならではの料理を交えた40種類以上のラインナップ。
もちろん、1皿限りなんてことはなく、何皿でもOKだ。
私たち女性3人組は、食材の珍しさ、種類の豊富さに
2時間という時間制限があることも手伝ってか、
おしゃべりも、ビールの存在も忘れて食べることに夢中に。
その様は、カニを食べる時に思わず無口になるのにどこか似ている。
しかし、早い話が1時間もすればお腹はいっぱいになり、
コインをひっくり返すと共に、ビールからワインにシフト。
ワインを運んできたスタッフに声をかけると、前述のクッピンをはじめ、
ピッカーニャ、アルカトラ、フラウジィニアといった珍しい肉や、
フェジョアーダの説明などを懇切丁寧にしてくれる。
前述のシュラスコを運ぶスタッフは必ずしも日本語が堪能ではなく、
シュラスコのサーブ係に徹しているのに対し、
そのほかのフロアスタッフはとてもフレンドリーで、
来店客の飲み物のオーダーに対応すると同時に、
いわば顧客サービス係としてすばらしいホスピタリティを提供してくれる。
お腹がいっぱいになった頃を見計らって食材の説明をするあたりも、
たまたま私たちがワインを注文したからだけではなく、
顧客が置かれた状況や気持ち、すなわちお腹がいっぱいになり、
食べること以外に興味が向きはじめたことを踏まえての接客なのだろう。
こうした気働きは天性のものなのか、教育により身に付けたものなのか、
何かの機会に弊誌のインタビューでも申し込んでみようか。
というわけで、私たち3人は、2時間という限られた時間を目いっぱい楽しみ、
国内では味わう機会の限られたブラジル料理を堪能すると同時に、
いくつかの初めての食材を体験し、そして“にわかブラジル通”となった。
もちろん、お腹もいっぱいになったが、唯一、気がかりなのは体重?
肝心の味については、食材により好みが分かれるものの、
総じて言えば、私的にはまあ75点というところ。
事前の期待が大きかっただけに、極端に高くはないが、
4,500円という料金を考えれば、かなりリーズナブルだと言えよう。
中でも私のオススメはクッピン。これはコンビーフそっくりの味で、
幼い頃、母が作ってくれたコンビーフの炒め物を髣髴とさせた。
そもそもコンビーフには牛肉の味わいが希薄だと思っていたのだが、
これが牛肉からできていることを思いっきり納得させられた一品だ。
エスニック料理好きの方は、ぜひ一度、足を運んでみては?
味 ★★★★☆
サービス ★★★★★
雰囲気 ★★★★☆
価格 ★★★★☆