スタートトゥデイのチャリティTシャツ到着!

2011年5月1日

連休直前の木曜日、「ZOZOTOWN」でおなじみのスタートトゥデイから、
「ZOZOTOWNチャリティTシャツ」が届いた。
これは同社が協賛ブランドを巻き込んで展開したコーズ・マーケティング企画
「東北地方太平洋沖地震災害支援プロジェクト」の商品で、
Tシャツ1枚の購入につき2,000円が同災害支援のために寄付される仕組み。
震災直後の3月14日から31日にかけてネットで予約を受け付けていたのだが、
私自身は最終日の3月31日に申し込んだ。
この1ヶ月の間、申し込み当日の3月31日の注文御礼メールに始まり、
4月22日には配達先・支払方法を確認すると同時に出荷予定を知らせるメール、
4月27日には出荷した旨を知らせるメールといった具合に、
数通のテキスト形式でのトランザクショナル・メールが送信されてきたが、
それらのコンタクトを経て、いよいよ4月28日に商品が到着したわけだ。
包装を開くと、そこには注文した商品と併せて、
透明のクリアファイルに収められた2つの書類が入っていた。
ひとつは、同社代表取締役 前澤友作氏のサイン入りの「感謝状」、
そしてもうひとつは、このチャリティTシャツの販売結果を記したリーフレットである。

感謝状は、写真上のようにそれらしき書式の厚紙に印刷されたもの。
別にこんなことで感謝状なんていらないと言えばいらないのだが、
そうは言っても、その存在を見つけたときには、
同社、および前澤社長の想いが感じられて、何だかとっても嬉しかった。
一方、写真下の販売結果を記したリーフレットには、
本Tシャツの販売結果と併せて、寄付先金額詳細が記されている。
【販売結果】
■総販売枚数:176,988枚(国内:172,694枚、海外:4,294枚)
■合計寄付金額:353,976,000円(国内:345.388.000円、海外:8,588,000円)
■ご購入者数:94,270人
■ご購入者平均年齢:31.51才
【寄付先金額詳細】
■日本赤十字社:203,976,000円
■CIVIC FORCE:50,000,000円
■日本ユニセフ協会:50,000,000円
■ワールド・ビジョン・ジャパン:50,000,000円

私自身は1週間ほど前にたまたま同社サイトで販売結果を知り、
17万6,988枚というその規模に圧倒されると同時に、
そこに自分が参加しているのだということに思いっきり感動させられたが、
恐らく多くの顧客は、これら商品の同梱物を見てそのことに気づき、
同じような感動を味わうのだろう。
そして商品のお届けの翌々日、4月30日にはHTML形式の購入御礼メールが到着。
そこには御礼のメッセージとともに、パンツやシューズ、Tシャツなど
計6アイテムの商品が写真つきで紹介されていた。
メールに「こちらのアイテムはお客様の購入履歴を
参考にさせていただいております」と記されているので、
購入履歴に基づくレコメンデーションがなされているのだろう。
私自身はZOZOでの買い物は今回が初めてだが、
そこには確かに購入したTシャツにフィットするパンツと靴が提案されているし、
Tシャツも今回購入したものとは別ブランドのチャリティTシャツで、
レコメンド対象商品に選ばれるのも納得のいくところである。
コーズ・マーケティングは、過去には“偽善”と批判されることもあったという。
しかし、私自身はこの買い物体験を通してそんな感じは受けなかったし、
むしろこれを機に、私の中でのZOZOへのロイヤリティはグンと高まった。
うまく表現できないが、言わば“同じ釜の飯を食った仲間”のような気がするのだ。
コーズ・マーケティングは、被災者と顧客と企業のwin-win-winが前提と言われる。
しかし顧客にとっての“win”とはいったい何を意味するのだろう?
単に義援金を送るのであれば、個人で赤十字などに送金すれば済む話。
そうではなく、あえて企業が仕掛けたコーズ・マーケティングに参画するのであれば、
そこには個人では得られない何かがあって然るべきだろう。
もちろん、ユニークな商品・サービスが手に入るというのはそのひとつだが、
スタートトゥデイの事例では、私に限らず多くの人々に、
そうした物やお金に止まらない精神的な満足を提供しているように思う。
実際、同社のWebサイトを見ると、本日時点でTwitterからは8,721件のツイートが、
Facebookからは8,000件の「いいね!」が寄せられており、
「ZOZOTOWNチャリティTシャツについてのコメントのページ」には
たくさんの顧客の書き込みが紹介されている。
書き込みの内容は、被災者へのお見舞いや購入商品の紹介などさまざまだが、
中にはこのTシャツを着た人が街に溢れると良いといった声も記されている。
これは普通のTシャツでは考えられないことであり、
まさに“同じ釜の飯を食った仲間”感を意識しているのが、
私だけではないことを示していると言えるだろう。
結果としての販売数量や義援金の規模もさることながら、
ここまで多くの顧客を巻き込み、自ら発信させるということは、
単にチャリティTシャツをモノとして販売していたのでは適わなかっただろう。、
それは、同社がさまざまなメディアを通して自らの想いをきちんと伝えると同時に、
プロジェクトの経過や結果を顧客と共有してきたからこそ成し得たことではないか。
月刊『アイ・エム・プレス』5月号の特集でも紹介した通り、
東日本大震災を機に、多くの企業がコーズ・マーケティングに乗り出している。
そうした企業にとっては、このスタートトゥデイの取り組みから
学べる点は多いのではないだろうか。
ちなみにスタートトゥデイの今期売り上げ計画は840億円。
今期からは、従来からのCRM(Customer Relationship Marketing)部門を
CFM(Customer Friendship Marketing)に名称変更してこれを強化すると同時に、
従業員を対象としたEFM(Employee Friendship Marketing)も拡充していくとしている。